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つむぎや友廣裕一さん、Farmer’s Market 田中佑資さんに聞く、「ビジネスをつくる」ってどういうこと? [green drinks Tokyo レポート]

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グリーンズが毎月開催している「green drinks Tokyo」。今年は参加者みんなでアイデアを出し合うワークショップ「マイプロCAMP!!」を行なってきましたが、今回は「マイビジネスをデザインする」をテーマにトークライブスタイルでお届けしました。

ゲストにお呼びしたのは、宮城県・牡鹿半島で活動する「つむぎや」の友廣裕一さんと、表参道を中心に「Farmer’s Market」を運営する田中佑資さん。大学の同級生だったというお二人だけあって、アットホームな雰囲気の中、笑いあり学びありのトークが展開されました。

マイビジネスの第一歩は、1本1000円のミサンガ

まずは友廣裕一さんから、今に至るまでのストーリーを話していただきました。

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大学を卒業後、地域に関わる仕事をしたいと、全国70以上の農山漁村を訪ね、農業・林業・漁業・畜産業等のお手伝いをしながら旅して周ったという友廣さん。3.11が起きたときは「何か力になれないか」と被災地へ向かったのも自然な流れだったようです。

友廣さんが訪れたのは、津波による大きな被害を受けた宮城県・牡鹿半島。ここで「つむぎや」として様々な復興プロジェクトを行なっています。今回はそのうちの3つを紹介してくれました。

ひとつめは漁網ミサンガ作り。漁師さんが使う網の補修糸でミサンガを作っているお母さんと出会ったことがきっかけで、このミサンガでビジネスを始めることにしたそうです。

値段は1本1,000円。そのうちの半分が給料、もう半分を貯金に回しました。お金をためながら、次にやることを考えていました。

と友廣さん。

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こうしてミサンガの制作・販売を進め、その半年後にはアクセサリーブランド「「OCICA」」が誕生。牡鹿半島は名前の通り、鹿が多く生息している地域。そこで「鹿の角を使って何かつくることができないか」と考えていたときに、仮設住宅の問題を知ります。

仮設住宅に住む人は支援物資が届くので、何もしなくても物が手に入り、一日が終わってしまうんです。特にお年寄りの人は家から出なくなった。そこでお年寄りの人も含めて地元の人たちと、鹿の角で何かできないかと考えて生まれたのが「OCICA」です。

先日はこのOCICAができるまでの物語や人々との関わりについて綴った『OCICA石巻市牡鹿半島、小さな漁村の物語』を出版。「断片的に紹介すると誤解されてしまうこともあるので、全て包み隠さず紹介しています」と友廣さん。手づくり感のある一冊に、参加者も興味津々でした。

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OCICAのネックレス

また今年の8月からは、日替わり弁当を販売する「ほっぽら食堂」がオープン。「ほっぽら」とは「急に・突然」という意味の方言で、お店にはメニューがなく、その日にある魚を使ったお弁当を販売しています。

震災が起こる前から、町の女性たちは漁師の旦那さんが捕った魚で食堂をやりたいと思っていたみたいなんです。じゃあその夢を実現しようという話になって、「ほっぽら食堂」を開くことになりました。

地元の人たちが本当に求めていることに配慮しながら復興のお手伝いをしている友廣さん。「地域に眠る物語を生き生きと形作っていきたい」という思いが伝わり、会場内も温かい空気に包まれました。

「料理の前に、野菜がある」

続いて田中さんは、今につながる原点から話してくれました。

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僕は小さい頃から、岡山で農家をしている祖父母が作ったお米と野菜をずっと食べて育ちました。学生のときに一人暮らしを始めたんですが、祖父母が野菜を送ってくれたんですね。そこで改めて「料理の前に野菜があるんだ」と、当たり前のことに気づいたんです。

それまでずっとおじいちゃんたちが作っているものを食べてきたけど、どうやって野菜を育ててるのか全然知らないし、考えてみたこともなかった。じゃあ見に行ってみようと思って、農家さんのもとを周るようになりました。

こうして農業や食に関心を持った田中さんは、現在、東京・表参道で3つのファーマーズマーケットを運営しています。

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国連大学前のファーマーズマーケット

一つは、シャネルやブルガリが入っている「GYLE」というビルの地下。高級ブランド店のある建物で野菜?!と驚きですが、ビルのコンセプト「shop&think(買い物は世界とつながっていると考えること)」と合い、4年前から月に2回開催されています。

しかし「月に二度だと、いつやってるかわからない」という人も多く、「行けばやっているという状況をつくりたい」という思いから、国連大学前の広場で毎週末、もう一つのファーマーズマーケットを始めました。広い敷地に60店以上が参加し、野菜だけでなくパンやジャムなどが売られ、毎週たくさんの人たちでにぎわっています。

「毎週やったら、やっぱり毎日たりたいよね、ということになって」と田中さんが最後に紹介してくれたのは、今年オープンしたばかりの「246 COMMON」。野外マーケットにはカフェや花屋、雑貨屋などが並び、天気の良い日にはのんびり休むにも気持ちよさそうです。

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246 COMMONは22時までオープン。

野菜はメディア

3つのマーケットの紹介を終えたところで、田中さんはこんな話をしてくれました。

マーケット=市という言葉は「都市」という言葉に入っているな、と。僕たちは何らかを交換して生きている。それはスーパーでどこかから来た野菜を買うこともできるし、ある人がつくった野菜を買うというやり方もありますよね。僕はそいういう物語のある野菜を届けていきたいという思いでやっています。

野菜はメディアだと思うんです。無農薬や減農薬の違い、こだわりの栽培方法など、いろんな価値観がある。そういうことを伝えていきたいですね。

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マーケット内に移動農園を置いてラディッシュの収穫体験ができる日も

そんなファーマーズマーケットで、参加者から最も多いという質問が2つあるそうです。

一つは「この野菜って無農薬ですか?」という質問。確かに気になりますよね。しかし法律上、「無農薬」とは言ってはいけない決まりがあるらしく、農家さんにとっては答えるのが難しい質問だそう。そこで無農薬とは、有機栽培とは、という基本的なことについて農家さんから学んだことをまとめた書籍『これからの野菜の食べ方』を出版。

そしてもう一つの質問「この野菜どうやって食べるとおいしいですか?」に対する本『畑レシピ』も出し、農家さんから聞いたレシピのうち、厳選した100個が紹介されています。ちなみに著者のクレジットには「男子野菜部」というユニークなユニット名になっています。

現場を見ることと、後悔しない道を進むこと。

東北と野菜。それぞれ全く異なる分野で活躍しているお二人ですが、目指している方向は同じようです。後半のトークセッションでは大学時代から変わらない根っこについて話してもらいました。

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左からgreenz.jpフクヘンの小野さん、田中さん、友廣さん

根っこにあるのは、一番最初に話した、おじいちゃんおばあちゃんの野菜のこと。現場を見ることと、自分の知らないことを知りたい、見たいというのを大事にしています。本ばっかり読んでてもわからないし、一回は行ったほうが価値があると思って、なるべく現場に行くようにしています。(田中)

この枠に収められなければいけない、という生き方に違和感があって、「友廣に頼みたい」と人に求められるような仕事をしたいと思っていました。だから何がしたいというテーマというよりは関係性の方を重視していますね。

ずっと変わらないのは、後悔するのだけは嫌だということ。失敗したとしても、その時は苦しいけど、その後うまくいくかもしれないし。(友廣)

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お二人の話に参加者も頷いたり笑ったり。

また最後に、これから二人で何か一緒にやるとしたら何をしたいですか?という質問をしてみると…

例えばこの前246 commonで一緒にOCICAのイベントをやったりしました。ただ、慌てて何かをガッツリ一緒にやろうとは思ってないですね。(友廣)

僕も同じで今、二人で一緒に、というよりは、これからお互いがやりたいことを続けて、やりたいことがみえてきたら友廣を使い、友廣も僕を使い、とやっていけたらいいですね。(田中)

と答えてくれました。

小さな一歩から始まった「マイプロジェクト」が、いつまにか「マイビジネス」として成立していく。その根底にあるのは、「必要とされていることをする」というシンプルな信念なのかもしれません。「ビジネスをつくるなんて縁遠いよ」と思っている方も、まずは小さな第一歩を踏み出してみませんか?

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