2020年の「東京オリンピック」が決まり、東京都内では国立競技場の建て替えなどの開発が進んでいますが、みなさんはどんな町並みに魅力を感じますか?
僕は、自然と都市が美しく融合された街に魅力を感じるのですが、「道路沿いに樹木が植えられているのは目にするけど、もう少し自然と都市が美しく溶け込んだデザインってできないのかな?」と思うことがあります。
では、自然と街が美しく融合した景観をつくりだすには、どうしたらいいのでしょう? そんな問いに答えてくれるような事例を、イタリアのトリノに見つけました。
今回ご紹介するのは、自然と人工物が融合した都市における新しい住まいのカタチを提示するアパート「25 Green」。アパートの外壁は150本の木で覆われ、中庭にはさらに50本の木が植えられています。そして63室の部屋はどれも異なったカタチをしていて、木の成長とともにさまざまな変化を楽しめる広いテラスもついているそう。
暑い日には葉っぱが木陰をつくってくれることで、季節の変化をより身近に感じることも。
中庭に広がる木々は美しい小道をつくりだしていて、まるで冒険に出ているようなワクワク感を楽しむことができます。
ただそこに住んでいるだけでも、うつろいゆく季節や自然を身近に感じることができる素敵なアパート。
そしてまるで生きているかのようにアパートが変わる続けることで、自らの住まいのいろいろな面をのぞき見ることができ、その度に新鮮な気持ちになれそうです。
もしも木々がアパートと一体化できれば、それは人々の生活と自然が一体化したことと同じ意味を持つと思います。このアパートは呼吸をし、成長し、そして生きているんです。
と話すのは、このアパートをデザインした、建築家のLuciano Pia(以下、ルチアーノさん)。
ヨーロッパの中でも特に空気汚染が進んでいるとされるトリノでは、1時間あたり約20万リットルのCO2が排出され、深刻な社会問題になっているといいます。アパートの外壁を木々で覆い、人々と自然が一緒に呼吸しながら変化していくことは、環境にも良い影響がありそうですね。
一方、「25 green」は6階建てでつくられており、部屋数も63室と決して多くありません。このアパートを低くつくった理由についてに、ルチアーノさんはこう話します。
高層ビルにおいて、部屋の外の気候というのは地面に近いフロアとかなり異なります。おそらくビルの頂上付近は常につよく風がふいていて、そこに木々を植えるのは現実的ではないでしょう。
なので私はこの木々で覆われたアパートをあえて低く設計したのです。
東京という大都市も2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて変化しつつあります。
もし、このような緑に覆われたアパートが日本にできたら、まちを歩いているだけでわくわくして楽しそうですよね。
自然が都市と融け合って景観がガラッと変わってしまうような、すてきな都市の未来像をいっしょに思い描いてみませんか?
[via colosal, boredpanda, abcnews, fastcoexist, LucianoPia]
(Text: 岡田弘太郎)