毎月第3日曜日にco-ba chofuで行われている「green drinks chofu」は、様々なグッドアイディアを共有し、緩やかにつながり合える場です。今回は、「自分らしい働き方を考えるヒント!」というテーマで開催しました!
この時間、空間が好きだから
お一人目のゲストは杉山裕子さん。時折面白いエピソードも交えながら、楽しそうに語ってくださいました。
杉山さんが運営している「ちょこカフェ」は、子連れで気軽に利用できるコミュニティ・カフェ。多世代交流が自然に生まれ、互いに育児の知恵や支え合いを学びとっていく。そんな場を目指しています。
「YouTubeで発信」の勉強会の様子。和気藹々とした雰囲気!
杉山さんは以前、女性向けフリーペーパーを発行する会社に勤務していました。いつも根底にあったのは、「女性に地域情報を提供することで、暮らしやすい環境を提供したい」という強い想いを持ちやりがいを持ちながら勤めていました。しかし…
杉山さん 地域を元気にするためにやっているはずが、だんだん面白くなくなってくるんですよね。
広告取りもナショナルスポンサーの方に向いちゃって、地域で頑張っている商店さんを応援する企画がやりづらくなっちゃうっていうところがあって…
杉山さんご自身が、結婚により移住してきた調布のまちに対しては、どこか仮住まいというイメージを持っていたそう。
でも、そこで育ってきた娘さんにとって、調布が故郷になっていることに気付き、地域にコミットできていない自分に疑問を感じ始めました。
調布に住む一人の女性として、あったらいいなと思う仕事をつくりたいと考えて、会社を辞めるという決断をしたそうです。
さて、そんな杉山さんに、私たちが実践できる地域づくり、子育て支援について聞いてみました。
薩川さん 「地域と関わりたいんだけどどうすればいいんだろう?」と思っている方が、まずできる事って何だと思われますか?
杉山さん その人その人で地域の概念も違うと思うんですけど、“地域の始まりは隣の人”だと思うので、隣の人にまずは何か声かけるとか! 私の師匠もその時に、ギブ&テイクじゃなくて、ギブ&ギブ&ギブ&ギブ&……ギブだと!(笑)
薩川さん なるほど!では、「子育てしやすい環境をつくるということに協力したい、参加したい!」と思われている方がまずできる事はなんでしょう?
杉山さん まず「知る」っていうことだと思うんですね。例えばイベント等に出向いて、肌で感じてみる。そういうところからなのかなと思います。何に困っているかを言わないで「私困ってるけど誰も助けてくれないわ」みたいな、そういう雰囲気も若干感じたりする事があります。知ってもらう側の努力は十分なのか…という事も課題だと思うんです。
子育てというと、どうしても母親のみに負荷がかかりがちですが、ちょこネットの活動がきっかけとなって、多くの人々に子育てに触れてもらい、「地域全体で子育てする」なんて調布になったら素敵ですね!
楽しいし、結果になるから続けやすい
2人目のゲストは山田卓生aka R領域さん。数々の創意工夫あふれるユニークな作品を紹介してくださいました。
山田さんが手掛けるデコレーションは、収集してきた植物やゴミ、工業スクラップなどあらゆる素材から多様な造形を考案し、作品を通じて素晴らしい場と時間を提供するお仕事です。
活動領域は、パーティーやフェスなどのイベント出展、プロモーションビデオの美術から子供向けワークショップまでと多岐に渡っています。
山田さんのこだわりは、廃材を利用して作品づくりをするということ。制作費用を抑えられるだけでなく、何よりもエコロジーである事。価値を失ったものに新しい価値をつけて生まれ変わった姿で世に出しています。
イベント会場の天井に吊り下げられた「白い宇宙クラゲ」。幻想的な雰囲気を醸し出しています。
そもそも、山田さんがこの活動を始めたきっかけは何だったのでしょうか。
山田さん 高校の時、先輩の先輩の先輩がクラブイベントをやってて。 そこで色々人員が必要だから「お前ら、手伝えよ」って言われて手伝い始めて、それでカルチャーショックを受けたんです。
アーティスティックな雰囲気を感じて僕も参加したいなって思い始めて。
山田さんは“手伝い”を続けるうちにだんだん気持ちの変化が起こってきたそう。
山田さん 色々つくっている内にそれを見た友達から「うちのイベントでもやって」っていう話になっていって。勢いでやってたらここまで続いてた。でもしっかりと収入が得られるようになったのはここ最近ですね。
「好きなことを仕事にする」
音楽フェスでのデコレーション
好きな事を仕事にするということが、簡単なようで難しいと感じるのはきっと私だけではないと思います。山田さんは、非常にいきいきとした表情で、自身の経験について熱く語ってくださいました。
薩川さん 事業の形として、課題解決型と、収益追求型、そしてもう一つの概念として言われてて、面白いなと思っているのが「突き詰めたら食べれる様になっちゃった」型で、まさに山田さんはこの通りだなと思います。恐らく他に敵はいないですよね?それがすごい強みだなぁと!
山田さん そうだね。なんか続けてたらこうなったって感じだね(笑)。
魅力的な作品をつくる事について山田さんはこのように話していました。
山田さん イベントに参加する人はそもそも楽しもうと思って遊びに来てるじゃないですか。僕たちの作品を見る為に来ている人とか多分いないんですよ。
それが楽しんでるときに目に入るものだから肯定的に捉えてくれているんじゃないかなと思って。
…確かにそうかもしれません。でも今日の話をそれ以上に魅力的に感じたのは、活動に対する山田さんの想いや、環境問題に対するメッセージも充分に感じたからだと思います。
ほら、この植物と融合し成長し続けるという作品も…素敵じゃないですか!
生きるように働くとは?自分の言葉を話せる様になる為には?
第10回green drinks chofuの最後を締めくくるゲストはナカムラケンタさん。
ナカムラさんが今の活動を始めようと思った原点は、自身が転勤族の家庭に育ったことで地元の存在に憧れ、地元に代わる自分の居場所が欲しいと思ったことだそうです。そこでナカムラさんが取った行動は「建築を学ぶこと」でした。しかし…
ナカムラさん 色々やったんですけど、すごいもやもやしてきて。建築の課題って最初自由なんですね。でもだんだん制約ができていく。
どういう敷地に…とか、どういう用途で…とか、そういうものが設計の課題になってきて「すべて自分で決めたい」って思うようになってきたんですね。
ここで方向転換をし、建築家に発注していく仕事をしよう、そしたらもっと自由になれるだろう…と選んだのは、不動産の仕事でした。
当初の目的や、やりたいことと現実とのずれ。そんな悩みにぶつかり選んだ新たな道でしたが、しかし…
ナカムラさん なんかまたもやもやしてきて。なんかこれは違うんじゃないかって感じて、何故かバーに週6日通うようになるんですね(笑)。
お酒が強いわけでもなく、お金もたくさん使うのに、どうして毎日バーに通い詰めているのだろうかと考えてみたそう。
出た答えは「バーテンダーのベッキーに会いに行っている」のではないかということでした。自分を動かしていたのは「人」の魅力だったとことに気がつきます。
ナカムラさん「いい場所をつくっていくためにはやっぱりそこに合っている人が必要だと。その組み合わせをちゃんとやれればうまくいくんじゃないかと」
まちづくりは人づくり、と、よく言いますがきちんと考える機会がなかった私にとって、ナカムラさんのこの一言は強く心に響きました。
そこで、求人サイトによって生み出されているすれ違いをできるだけ少なくしようとして始めたのが「日本仕事百貨」。
一般的なナビサイトとは異なり、文章と写真が中心で、肝心な就労条件は最後にと、決し効率的ではないかもしれません。しかしそれは、本当にその会社に入りたい人のみがエントリーをしてくれるような仕組みづくりの意味も込めているのです。
日本仕事百貨のサイト
様々な想いを持った店主が働く方の求人情報に触れる内に、ナカムラさんは、だんだん、他にも何かできるのではないかと思ってきたと言います。そこで始めたのが、「シゴトヒト文庫」です。
先輩が出版した本の裏表紙にあった言葉に突き動かされ、個人で本を出版することを仕事にできると確信しました。1200円で3000部刷って、原価は印刷製本費の35万円。すべて売ることができれば…。いける!
こうしてさっそく、粗利90%のプロジェクトが始動しました。
ナカムラさんが自身の仕事観を綴った「シゴトとヒトの間を考える」。限定3000部で販売中!そして現在新しい本の執筆中との事!楽しみですね!
ここで会場からの質問タイムに移りました。
薩川さん 「生きるように働く」というキャッチが生まれたのはどういう経緯があるのですか?
ナカムラさん 個人的にはオンオフがないので、仕事をしている時としていない時の差が意識としてはあまり無くて。休んでるときもこう、なんか完全に切れてるわけじゃないっていうか。スリープ状態のパソコンみたいで、何か面白いネタがあると立ち上がっちゃうみたいな。それって何なのかっていうと、「生きる」っていう状態って、「生きない」っていうことはないじゃないですか。
つまり、「生きない」を選択した時点で終わっちゃいますよね。だけど「生きる」っていう状態は、心臓が鼓動を打ち続けるように、常に続いている状態だと思っていて。
「働く」も、もしかしたらそんな感じでオンオフがなく楽しめる人もいるんだろうなって。そういう仕事を紹介したいと思って、「生きるように働く人の仕事探し」っていう形にしています。
最後の質問は、「自分の言葉を持つには何が必要ですか」という内容。突然の難解な問いに少し困った様子を見せながらも、簡潔に答えてくださいました。
ナカムラさん とりあえずやってみる。人の話を聞いているだけじゃなくて、プラスいろいろ自分でもやっていくといいかなって。
実際に色々な働き方を見て、色々なことに挑戦しているナカムラさんが感じていること。リスクを恐れて臆病になってやる前から諦めるなんてもったいない!このお話を聞いて、私もそう強く感じました。
行動を起こす。その積み重ねが「自分らしい生き方」につながっていくのだと考えれば、その実現は、私たちが考えているほど難しいものではないのかもしれません。
秋色ケータリング!
料理が広げられると会場に歓声が。お腹だけではなく、心も満たしてくれるsippoterryさんの料理。
今回のカレーは、紅葉をイメージした野菜の素揚げが広げられ、会場は一面秋模様になりました。お酒が入り和んだ雰囲気の下、料理の話題で会話が弾み、集まった人々の距離もぐんと縮まります。
毎月第3日曜日に行われているgreen drinks chofu。第11回の開催は11/16(日)です。
次回は、株式会社シュウヘンカ代表の萩原修さん、CAMP LIFE STUDIOの三枝直路さん、そして調布市役所の協同推進課課長の深沢典充さんという3名のゲストをお迎えして、「人が集う場づくりのヒント!」というテーマで開催いたします!
様々な事例による、人に「行ってみたい!やってみたい!」と思わせる場づくりの秘訣をシェアします!
人と人がグッドアイディアの共有を通じて緩やかにつながり合える場所。そんなco-ba chofuで、来月もみなさまをお待ちしております。
( Text: 熊野恭子 )