オーガニック食品や有機農業への関心が高まるなか、子どもを対象にした食育が進められています。屋上や校庭に畑をつくる小学校も増えていますが、アメリカではなんとスクールバスにつくられた農園が登場しました!
この「The Green Urban Lunch Box」という移動式農園は、米ユタ州に位置するソルト・レイク・シティを拠点に、2011年にはじまりました。スクールバスの中は、土と肥料で埋め尽くされ、野菜が育てられています。気になる車内をのぞいてみましょう。
バスに乗り込むと、席が外されてコンテナーに埋め尽くされた様子が目に入ります!
中の様子が気になる子どもたちで、車内は満員状態です。
収穫された野菜。バスで栽培したとは思えない、立派さですよね。
プロジェクトを始めた2011年だけでも、1,000人以上が「乗車」したそう。しかも、そのうち75%が子どもたちだったとか。
車内には、太陽光発電で稼働するアクアポニック(野菜の栽培に使う水を循環させて、魚の養殖も行い、その排泄物を野菜栽培の肥料にするシステム)や、コンポストも搭載されていて、至れり尽くせりです。
スーパーマーケットの駐車場で活動中の様子
プロジェクトを始めたShawn Peterson(以下、ショーンさん)は、毎日バス内で野菜を育てながら、学校やスーパーマーケットを巡りながら、食の豊かさを伝えています。彼のモットーは「もしバスで野菜を育てることに成功したら、どこでも野菜を育てられる」ということ。確かにこのバスでガーデニングを体験することで、自分でもやってみよう!という気持ちが高まりそうですね。
駐車場でもガーデニングを!
ショーンさん
ショーンさんは、幼少期に両親が、自宅の庭でガーデニングに入れ込む姿をみて育ったそうです。しかし、都市に移り住むと広い庭もなくなり、ショーンさん一家は、毎日スーパーマーケットへ通うようになりました。自分で野菜を育てず、大規模な食の流通システムに組み込まれて過ごす日々に、違和感を感じ始めます。
そんなある日、ショーンさんは、大学の友達と駐車場を歩いていて、「こんなにいっぱい車を停められているスペースがあるのに、ガーデニングをやれるスペースが少ないのは、なぜだろう?」と考え始めました。そこで思いついたのが、大きなスクールバスの中にコンテナを敷き詰めて、野菜を栽培することだったのです。
僕たちのプロジェクトは、何も社会の問題を解決できないと思うけれど、人々に健康な食生活や野菜を育てることを、とにかく知ってもらいたいんだ!
と語るショーンさん。「The Green Urban Lunch Box」は、”アーバン・ファーミング(都市農園)”の可能性を人々に紹介しながら、ガーデニングに取り組む人々を増やし、「健康で持続可能な食のライフスタイル」を実現することをミッションにしています。
昼どきのオフィス街で、バンや軽トラックを利用したフードワゴンをよく見かけますが、もし街中にポップアップ農園が登場したら、とても素敵だと思いませんか?「自分で野菜を育てて食べること」、それが都市でも当たり前になる日が、そう遠くないのかもしれません。
(Text: 鈴木康太)
[via inhabitat, utahstories]