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目の前は青い海!プーケット発、環境教育で注目される小さな学校「ラワイ・プログレッシブ・インターナショナルスクール」

photo by Kana

「ラワイ・プログレッシブ・インターナショナルスクール」のすぐ目の前はビーチ。(photo by Kanako Tokutake)

国連などのデータを参照すると、食料危機と環境破壊の深刻な問題は、近い将来必ず起こるといわれています。海外ではそんな未来に悲観して、子どもをつくらない選択をする夫婦もいるそうです。では、どうすれば希望を持つことができるのでしょうか?

タイランド・プーケットの南端にある小さな学校「ラワイ・プログレッシブ・インターナショナルスクール」は、そんな先の見えない未来が待っている子どもたちに、「こうやって生きていけば大丈夫だよ!」と教えてくれる小さな学校です。そこでは自然農法のコメ作りやリサイクルなど、地球と一体になって自給自足で暮らせるための数々のスキルを学ぶことができます。

Some rights reserved by The Rawai Progressive International School
1クラス3学年が学ぶお家のような居心地の良い教室。

12年の歴史を持つオルタナティブスクール

プーケット島の一番南、ラワイエリアにあるこの学校は、プレスクール、幼稚園、小学校のクラスで構成されています。全校生徒は35人ほどで、校庭の前には広々とした青いアンダマン海が広がる小さな学校です。10年以上前、このエリアに移住してきた外国人の子供たちが通う学校がないということで、有志の保護者たちが力を合わせて学校を作ったのが始まりでした。

その名残として、かつてはエビの養殖場だったという教室が今でもアットホームなクラスルームとして使用されています。プレスクールから小学低学年までは一貫してそれぞれの子どもの自発性を重んじる教育として知られる「モンテッソーリ教育」を取り入れています。

高学年になるとモンテッソーリ教育の概念を取り入れながら、シンガポールの教育カリキュラムをベースに学びます。化学、社会、数学のそれぞれの科目に合わせて、これからの世界で生きて行くために役に立つ様々なプロジェクトを取り入れた独自のスタイルで進めていくのが高学年クラスの特徴です。

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自分たちで生きていくためのプロジェクト

「自分たちの食料は自分たちで作れるように」という概念から、以前、greenz.jpでも紹介した水耕栽培と魚の養殖の栄養循環を利用して栽培・飼育する「アクアポニックシステム」を、先生と生徒全員が一緒になって各自がインターネットで情報を収集しながら作り上げました。

現在進行しているプロジェクトは、大学で農業を専攻していた校長先生がお隣の県、パンガーから取り寄せた100%オーガニックの米から稲を育て、少量の水でも作物が育つという自然農法を取り入れた米作り。緻密な計算をして図面を引き、木工技術を身に着けながら11フィートの木製ボートを作るプロジェクトなどが進められています。

それぞれのプロジェクト進行の約束事は、自分たちの生活の身近にあるもので作り上げること。これは、物に頼らずに代用することを学んで工夫する知識を学んでほしいという思いが根源にあるそうです。そのため、アクアポニックは近所の雑貨屋で買えるプラスチック製の大きな桶、水の循環機能には配管に使うプラスチック製の筒を利用し、子どもたちが計算をして水が循環する穴をドリルで開けて作りました。また、クラス全員で一つのものを作り上げることにより、チームワークとリーダーシップを身に着けてもらいたいという先生方の思いがあります。

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収穫した野菜はみんなで食べます。

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毎日、稲がどれだけ成長したか楽しみだそう。

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のこぎりを使ったり、計算したりすべてが初めての体験のボート作り。

すべての始まりは、リサイクルから。

3、4年前にから「地球に優しく」というコンセプトで、さまざまな活動をはじめました。ビンや缶を集めるリサイクル置き場をつくり、校内で拾った落ち葉や給食の残り物を利用してオーガニック肥料を作ったり、手すきのリサイクルペーパーを作るなどの環境教育を進めていくうちに、子どもたちが大人になった時、生活に役に立つスキルを身に着けるプロジェクトを授業内で進めていこうと、いうことになったのです。いま展開しているプロジェクトは、どれも環境教育の延長なのです。

と、校長先生であるシェーンさん。かつての環境プロジェクトの取り組みは、タイ国内でも注目され国内のテレビ番組でも紹介されました。


テレビ番組で紹介された映像

地域に影響を与える教育スタイル

学校で作った液体肥料は、学校の庭職人さんが家庭に持ち帰り、近隣のタイ人家庭で使われるようになりました。また、少量の水を利用する自然栽培は、何人かの保護者が興味を持ち、家庭農園で同じ手法を使いオーガニックの野菜を育てるようになったそうです。

子供への教育を通して近隣地域のサティスナブルなコミュニティ作りに貢献したい。

とシェーンさんはその夢を語ります。

2014年には新しいエリアに移転し新規一転して再出発する予定の「ラワイ・プログレッシブ・インターナショナルスクール」。今後は、これらの教育スタイルを地元の子どもたちにも広めたいとスカラシッププログラムを始める予定だとか。

「ラワイ・プログレッシブ・インターナショナルスクール」は、国籍を問わずボランティアや見学者もしくは新しいプロジェクトのパートナーを常時受け付けるオープンな学校です。これらの学校教育に関心がある方は、是非一度連絡をしてみてはいかがでしょうか?ここからの新たな出会いが、地球規模の教育コミュニティの発見につながるかもしれません。

(Photo:Some rights reserved by The Rawai Progressive International School )

The Rawai Progressive International School

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