地域の交流の場としての公園
最近は夜が肌寒くなり、金木犀も香りはじめ、秋の始まりを感じることが多くなりましたね。秋といえば紅葉の秋。草木に目を向けることが多くなった方も多いのではないでしょうか。
そんな自然を感じる季節にちなんで、今回はニューヨークの環境に対するプロジェクト「The Haven Project」をご紹介します。
「The Haven Project」は“自然の近くに住むことで健康になる”ということを検証するため、ニューヨーク州ブロンクス区のMott Haven地区で始まったプロジェクト。
まちを緑でいっぱいにするとともに、健康問題を改善する「The Haven Project」の完成予想図はニューヨークとは思えない鮮やかな緑が特徴です。
近々完成予定の道路
海岸に沿った街道
こんな素敵なまちに変身する計画が進んでいる、Mott Havenは約3km²で東京都の約1.5倍の大きさのまち。1970年代からMott Havenのあるサウス・ブロンクス地区は「Urban decay(都市の荒廃)」という言葉を連想させ、現在でもこの地区は多くの工場や車からのガスで汚染され緑はめったに見ることができません。
1970年代のサウス・ブロンクス地区
現在のサウス・ブロンクス地区
そして、ブロンクス区はアメリカで最も貧しく、最も不健康な地域として知られています。そのため、貧困による病気(喘息、肥満、糖尿病など)を患う人の割合がとても高く、肥満は71%、喘息は19%でニューヨーク州の平均を50%以上も上回っているのだそう。(出典元:THE HAVEN PROJECT – METRICS )
住環境と健康は密接に関係している
そんな問題を解決するために「The Haven Project」を始めたのは、1995年からニューヨークで緑化活動をしているNPO「New York Restoration Project(以下、NYRP)」です。
彼らは ニューヨーク州の各地区の緑の面積と、貧困による病気の割合を調べました。そして、人が住む環境の質とその人の生活の質は、人々の健康ととても密接に関係していることを具体的な数値で明らかにしたのです。
そのデータに基づいて進められている「The Haven Project」ですが、健康問題の解決の他にもうひとつの目的があります。それは、緑化を通して地域コミュニティを形成すること。今回の活動も、60人以上の近隣住民などとの話し合いで緑化をする場所を決めました。
緑化する場所について話し合う住民
私たちは地域のコミュニティと一緒にまちづくりをしています。生活のため、文化のため、そしてコミュニティを広げるため。私はこんなユニークなことをできることにワクワクしているんです。
と緑化活動に込める思いを話すのは、「The Haven Project」のディレクター、Deborah Martonさん(以下、デボラさん)。
緑化活動をするデボラさん
日本では「まちなか緑化」などが、緑化活動を地域と一緒に行っています。まちにある緑、その中のひとつでも自分で植えたものだとしたら、きっとまち全体が少し違ったものに見えるかもしれません。
私たちが、自分の住環境を向上するためにできることとは何なのでしょう? この機会に、ぜひ考えてみませんか?
(Text: 伊藤優汰)
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