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やることなすこと、全部オモロイ。大阪発、意識低い系ゆとり起業家・「週間マガリ」小西亮さんに、“趣味仕事”のつくり方を聞いてみた!

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こちらの記事は、greenz peopleのみなさんからいただいた寄付を原資に作成しました。

自分の趣味でお金を稼ぐことができたら、素敵ですよね。

人から与えられた“作業”ではなく、自分の趣味を好きなように形にし、人を喜ばせてお金を稼ぐ。誰もが憧れるスタイルです。それが、とてもむずかしいように感じる人も多いと思いますが、一方でいとも簡単に実現させているように見える人もいるのではないでしょうか。

日替わり店長のお店「週間マガリ」の編集長(管理人)、小西亮さんはそんな“いとも簡単に趣味を仕事にしちゃった”ように見える起業家のひとりです。

企画するイベントがいちいちおもしろい週間マガリ。なぜ次から次へと面白いことばかり思いつくのか? そんな疑問をぶつけてみました。
 
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小西亮(こにし・りょう)
週間マガリ編集長。意識低い系ゆとり起業家。1988年、大阪府出身。
24歳の時に「いろんなお店連載中!」をテーマに掲げ、毎日日替わりで店長が変わるカフェバー「週間マガリ」を立ち上げ、ほぼクチコミのみの2年余りであらゆる分野の1万人以上のひとが来店する、大阪では知る人ぞ知る人気スポットに。
2015年のクリスマスに企画したシングル向けイベント「恋人イナイイナイバー」が大ブレイクし、2016年2月に同イベントの拡大版を大阪ウラなんばの味園ユニバースで開催し、Facebook告知のみで600人を動員する。
そして2016年9月、さらにパワーアップした「恋人イナイイナイバーEXPO’16」を開催予定だが、本人はいたってマイペースに活躍中。

基本は「逆バリ」

こないだ「週間マガリっていう店あるからいっしょに行きません?」って女の子に言われました。僕の店なんですけどって(笑)

そんな、漫画のようなエピソードを語ってくれた小西さん。

売れているお店や会社の知名度は、オーナーのそれと比例することが常ですが、毎日違うだれかが個々のテーマで店長を務める「週間マガリ」では、その常識は当てはまりません。これはとても象徴的で、「週間マガリ」の特色を表していると言えます。

「週間マガリ」は、週刊誌の連載のようにさまざまな企画が楽しめるお店。ゲストの店長がバーを“間借り”し、日替わりで企画を行っています。

エジプト人が店長の「Egypt Bar」、弁護士が店長の「弁護士Bar」、「無人島変態Bar」など、正体不明だけどとにかく面白そうな企画が毎日、目白押し。そして、お店のコンセプトにも掲げている通り、「ヘンな出会いがきっとある」ことこそが、「週間マガリ」の人気の秘密です。

「基本的に僕は“逆バリ”なんです」と小西さん。逆バリ(逆張り)とは、もともとは株式相場における専門用語で、相場のトレンドと反対の売買行動をとること。それが転じて、主流となっている方針と逆の行動、考えなどを指すときにも使われるようになった言葉です。「週間マガリ」の人気もまさに“逆バリ”で社会の主流とは逆のアプローチをすることで火が点きました。
 
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「English Bar」のようす。美女に囲まれているのはエアロスミス店長?!

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スピどるなおみの「コスプレでNight !」。濃い!

面白さのポイントも「逆バリ」

毎日店長が変わって開催されるイベントはさることながら、マガリを一躍有名にしたのはなんといっても「恋人イナイイナイバー」でしょう。
 
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イベントの趣旨は「ヒトリミを楽しみ尽くす、ソロ充フェス」。恋人がいないヒトリミだからこそ、逆にカップルを凌駕するくらい楽しんじゃおう! というコンセプトです。従来の、恋人がいないことを自虐的に捉えがちだったヒトリミ系イベントとは対極にあります。

まさにこれは、小西さんたち20代=ゆとり世代が求めていたのに存在しなかったイベントではないでしょうか。

いまや、20代〜30代の男女は恋人がいない人のほうが多数派であるなんてことをニュースで見聞きしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。そんな風潮に表れているように、彼らは、従来のカップル前提で楽しむイベントではなく、ヒトリミだからこそ楽しめるイベントを欲していたのだと思います。肩身の狭かったヒトリミにとっては願ってもないコンセプトですよね。
 
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場所は大阪ウラなんば、伝説のキャバレー跡地「味園ユニバース」!

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この日ばかりは、ヒトリミの勝ち。カップルは肩身が狭い?!

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ドレスコードは「レトロモダン」。味園ユニバースの雰囲気も手伝って、時代がいつだかわからないこの空間は唯一無二かも

この“ありそうでなかった”アイデアって、いったいどこから来るんでしょう?

僕は絶対当たる、手堅いことしかやらないんですよ。「週間マガリ」も恋人イナイイナイバーも絶対成功するって思ってました。

そう思えるのはたぶん、相当な数のイベントを見てるからです。僕、イベントオタクなんですよ。日本中で行われてるイベントを見るのが趣味だから、今流行ってるものの傾向がわかる。それに逆バリでねじこんだらいけるかなと。

悪ふざけみたいなイベントをやってますけど(笑)、全部時代と逆走してるっていうだけで、意外とおもしろいもの好きのニーズにはつながってるんです。

“場の生産性”を第一目的に

小西さんは大学を卒業後、3ヶ月の会社員期間を経てほどなくして「週間マガリ」を立ち上げるのですが、それまでに、イベントだけでなく、さまざまなコミュニティスペースを手当たり次第に訪問し、つながりづくりの場を研究します。

そもそも学生の頃から「週間マガリ」のようなビジネスモデルのビジョンはあったのでしょうか?

入った大学が内輪ノリでそれがすごく嫌で、インカレ(サークル)にめっちゃ入ったんです。

そのとき、無駄に顔だけは広くなって、Facebookがまだ普及しきってないときなのに友だちが1000人越えてたんです。でもつながってるだけではもったいないので、こういう人たちを巻き込んで、いろんな人の力で営業できるような内輪ノリじゃないスペースがあったら面白いなと。

それで、当時すでに大阪にあった日替わり店長の店「コモンカフェ」を参考にして、これしかないと思って、マガリを立ち上げました。

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非リア充のフリをして、本当はリア充の小西さん

そして常に人が入れ替わる店という、これまでのつながりづくりとはまったく逆の発想=逆バリで、「週間マガリ」が誕生したのです。それは、つながりをテーマに掲げる世相やビジネスに対して「ホンマにつながってるのか?」という“ツッコミ”のようにも思えます。

「週間マガリ」は “場の生産性”を第一目的にしていると小西さんは言います。

マガリは、普段の生活では出会わなかったような人たちが出会ってケミストリーが起きる場に、絶対にしたい。

だから、くすぶってる人とかやりたいことあるけどできない、みたいな人こそ、マガリに来てほしい。その場に依存はしてほしくないんですけどね(笑)

あくまで場の生産性を第一目的にしてるんで、グループで来る人たちも、仲間だけでワイワイするのは別の場所でやってほしいって思う。マガリにはせっかくいろんな人おるんやし、交流してほしいなと。

ちょっとシビアな言葉も飛び出しましたが、それはきっと、小西さんが、マガリを本当に人と人とがつながる場所にしたいと思っているからこそ。

マガリは、非リア充が来るんです。いい意味でくすぶってる奴。

だから別に、マガリで出会って彼女できたり彼氏できたり事業立ち上げたりして、リア充になったら来なくなってもいいんです。常連になってもらう仕組みも囲い込む仕組みもありません。

言うなればマガリは“停留所”。まだ何も掴んでない僕みたいな奴が、夜な夜な集まってくる場所やから、逆にずっとマガリに来てる人いたら心配になりますね(笑)

内輪ノリから抜けだして、手当たり次第にとにかくやってみる

小西さんが若くして立ち上げたビジネスを成功させることができたのは、自分のしたいことを形づくるためにリサーチを行い、その行動量に裏付けられた確信があったからではないでしょうか。

自分のやりたいことが世の中に受け入れられるポイントがどこなのかを見極められたら、それはビジネスになります。でも、そのポイントを見極めることこそが難しいもの。

小西さんはなぜそこを見極められたのでしょうか。その答えに、小西さんが「週間マガリ」を始めた理由がまさに反映されていました。

僕は“広く浅く”やからじゃないですか。とにかく手当たり次第に全部やる。興味ないことも。

そしたら好きなことと嫌いなこととに分かれます。分かれたら好きなことを追っていったらいいんですけど、これって内輪ノリだったらわからないんですよ。同じようなコミュニティにずっとおったら、他を取捨選択できないから。

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小西さんと、その秘書たち

これからのビジョンは、無い。

これからの活躍もますます楽しみな小西さん。いろいろなメディアからの注目度もどんどん高くなってきていますが、これからのビジョンってあるのでしょうか?

ないんです。ビジョンを考えるのはあまり好きじゃない。

マガリは、僕自身がいろんなものに出会う“仕組み”なんです。そこでたまたまつかんだチャンスをどんどん拾っていったほうが絶対おもしろいことできるよなって思っています。

あのいつもネットで炎上してる某経営者でさえも、「来年のことわからない」って言ってるのに、一般人の僕が10年後はタワーマンションでなんたらかんたらとか言ってても絶対チープにしか聞こえないじゃないですか(笑)

それより刹那的に掴んでいったほうがぜったい面白いほうにいくって思うので。

この“流れに任せる”スタイルは、小西さんたちの世代=ゆとり世代に特徴的な資質かもしれません。

小西さんは自虐的に自分を「ゆとり」「非リア充」と揶揄しますが、じつは並々ならない行動力とパワフルさがあり、「ゆとり」と見せかけて、まったくゆとりじゃないのです。

おそらく、表面的に“意識の低いゆとり世代”の皮をかぶることで、彼オリジナルのブランディングに成功しているのではないでしょうか。つまりこれも、従来の“起業家っぽさ”の“逆バリ”。
 
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1988年BARのようす。みなさん1988年生まれ。ゆとり世代です

小西さんは、「週間マガリ」のことを「趣味と思ってやっている」と言います。

そんなふうに言えるようになりたければ、あなたにしかないポイントを見極めるために “内輪”の居心地の良さから1歩抜け出してみる必要があるのかも。

でも、それにはきっと特別な勇気は必要ありません。小西さん自身も「偉そうなこと言ってるけど、テンパリ癖があってすごいヘタレ」だそうですから…(笑)

あなたも、自分の“逆バリ”に飛び込んでみることから、新たな扉が開けるかもしれません。

(Text: 池田佳世子)

– INFORMATION –

 
恋人イナイイナイバーEXPO’16
http://koibitoinaiinaibar.strikingly.com
日時:9/3(土)
HIRU昼 12:00-16:00
YORU夜 18:00-22:00
場所:ウラなんば
巨大キャバレー跡地「味園ユニバース
チケット:
http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002197130P0030001
①特別券:3000円(週間マガリご来店の方)
②前売券:3500円(e+ ファミリーマートなど)
③当日券:4000円
④アベック:1万円←ウソ
※別途1ドリンク代
※昼夜どちらかのチケットをお買い求めください。
※3名程度のグループ入店をオススメ。