“シュッシュ、ポッポ、シュッシュ、ポッポ…”
トークショーに登壇する「まちの保育園」松本理寿輝さん、「りんごの木」青山誠さん、greenz.jp元編集長YOSHさんの前を賑やかに通り過ぎていくのは、ダンボール列車を運転する子どもたち。登壇者も客席も、誰もそれを止めることも咎める様子もないままに、約2時間に及ぶ熱いトークは続いていきました。
これは、5月28日(土)昼間に行われたgreen drinks Tokyo「世界と日本、子どものとなりで」の様子。今年4月に始まった連載と連動し、「子どものとなりで、どうありたい?」という問いを携えて、子どもの育ちの場づくりをしている方をゲストに招いたトークショーを開催しました。
いつもは毎月一回、平日夜に開催しているgreen drinks Tokyoも、この日は様相が一変。赤ちゃんも小学生も、お兄さんもお姉さんもお父さんもお母さんも。みんながゆるやかに交わりあいながら、ともに時間を過ごしました。
「子どもが一緒にいて、イベントはぐちゃぐちゃにならなかった?」
「今話題の保育園問題については、語られたの?」
「3人は、子どものとなりで、どうありたいのだろう?」
そんな問いにお答えすべく、当日の様子をレポートでお届けします!
【ゲスト】
1980年生。一橋大学商学部商学科卒業。
ブランドマネジメントを専攻する傍ら、レッジョ・エミリア教育に感銘を受け、幼児教育・保育の実践研究を始める。博報堂、フィル・カンパニー副社長を経て、2010年4月ナチュラルスマイルジャパン株式会社を創業。
現在都内にて3園の認可保育所「まちの保育園」を運営。子どもを中心に保育士・保護者・地域がつながり合う「まちぐるみの保育」を通して、乳幼児期によい出会いと豊かな経験を提供し、保育園が既存の枠組みを超えた「地域福祉のインフラ」となることを目指している。
「りんごの木」保育者。webマガジン「こどもうちゅう」主催。大学時代のボランティアでの子どもとの出会いをきっかけに、芸術学部文芸学科卒業後すぐ、幼稚園に就職。保育園での勤務を経て、2007年より現職。保育の他に執筆、イベント企画など幅広く子どもに関わる事業を展開中。著書に『子どもたちのミーティング〜りんごの木の保育実践から』(柴田愛子との共著/りんごの木)、『言葉の指導法』(共著/玉川大学出版)など。
greenz.jp シニアエディター/NPO法人グリーンズ理事
1979年生まれの勉強家 兼 お父さん。2004年よりウェブデザイナーとしてNPO支援に関わりながら、「デザインは世界を変えられる?」をテーマに世界中のデザイナーへのインタビューを連載。
CSRコンサルティング企業に転職後、2006年クリエイティブディレクターとして独立し、ウェブマガジン「greenz.jp」の立ち上げに関わる。2010年より編集長。秋田市出身、京都市在住。一児の父。
2016年より京都精華大学人文学部の特任講師として、「ソーシャルデザイン・プログラム(社会創造演習)」を担当。
休日昼間、子どもと一緒に。
休日の午後2時。初夏の陽気となった代官山のカフェに、大人50人、子ども20人が大集合。大人たちはトーク会場へ、子どもたちはテラスに設置されたasobi基地スペースへ。明確な仕切りはなく、ゆるやかにそれぞれの居場所に落ち着いた頃、いよいよイベント開始です。
趣旨説明のあとは、参加者同士がつながりあうアイスブレイクへ。聞くと、green drinks Tokyoは初参加の方が大多数。子育て中のお母さん、保育者の方、平日夜は早めに帰宅するようにしているお父さんなど、多様な「はじめまして」が集い、お互いを知り合ったところで、ゲストを迎えたトークがスタートしました。
どんな子どもだった?
今回ファシリテーターを務めるのは、青山さん、松本さんとともに「こどもうちゅう」のメンバーであり、greenz.jpライターでもある佐藤有美さん。3人の自己紹介代わりに、佐藤さんがまず投げかけたのは、「どんな子どもだった?」という問い。思いがけない問いかけに照れ笑いしながらも、自分の原点に立ち戻るように、まずは青山誠さんが語り始めました。
提供:asobi基地
青山さん 人についていけない子でしたね。ランドセルの中身は空っぽで、ランドセルなくすとか、学校に辿りつけないとか(笑) 「青山くんがいると授業が進まない!」みたいな、そんな子でした。
松本理寿輝さん、YOSHさんも続きます。
松本さん すっごい“あまのじゃく”でしたね。いわゆるリーダーとは全然違うところにいて、なんとなく小グループをつくって、周りに仲間が集まっていて、リーダーからも少し一目置かれているような…。そんなずるいタイプでした。
YOSHさん 3人兄弟の末っ子で、甘えん坊で、自分でいうのもなんですが、素直な子でした。真っ白でぽっちゃりしてて、女の子に間違えられてた。なんか変わってないもんですね(笑)
「なんかみんな、そのまま大きくなってる感じ!」と言う佐藤さんの言葉に会場もやわらかく頷いたところで、トークは青山さん、松本さんの保育現場での実践の話へと進んでいきます。
「保育者とは、子どもの世界を覗き見ている人」青山誠さん
トークの皮切りに青山さんが用意していたのは、1本の動画。青山さんが保育者を務める「りんごの木」の“かほちゃん”と“かんたくん”が喧嘩する様子を映しだしたものでした。
動画で切り取られていたのは、なんてことない子どもの日常の風景。青山さんが主宰するウェブマガジン「こどもうちゅう」の「子どもの世界をのぞいてみたら」というコーナーに掲載されている約3分の動画を、自分の貴重な持ち時間(10分)を割いて上映したことに、青山さんのあり方が表れています。
青山さん 保育者って、「子どもの見ている世界をのぞき見ている人」だと思ってるんですね。
たとえば朝、園に来てしゃがんでいる子がいて、隣でしゃがんでみると、その子が見ている風景が、ふっとこっちに乗り移ってくる。見ると、お母さんがあっち行ったなぁ、と気づく。すると「ママ行っちゃった」って。
でも、保育者以外の大人は、子どもを自分と切り離した対象として見るので「どうにかしてあげたい」と思う。「大丈夫だよ、2時になったら迎えに来てくれるから」とか言っちゃうけど、3歳の子どもにとっては、ママとのお別れは“今生の別れ”なんですよ。
子どもが「行っちゃった」って言うから僕も「行っちゃったねぇ」って言う。アリをつかまえて「アリ」って言うから、「アリだねぇ」って言う。こうやって距離がつくれる。理屈とかじゃなくて、しゃがんで見たり、一緒に落ちてる花いじったり、身体をかけてやってるのが僕ら保育者の仕事かな、と思います。
こんなふうに保育の現場で子どもとじっくり関わりながらも、教授など保育の専門家と若手保育者を引き合わせるようなイベントも企画運営している青山さん。さらにこんな話も聞かせてくださいました。
青山さん 子どもの世界って、そんな綺麗な世界じゃないんですよね。おんぶしたら洋服で鼻水拭かれたりとか、そういうぐちゃぐちゃした中にいる。でも、そいう保育の当事者の声って、なかなか研究室にいるような教授陣に届かなかったりするんです。
そのとき、「シュッシュッ、ポッポッ」という可愛らしい声とともに現われたのはダンボール列車。松本さん、青山さんの前を無邪気な笑顔で横切っていきます。
青山さん ね、こういうことじゃないですか。予測不可能。こういう現場と、教授陣の研究がつながっていったらいいな、と思います。
常に子どものとなりで、同じ風景を見ている青山さんだからこそ、見えている景色。そして、ほしい未来のためのアクション。子どもたちが自由にはしゃぐ会場で、実に心地よさそうにこの場を楽しむあり方が、印象的でした。
「保育園よりも、大事なのは子どもの育ち」松本理寿輝さん
続いて松本さんは、自己紹介も早々に、「僕、普段メガネじゃないんです」と、結膜下出血のために着用しているメガネ越しに見た子どもの世界についてのお話を始めました。
松本さん メガネで今週過ごしてみて、新しい世界が見えてきて面白いんです。
まず2歳の部屋に行ったら、男の子が「おなまえは?」と聞いてきた。「いや、りずきさんだよ」ってメガネをはずしたら、「メガネの人がりずきさんに変わるってどういうことだろう」って困惑した様子だった。2歳ではまだ顔の識別度が上がっていなくて、違いがわからないんだな、と。
これを機に「面白いから自分なりに実験してみよう」と思った松本さんは、その後、3歳、5歳、お父さんお母さん、卒園した小学生などの反応を確かめて分析。すぐに本人だと分かる年齢、ウワサで知っちゃう年齢、情報を遮断しちゃう大人など、それぞれの見方を色々考えさせられた、と実に楽しそうに語りました。
何度もトークステージを横切る子ども列車のとなりで語る松本さん
「メガネの話で5分使いましたけど大丈夫?」という佐藤さんのツッコミに、「そんな保育園をやってます」と笑いながら答えた松本さん。「経営もしていますが保育に近い経営でいきたい」と前置きしたあと、自ら立ち上げた「まちの保育園」の2つの基本コンセプトについて話してくれました。
松本さん ひとつは、子どもの育ちや学びに地域の資源を活かしていこうということ。もうひとつは、まちづくりです。
保育園や幼稚園は、地域で生活しているお父さんお母さんが日常的に通う場所なので、若い世代のネットワークを地域につくりやすい。
よく「世代間コミュニケーションの断絶」が課題になっていますが、保育園が町内会や自治会とつながって、高齢者とのつなぎ役を果たしていくことによって、まちが全体でつながっていくことができるんじゃないかって考えているんです。
そのために、「まちの保育園」には、コミュニティコーディネーターという地域との橋渡しをする役割の職員がいます。
例えば、町会が若い世代との連携を考えられていたら、一緒にボランティアの方を募って、子育て家庭も楽しく読めるまちの広報誌をつくったり、子どもと大人でつくる、手づくりのお祭りをやったりして…。今ではそれが町会あげてのお祭りになっていて、そういったまちづくりに関われているのかな、という思いはあります。
こちらの記事でも紹介したとおり、これまで小竹向原、六本木、吉祥寺と、それぞれのまちとつながる3つの「まちの保育園」をつくってきた松本さん。来年4月には、新たに代々木上原に認定こども園をつくる予定とのことですが、これまでの「保育園」ではなく「認定こども園」を開園する理由について、こう語りました。
松本さん 幼稚園と保育園のダブルスタンダードになっている国って、日本だけなんですよね。今は省庁の壁を越えたり難しいことが多いのですが、「この国の子どもをどう育てていくか」という視点では、幼稚園と保育園が今後手を取り合っていく必要があるんじゃないかと思っています。
そこで幼稚園と保育園、どちらも兼ね備えた認定こども園をつくって、学び合っていきたいな、と思っているんです。
「とはいえ、保育園そのものよりも、大事にしているのは子どもの育ち」と言い切る松本さん。経営者でありながら、いつも一貫して子どもを真ん中に据えて考える松本さんのあり方が、会場のみなさんを惹きつけていました。
保育園問題に、モノ申す!?
さて、ここからの話題は、待機児童や保育士不足に代表される、保育園・幼稚園問題へ。「一億総活躍国民会議」に出席し、内閣総理大臣もいる場で国への提言も行っている松本さんは、つい先日、歴史的な一歩を実感したといいます。それは、保育士不足のひとつの原因とされる、処遇について。
松本さん 僕はこの会議で、お母さんたちが安心して仕事して、子どもの育ちも豊かになる、その両方を実現するにはどうしたらよいかという視点で、発言させていただきました。
そんな中、歴史的な動きになったのは、保育士の処遇について。日本の保育士や幼稚園教諭って、小学校教諭の給料の61%で、他の先進国の平均94%に対してすごく開きがありました。でも、今回は一般産業の平均年収と遜色ないような処遇に上げていこうということでまとまりました。
子どもたちの育ちにとって大事な人格形成期に、保護者よりも長く一緒にいるかもしれない保育士は、社会的に重要な仕事。社会をつくる仕事をしているのだから、ちゃんと認められる必要があると思っていて、今回世論の流れも合って認められたのは歴史的なことだな、と思っています。
「大変な仕事だから」ではなく、「社会的に重要な仕事」をしているから。さらには、「未来をつくる仕事」だから。約1年半前のインタビューで「保育士の社会的地位を大学教授並みにしたい」と語っていた松本さんの強い想いが、一歩前進したようです。
これに対して認可外保育施設「りんごの木」の現場にいる青山さんは、「逆行する話ですが」と、認可保育園に通っている子どもたちと違い、認可外の子どもたちに税金が払われていないことなど、これまですべての子どもたちに社会保障が行き届いていなかった事実に言及。
まだまだ問題が山積みであることを訴えながらも、「理寿輝くんが切り開いたことはすごく大きな影響」と、戦友をたたえました。
青山さん 今、保育園とか待機児童とか言うけど、保育者や園が大事なわけじゃなくて、大事なのは子どもが育つということ。僕は、幼稚園とか保育園とか1回全部なくしちゃえばいいのにって思うんです。
爆弾発言とも言えるこの言葉に、会場も青山さんの話に聞き入ります。
青山さん というのはね、江戸時代後半から明治の初期に日本に訪れたイギリスの旅行家の本に「日本は子育てのパラダイスだ」と書いてあるんです。全裸や半裸の子どもたちが駆けまわり、父親は片手で抱っこしながら仕事をし、子どもたちが本当にのびのび遊び回っている、って。
たぶん誰もね、あまり子どものことは考えていなかった。でも放っておかれて、結果的に子どもは自由だったと思うんです。今日も、そうですよね。
青山さん いつからこうなっちゃったかなぁ、と思うと、昔は、「暮らす」ってことの中に「子どもが育つ」とか、「仕事をする」ってことが一体になって存在していた。分化されればされるほど専門的になるけど、僕は専門家として、その専門性をいつも疑っておかないといけないな、と思います。
結果的に子どもたちがこうやって遊んで、自由で自分を保てればいいわけで、園とか保育士ありきではないってところを、今日語り合えたらいいな、って。
松本さんも、「幼稚園や保育園がなくなるということが究極なのかもしれない」と、青山さんに続きます。
松本さん まあ、つまり、社会が子どもを中心にして、子どもをお互いに見合うみたいな関係性ができていれば、もうわざわざ保育園や幼稚園が存在している理由はないのかもしれません。
それは「生活者がどれだけ意志を持つか」ということにかかっていて、みんなが子どもに対してちょっとずつ開いていくことが積み重なっていけば、社会はもっと面白くなるんじゃないかって。
今は子どもたちがマイノリティになっちゃってる気がします。
親としてのリアルな問い「いい園ってなんだろう?」
子どもが、排除もされず、特別扱いもされない、多様性の一つとして認め合う社会。青山さん、松本さんのお話で、会場全体がそんな未来像を描きはじめたところで、本日“お父さん代表”として参加していたYOSHさんが、親としての切実な想いを切り出しました。
YOSHさんには、現在3歳のお子さんがいますが、2歳のときに鹿児島から京都に引っ越してきて、現在認可保育園に通っています。
YOSHさん 鹿児島では希望に合う保育園が見つからなくて、ずっと妻が家で娘と一緒に過ごしていて、京都では1ヶ月待機して今は保育園に通っています。
保育園は「良い・悪い」というよりも、合っているかどうかが大事ですよね。今の園に満足しているかどうか、と言うと比較対象がないので何ともいえないところです。ただ、この連載の記事を読んだりすると“ないものねだり”をしてしまって、そのあたりに悩んでいます。もちろん、求めればきりがないのですが…
YOSHさん あと、さきほどお話に出た「保育園なんてなければいい」という話ですが、僕はまだ心の準備ができなくて、ものすごく困りますね。
個人的な話ですが、僕は子どもが生まれてから、家で僕の大事な物を並べることはなかったんです。壊れやすいものも多かったので。で、あるときそれが実は自分の気持ちを塞いでいるということに気付いたんですね。
今年から大学の研究室をもらえてそこにその大事なものをすべて持って行って、家の外に自分の部屋ができて、ものすごく幸せな気持ちなんです。ようは、「お父さん」でない自分をそこで久々に獲得できた。
まだ未熟だからかもしれないけれど、預けるまではお父さん、その後は兼松佳宏になる。そういうメリハリをつけるためにも、保育園は僕にとって必要なんですよね。
そんなYOSHさんの切り返しに対して青山さんは「答えられるかわからないけど…」と言いながら、ご自身の想いを語り始めました。
青山さん 僕が「保育園なくなればいい」と言った理由のひとつは、今、保育園が安全管理ばかりに重きを置きすぎて、どんどん閉じてしまっているな、と思っていて。それが行き過ぎちゃうと、保護者と保育者は本来育ち合いのパートナーなのに、相対しちゃうわけです。
だからある意味理寿輝くんが保育園というものをぶっ壊していると思っていて。閉じたものにしていないでしょ? 園と地域とか社会文化というものを呼吸するように入れ替えて、出し入れがある。そうすることで、保育者とお母さん、地域の人が一緒に子どもたちを見られる。だから、園がなくなったら親が見ようっていう話ではないんです。
今の園って、「預かる側はプロだからちゃんとやってよ」とか「お父さんお母さんちゃんと育ててね」とか、そういう関係に陥りがちだな、と思っていて、そんな場所なら増やす必要ないんじゃないのって思うんです。
さらに「いい園」については、松本さんがこう語りました。
松本さん 専門的にはいろいろあるんですが、敢えてシンプルに言うと、信頼関係がある上での大人や他の子どもとの出会いが子どもたちの育ちに大きく影響してくるんですよね。
良い・悪いはなかなか判断しづらいけど、子どもは信じられる面白い大人との出会いを通して、世界がすごく広がっていったりするので、鹿児島であれ京都であれ、東京であれ、そういった良い出会いを子どもたちとの関係の中でつくっていけるか、ですよね。
そのためには、保育の現場で「これが正しい」ということを言い過ぎないこと。「子どもにとってこうすべきです」ってことはあまり言わず、「お父さんお母さん、どう思う?」って対話していく。保育士同士も同じで、みんなが対等に話し合える民主的な対話の場をつくっていく。
そうやって正しさの中ではなく、むしろ面白さとか豊かさとか、人の心を動かすようなところに、コミュニティや園が置かれていた方がいいと思っていて。そういう意味では、保護者の人たちにオープンな姿勢でいる園というのは、いい保育園になりやすいと僕は思います。
ファシリテーターの佐藤さんも、4歳の子どもの母親として、また、greenz.jpライターとしての想いを語りました。
佐藤さん ネットを見れば正しい・正しくない、良い・悪いの議論ばかりで滅入るというか、そんなの見たくないって思います。
それよりも「楽しい」とか「豊か」とか、面白い実践があるとか、そういうことに心が動くので、今回の連載でも、そういう人たちを紹介していきたいな、と思っています。
今後の連載への期待も高まったところで、参加者同士のシェア、そして質疑応答へ。自分の子どもの育ちのこと、母親としてできること、対話の場づくりのこと…。インプットのあとのアウトプットは大いに盛り上がり、いつのまにか予定時間をかなりオーバーしていました。
それでも、子どもたちは退屈することもグズることもなく、変わらず自由に遊び続けていました。もちろん「asobi基地」のみなさんのお力添えあってのことではありますが、いつもはお母さんにべったりな子も、いきいきと語り合う大人たちから自然に離れて遊びに熱中。
まさしく青山さんの言う、「放っておかれて、結果的に自由」である場が、そこに確かに存在していたのです。
夢中で遊ぶ子どもたち。今回asobi基地は、greenz peopleの関祐三子さんがプロデュースしてくださいました。
子どものとなりで、どうありたい?
最後に、3人に連載の問いへの答えを書いていただきました。
【そのまま:松本理寿輝さん】
松本さん 最初も言いましたが、子どもを特別なものとして捉えず、ちゃんとひとりの人間として見ていくし、育てていきたい。ずっとそう思っています。
【花のようなおじいちゃんになっていたい:青山誠さん】
青山さん これは将来像ですけど、いつかは子どもの保育の現場でもいいし、子どもの側でボーッとしていてもいいし。まわりの保育者に「おじいちゃん、失恋かしら」って言われちゃうみたいな(笑)
【すなお:YOSHさん】
YOSHさん 娘の方が未来を生きるわけで、その分僕たちに何かとても大切なことを教えてくれる存在だと思っているんです。いろいろ悩んだりするときは、「いま何を伝えようとしているのか」と考えて、それを素直に受け止めたいと思っています。
あなたは、どうありたい?
トーク終了後、会場に設置されたスペースには、参加者のみなさん一人ひとりの想いが、書き連ねられていきました。
そして、かつてのgreen drinks Tokyoでは定番だった“オープンマイク”が、この日は久々に復活! マイクに行列をつくり、思い思いにほしい未来に向けた自分の活動をアピールする大人たちのワクワクを、となりにいた子どもたちも大いに感じたことでしょう。
参加者のみなさんに混じって、青山さんも松本さんも、そして子どもたちも(!)マイクに行列をつくりました。
大切なのは園よりも、子どもの育ちだということ。
安全重視よりも、開いていくこと。
正しさよりも、楽しさや豊かさを大切にすること。
保育園や幼稚園は、要る? 要らない!?
たくさんの気づきと問いを得て、連載「世界と日本、子どものとなりで」は、次の旅路へ。
まだまだ世界中に無数に存在する、楽しくて豊かで面白い子どもの育ちの場。その担い手の声をお届けしていきますので、どうぞお楽しみに!