突然ですが、徒歩での移動中、ついついスマートフォンの画面に釘付けになってしまうという方はいませんか?
街に出てみれば今や必ずといっていいほど目にする、歩きながらスマートフォンを使う人たちの姿。
これまでも”歩きスマホ”は何かと問題視されてきましたが、最近では「Pokémon Go」の爆発的な人気によって街中で歩きスマホをする人が急増したこともあり、ますますその危険性が指摘される事態に。実際、歩きスマホが原因で救急搬送された人は平成23年度から27年度までの5年間で既に172人にも上るのです。(出典元)
今回紹介するのは、そんな歩きスマホによる悲惨な事故やトラブルを未然に防ぐ画期的なスマホアプリ、「Look Up」。まずはこちらの動画をご覧ください。
「Look Up」の使い方はとっても簡単。ダウンロードすると、GPS機能とWi-Fiを使ってアプリがユーザーの現在地を特定します。
そして、ユーザーが交差点付近に近づくと、スマートフォンの画面に突如カラフルな目玉のアニメーションが表示され、バイブレーターが振動。利用者の視線を携帯の画面から周りの景色に誘導し、交通の激しい交差点付近で利用者がスマートフォンに気をとられないようにする仕組みなのです。
交差点に近づくと突如カラフルな目玉が画面に!
「Look Up」は、ニューヨーク市の交通事故抑止プログラム「Vision Zero」で提供されているオープンデータを活用して、交通事故の発生頻度によって市内のすべての交差点を評価。画面上に表示されるアニメーションの目玉の色やバイブの振動数が交差点ごとに違うのは、この評価を反映させているからなのです。
このアプリを開発したのは、ニューヨークを拠点に活躍するデザイナー兼アーティストのEkene Ijeomaさん(以下、エケネさん)。彼は、ニューヨークの人々が歩きながらあまりにもスマホの画面に夢中になっている様子を見て、とても不安になったと言います。
みんな下ばかり見ていて、周りの景色なんて見ちゃいないんだ。まるで”スマートフォン・ゾンビ”みたいだよ。だから、こうして歩きスマホをしている人たちがまちの景色にもっと目を向けるようになったら、どうなるんだろうと思ったんだ。
交差点でふと周りを見回すとみんなスマートフォンをいじっていた…エケネさんはその光景に強烈な違和感を感じたそう。
スマホ中毒なニューヨーカーの姿にエケネさんが抱いた問題意識から生まれた、このアプリ。彼はこのアプリが単なる事故防止のツールになるだけでなく、利用者にいまちやひととの素敵な出会いをもたらすきっかけになってほしいと考えています。
デジタルネイティブな世代にこそ、このアイデアは受け入れられるんじゃないかな。スマートフォンの画面から見上げることがまちを見つめ直すきっかけになってほしいです。
「歩きスマホをやめることで、まちの美しさや面白さをもっと見つめてほしい」とエケネさんは語ります。
「Look Up」は現在アンドロイド、およびニューヨーク市内のみでしか利用できないようですが、ゆくゆくはiOS版もリリースし、国外にも普及させていきたいとのこと。
もしかしたら、「スマホアプリの力を借りないと、スマホ中毒から抜け出せないなんて…」と思う方もいるかもしれません。しかし、「Look Up」がひとつのきっかけとなり、画面ではなく目の前のまちの景色を見つめながら歩くことで思いもよらない素敵なモノと、きっと出会えるはず。
みなさんも今日外出するときに、意識的にいつも見ているまちの風景に注目してみてはいかがでしょうか?