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原発抜きの電気でコーヒーを焙煎する夢が、クラウドファンディングで実現! 有限会社スロー代表・小澤陽祐さんに聞く、“グッドバイブレーション”な社会のつくりかた

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わたしたちエネルギー」は、これまで“他人ごと”だった「再生可能エネルギー」を、みんなの“じぶんごと”にするプロジェクトです。エネルギーを減らしたりつくったりすることで生まれる幸せが広がって、「再生可能エネルギー」がみんなの“文化”になることを目指しています。

世界各地のフェアトレードかつオーガニックなコーヒーを自家焙煎・販売する会社、「有限会社スロー(以下、スロー社)」。

以前にもgreenz.jpではこちらの記事でスロー社の道のりや思いを紹介させていただきました。その記事で、代表の小澤陽祐さんが話していたのが「スロー社の焙煎機の電力はソーラー発電でまかなっていきたい」という夢でした。

そんな小澤さんの長年の夢だったソーラーパネルの設置が、ついにMotionGalleryを利用したクラウドファンディングによって実現。ソーラーパネルを設置した、その瞬間の模様をレポートするべく、駆けつけました!

夢のソーラーパネル、設置のとき

こちらが千葉県松戸市にある、スローコーヒー本社。
 
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私が到着すると、屋上では藤野電力・鈴木俊太郎さん監督の元、作業が行われていました。まず、ソーラーパネルを設置するための土台を、パイプ管で組み立てます。
 
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計8枚あるソーラーパネルを、1枚1枚パイプ管に乗せていきます。
 
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そして、パイプの幅に合わせて、ソーラーパネルの位置を調整。
 
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位置が決まったら、裏からしっかりとネジを締めます。
 
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こうしてが設置完了したソーラーパネルがこちら! 240Wの太陽光パネルが8枚で計1920W。つくられた電力はバッテリーにチャージされ、焙煎機のモーターを回すために使われます。
 
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作業にはスロー社の社員と藤野電力の他に、小澤さんが講師を務めたグリーンズの学校の卒業生も参加。ほとんどの方が初めてとは思えないぐらいのチームワークと手際のよさで設置は進められていきました。
 
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設置完了後のみなさんの達成感に満ちた表情。紆余曲折の道のりを経て、ようやくこの日に漕ぎつけることができた小澤さんも安堵の笑顔です。ソーラーパネルの温もりを確かめるかのように大切に触れている様子が印象的でした。

原発抜きの電気でコーヒーをつくりたい

今回、太陽光発電による電気でコーヒーを焙煎する「ソーラー焙煎」のシステムをつくったのは、こちらもgreenz.jpでおなじみの藤野電力。小澤さんと藤野電力との出会いはグリーンズが千葉県いすみ市で企画した、ミニ太陽光発電システムを組み立てるワークショップでした。

50Wのソーラーパネルを自らの手で組み立てた小澤さんは、自分で電気がつくれることを実感したそう。パネルと蓄電池さえあれば、300Wの電力を必要とする焙煎機を動かすことができそうだということがわかり、そこから藤野電力と具体的な話が進んでいきました。

「ソーラーシステムを導入するというと、電気代節約のためなのかとよく聞かれる」という小澤さん。でも、実際にバッテリーやパネルなどの消耗品の経費を考えると、決して節約にはならないのだとか。それでも小澤さんがソーラー焙煎を始めようと決意した背景には、震災があったといいます。

そもそもは東日本大震災の後の、計画停電がきっかけです。実際に停電したのは結局1回か2回だけだったんですけど、「停電するよ、するよ」って言われると焙煎の予定が組めなくて、2週間ぐらい休業しました。それで、こうした原発の電気に頼る仕組みは、かなりもろいなと感じたんですね。

そんなモヤモヤを抱えながら、これから大丈夫かなと思っていた頃にスタジオジブリが社屋の屋上に「スタジオジブリは原発ぬきの電気で映画をつくりたい」と看板を掲げているのを見て、もうシビレちゃって。かっこいいなー!と思ったんですよね。同時にすごく励まされました。

僕らもオーガニックとフェアトレードということにこだわって11年やってきたので、次はこれだな!と。「スローコーヒーは原発ぬきの電気でコーヒーをつくりたい」そう掲げたいなと思いました。

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設置が完了したソーラーパネルの上でほっと一息つく小澤さん

小澤さんのプロジェクトから、みんなのプロジェクトへ

2011年から抱き続けていた夢を実現するのがこのタイミングになったのは、藤野電力との出会い、そして時代の追い風によって周りの理解が進んだこともあったといいます。

2011年の頃はまだ、「ソーラー焙煎をしたい」と人に話しても、いまいちみんなピンと来てないみたいだったんですよ。でも、今回やりたいと話したら、社員もみんな「それはいいね」と同意してくれて。いよいよその時が来たんだと感じました。

ソーラー焙煎システムを導入するにあたり、予算の規模が大きくなったことを受けて、MotionGalleryを利用してクラウドファンディングを募りました。結果、2015年の5月に始めたクラウドファンディングは7月までに1,218,705円を集めることに成功し、目標金額1,100,000円を大きく上回ることに。
 
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クラウドファンディングは大成功のうちに終了!

クラウドファンディングを利用したのは、予算以外にも理由があったのでしょうか。

これまでもスローコーヒーは、社員以外にボランタリーに手伝ってくれる人と一緒に事業をやってきたので、そうやっていろんな人に関わってもらえるのがいいなと思っていました。

実際今回のクラウドファンディングを通して、応援して、見守ってくれる人ができたことで、僕らだけのプロジェクトじゃなくて、203人の支援してくれた人も含めた、みんなのプロジェクトだなという実感がありますね。

クラウドファンディングを応援してもらう際にコレクターからもらったコメントが励みになったと話す小澤さん。小澤さん一人の思いは、社員を、そして支援者をも巻き込むプロジェクトへと発展し、ついに実現の日を迎えたのです。
 
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ついに掲げた旗!クラウドファンディングを募っていた2015年7月頃

もっと気持ちのいい一杯のために

ソーラー焙煎の仕組みによって、自然エネルギーでコーヒーを焙煎する、という夢を叶えた小澤さん。これからも、今までどおり美味しいコーヒーを届けて、忙しい日本の日常の中でほっと一息してもらうというのを変わらずに続けていきたいと話します。そして次はこんなことにも挑戦したいそう。

今回のクラウドファンディングの方法を活用して、「みんなで一からつくろうフェアトレード」みたいなことができないかなと考えています。例えば、コーヒー豆の原産国にみんなで行くようなツアーを計画できたらいいなと。

フェアトレードってまだいまいちよくわからないものという風に思われがちだと思うんですけど、いわゆる産地直送みたいなやりとりをしてつくっていくもの。

以前エクアドルに行って、現地の陽気な人たちと交流をしたり、雲霧林を訪ねたりしたんです。そうした体験があると、今でもその現地の人々や景色が思い出されて、いい気持ちでコーヒーを飲むことができるんですよね。

そういう現地の人とのやりとりや交流を僕らもしていきたいし、飲んでもらう人にも参加してもらったら、みんなでもっと気持ちよくコーヒーを飲むことができるんじゃないかなと思っています。

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電線のノイズを拾わない、クリアな音楽をつくるために自然エネルギーのスタジオで録音をしているミュージシャンを例に、自然エネルギーで焙煎したら、ノイズが入らない“グッドバイブレーション”なコーヒーができるんじゃないか、と仮説を立てる小澤さん。

オーガニックとフェアトレードに始まり、自然エネルギーを使うこと、それから生産者やその場所を知ることも、「気持ちがいい」という感覚を大切にしながら歩み続けます。

より心地よく暮らすために、みなさんはどんな次の一歩を踏み出しますか? ソーラー焙煎されたスロー社のごきげんなコーヒーを飲みながら、考えてみませんか。