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プレスリリースで社会性の高い企業やNPOを応援!情報発信の分野から、子どもたちが安心して暮らせる社会を目指す「PRリンク」


株式会社PRリンク代表の神崎英徳さん (c)Nara Yuko

特集「マイプロSHOWCASE関西編」は、「関西をもっと元気に!」をテーマに、関西を拠点に活躍するソーシャルデザインの担い手を紹介していく、大阪ガスとの共同企画です。

「儲けたい!」「世の中をより良くしたい!」…どんな想いから生まれた事業も、世の中へ広まっていくためには、情報として人々に伝播することが重要だと言えるかもしれません。

SNSやBLOGなどで個人の情報発信力が高まった昨今も、情報の伝播にマスメディアの力は有効です。既存マスメディアに自社の事業やサービスを取り上げてもらうことを目的に、メディアへ向けて紹介テキストを書いて送付する行為を「プレスリリース」といいます。

広告は”お金を出して自社が言いたいことを言う”のに対し、プレスリリースは、メディアに取り上げてもらうことを前提にしている特性上、“社会性があり読者に必要とされている情報”であることが求められます。

大企業の場合、自社に広報担当部署が配置されてメディアへの露出が戦略的に計画されているケースも多いですが、中小企業やNPO団体は、事業が手一杯でメディア戦略にまで及ばないケースが多いのが現状です。

そんな中、情報が集積する東京ではなく大阪で、“社会性のある企業を応援する”という独自のスタンスで、想いのある中小企業やNPO団体のプレスリリースや広報活動をバックアップしている企業が株式会社PRリンクです。代表の神崎英徳さんにお話を伺いました。

中小企業やNPOが、自社で広報戦略を担えるまでをサポート

PRリンクが提供しているサービスの基本形は、クライアント企業に対して半年単位の顧問契約を結び、事業で実現したいことや想いをヒアリングし、予算の中でオーダーメイドの広報プランを組み立てて実践するというものです。さらに、ゆくゆくはクライアント企業が自社で広報を担えるように、広報のノウハウを指導し、効果検証までをセットにした提案を行っています。

“自社で広報を担う”ということは、“自社のサービスは社会性があるか”という視点を必然的に持つことになり、より社会性の高いサービスを提供する上でも欠かせない視点だということです。

お取り引きさせて頂く判断基準のひとつに、その企業やNPO団体が “ひとりの親”として “応援したい、社会に広まってほしい”と感じるかどうかがあります。

そして、世の中には実際に“社会の役に立ちたい”と考えている企業やNPO団体は多いと思うんです。ただ、市場ニーズや顧客の反応を自社で検証出来ていない場合は、いくら外部へ向けた発信力を高めても事業が浸透しづらいケースがあります。そこで、事業開発の企画段階から関わり、ストーリーとセットにした事業づくりのコンサルティングを行うサービスを請け負うことも最近は増えて来ました。

さらに“社会を意識した事業展開”をクライアント企業全体へ浸透させるために、社員向け研修や、社内報の企画編集など、社員を対象にしたメニューも用意しています。


広報セミナーの様子 (c)PRリンク

“プレスリリース”というサービスを提供しているだけあって、新聞、テレビ、雑誌各社のメディア担当者と頻繁にやり取りをしているPRリンクには、日本のトレンドを把握する材料や、どんな話題がメディアに刺さるかなどの実例が豊富にあり、これがコンサルティングへ生きてくるということです。


壁面には、これまでに取り上げられた新聞記事がズラリと並ぶ。 (c)Nara Yuko

メディアへの記事提供で、発信力の強化へ

基本となるのはマスメディアへの露出を狙った広報戦略ですが、マスメディアはあくまで“マス”がターゲット。中小企業やNPO団体の手がける事業には、どうしてもマスメディアには載らないニッチな分野で、でも大切にしたい内容も存在するということ。

マスメディアには載せづらく社会的インパクトを作ることが難しい場合も、「その存在を世の中へ露出したい」「その一助を担いたい」という気持ちから、2011年、提携メディアへの記事提供を開始しました。

記事を提供するメディアは新聞社やニュースサイトです。自ら発信できる提携媒体を持つことでクライアント企業の“露出0”を防ぐことができます。さらにクライアント以外の企業情報も受け付けており、提携メディアが充実すればするほど、PRリンクも取引先企業も発信力が高まり、win-winの関係を築ける仕組みになっています。


PRリンクのHPには記事やプレスリリースが掲載され、自社メディアの機能も備えている。

PRリンクを始めたキッカケ

この様に、一般的によくある“プレスリリース代行サービス”とは違った切り口で広報サービスを拡充していく神崎さん。どういう想いでPRリンクの立ち上げへ至ったのかを伺いました。


社員の小林さん、インターン生の小林くんと一緒に。メンバーも、それぞれの想いを持ってPRリンクに参加している。

学生時代から文章を書くのが好きで、新聞記者になりたかったんですよ。ただ就職活動の中で職業研究をしていくうちに、記者という仕事は、必ずしも自分の書きたい記事を書けるわけではないことが分かり、“自分の伝えたいことを伝える仕事”という視点で、広報という仕事へ興味を持つようになったんです。

住宅設備メーカーへ新卒で入社し、営業を6年、広報を6年経験し、さらに社内ベンチャー制度を利用してPRリンクの礎になる事業を1年半経験しました。社内ベンチャーではなく、実際のビジネスとしてトライしようと思い、2008年に独立したんです。

「社会性のある企業やNPOを応援したい」と思い至るには、悲しい出来事も経験されたそうです。

長女を、2歳10ヶ月のときに亡くしているんです。その12日後に次女が生まれたのですが、「仕事を終えて帰ったときに、今日、子どもは生きているだろうか」と心配する不安な日々が続きました。

親が子どもと共に過ごせる時間は限られています。そんな中、ひとりの親として出来ることは、子どもたちの時代へ、本当に信頼出来るものに囲まれた安心安全な世の中をつくり、引き継ぐことではないかと感じるようになったんです。


子どもたちが情報を学ぶ場づくり

さらに神崎さんは、子どもたちに数ある情報の中から必要なものを取捨選択できる術を身につけてもらおうと、よりダイレクトに子ども世代と関わり、生きる術を学ぶ場を提供することを目的として、2012年4月に「学生通信社」を立ち上げます。

「学生通信社」では学生記者を募り、中小企業の代表や社会企業の取材を実践してもらいます。学生が書いた記事は新聞社のプロのデスクが校正し、最終的に学生の署名記事として誌面へ掲載されます。


学生記者は、事前に取材トレーニングをしてから現場へ向かいます。 (c)PRリンク


学生記者が取材をしている風景 (c)PRリンク

この取り組みを通して、学生たちはマスメディアへの露出が多い大企業以外の、中小企業の存在意義や働き方を知り、選択肢を広げることができます。対する取材先の中小企業は、学生自身の言葉によって魅力を世の中へ発信することができます。

学生たちがここで得た取材経験や情報伝達のスキルは、どんな仕事をする上でも必ず役に立つと思うんです。

今では、関西7の大学14名の学生記者が学生通信社を運営中だということです。さらに、PRリンクでは長期のインターンシップの受け入れや広報セミナーを開催するなど、培ってきた“情報発信のノウハウ”を通して「子どもたちが安心して暮らせる社会をつくる」という目標へ向かって裾野を広げています。


インターン生の小林くんへ指導する神崎さん。 (c)Nara Yuko

会社設立5年を機ににつくった「10年プラン」の歩み


設立から5年を記念して新しくした会社ロゴマークは、「P」「R」「拡声器」「企業と二人三脚」の、4つの意味が込められている。 (c)Nara Yuko

今年の1月、会社設立5年を機に「育てる、つなぐ、伝える」の3つの要素から事業を再構築しました。そして2008年の会社設立より5年が経過し、この3つの要素を軸にした事業が順調に育ってきています。

今後は、例えばNPO団体とマッチングの高い企業を結び付けてコラボ商品を開発する、広報セミナーを大学の寄付講座で実施するなど、想いを等しくする人たちとのネットワークをより深く広く築きながら、最終的な目標である「子どもたちが安心してくらせる社会をつくる」ことを実現したいと考えています。同時に、社員や自身の「家庭の安心」にも力を入れていきます(笑)。

“情報化社会”と言われて久しい世の中ですが、情報が経験や実態を越えることはないのではないでしょうか。PRリンクの取り組みは、情報発信を通して、肝心の事業に迫り、事業に関わる人を育て、全ては「子どものため」という究極の目標へ向かって歩んでいる姿が魅力的だと思いました。