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日本と世界の社会起業家をつなげたい!ロンドン発、世界のチェンジメーカーを訪ねる旅行会社「Inspiring Adventures」 [MYPRO LONDON]

Some rights reserved by Sean MacEntee

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読者の皆さんも、旅をしたことで考え方や価値観が変わった経験をお持ちの方も多いと思います。旅とはただ「楽しかった!」だけではなく、見たこと、体験したことによって人生を大きく変えるような経験を得られる素晴らしい時間ですよね。

今回は、旅を通じて人生を「チェンジ」する機会を提供するロンドンのソーシャルベンチャー「Inspiring Adventures」をご紹介します。

旅で社会起業家をつなぐ

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Richard Brownsdon

3年間ほど日本に住んでいたことがあったので、2011年の「東日本大震災」のあとすぐ、「ぼくに出来る事はないか」と復興プロジェクトに応募したんだ。そこで、ピースボートという日本のNGOに出会い、そのスタッフとして参加するために日本へ行くことにしたんだ。

その旅を通じて、世界中で行われている社会的な活動や他国の文化に触れていく中で、人々の考え方や物の見方が変わっていく姿を目の当たりにした。そのポジティブな「チェンジ」を見たとき、純粋にこの仕組みを若手起業家たちのために提案したらどうだろうと思いついたんだよね。

こう語るのはロンドンの起業家Richard Brownsdon(以下リチャード)。

旅の可能性に気付いた彼は、世界中の人が集まる街ロンドンで、「Inspiring Adventures」という会社を立ち上げます。彼の肩書きは”アドベンチャー・アーキテクト”。刺激的でインスピレーションあふれる旅を企画し、チェンジメーカー同士をつなげる取り組みを行なっています。

地元ロンドンで定期的に行なっているのが「Hub Crawl」というミニツアー。こちらはいよいよ東京でもスタートしたチェンジメーカーの集まるコワーキングスペース「Hub」が舞台。Hub Islington、Hub Kings Cross、Hub Westminsterと3つのハブを一夜でぐるっと周り、新しいアイデアを持った起業家たちに出会うことができます。

他にも、「旅」をテーマに活躍する社会的起業家を取りまとめて「Alt Travel Party」なるイベントも企画しています。

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いま進行中なのがブラジルへの旅。2013年1月を目処にサンパウロ、リオデジャネイロなどに行き、現地の社会的起業家に出会う旅を計画中です。その次は日本への旅も検討しているのだとか!

「より多くの人たちが自分を見つめ直す機会になり、そしてその気付きを次の行動に移し、みんなでより良い世界を作っていくきっかけになればいいなと思っています」というリチャード。ただの観光旅行ではなく、各国で同じような志を持った人同士がるながることで、世界中にたくさんの種がまかれているんですね。

高校生のときのビジネス初経験

リチャードがこんな刺激的な旅×ソーシャルベンチャーのビジネスをはじめるに至るまでに、どんな原体験があったのでしょうか?ここからはリチャードの個人的なストーリーをお届けします。

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ピースボートにて

イギリスの中でも、グレートブリテン島とアイルランドの間に位置する小さな島、マン島という島育ちのリチャードは、は小さな頃から旅とビジネスに触れている少年だったようです。

マン島はタックスヘイブン(一定の課税が著しく軽減、ないしは完全に免除される国や地域のこと)としても有名で、世界中から多くの富裕層が集まる島なんだ。僕の通っていた高校もとてもインターナショナルで、当時から外国の文化に触れていた。

そのころ僕は、どうやったらお金を作り出すことができるのかってすごく興味があって、ただ漠然と「ファイナンスの仕事をすればお金を稼げるんだ!」って思ってた(笑)

そんなリチャードが起業家になるきっかけとなったのが「Young Enterprise」という高校生向けのプログラム。仕組みはシンプルで、出資者に5ポンド(日本円にして約600〜700円)ずつ投資してもらい、ステッカーをつくって販売するというものでした。そのプログラムは成功し、出資者には5.5ポンド返すことができたのです。

金額にしてみたら50ペンス(日本円にして約60〜70円)だけど、利益でいうと10%出すことができたんだ!失敗してもそんなに大きな損害ではなかったにせよ、マイナスはマイナスだからね。この小さな成功体験は、僕にとってビジネスの楽しさを感じさせてくれた。

人生を変えた海外生活

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アメリカでのサマーキャンプ

そんな原体験もあり、大学でビジネスを専攻したリチャードですが、「実を言うと大学時代はいわゆる普通の大学生」と言います。

特に将来に対するビジョンや夢もはっきりとなかったし、パーティーや飲み会なんかを普通に楽しんでいたね。だから、僕は何かを探さなくちゃと思って、アメリカに行ってキャンプカウンセラーとライフガードの仕事に挑戦してみることにしたんだ。

僕にとってはそれこそ本当の「This is my first inspiring adventure」だった。違う国で、様々な国籍の人たちとともに仕事をする体験はただただ衝撃的で刺激的だったし、何より他の国で働くことができたことが自信にもつながったよ。

アメリカでの仕事の契約が終わったあとも、海外で働くという情熱を抑え切れず、母国に戻ったあとは日本へと目標を切り替えます。渡航費を稼ぐべく数ヶ月働いたのち、「JETプログラム」の一環で英語教師として、念願だった日本に3年間暮らすことになります。

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外国での暮らしは自分自身の人生を見つめるのにいい機会だった。そこで改めて僕の興味が「ビジネス、起業」というものにあることに気付いたんだよ。そこからは、色々な本をひたすら読み漁ったね。

日本でのJETプログラムが満期になった後は、バックパッカーとして世界中を旅して回ることに。インド、ネパール、中国、北欧などなどを約一年間かけて廻りながら、断片的だった人生の経験が経験がつながっていったのです。

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バックパッカーで訪れたインド

「何のためにビジネスをするのか」を大切に

起業するためにヨーロッパに戻ってからは、スペインで「Erasmus for young entrepreneurs」というEU後援の短期プログラムに参加したリチャード。そこで旅行者向けの健康サプリメントを提供する「Pro Travel Aid」という会社を立ち上げます。しかし初めての起業は思うようにいかず、「何のためにビジネスをするのか」を深く考えていました。そこに訪れた転機が、2011年に日本で起きた東北大震災、そして2度目の来日で参加したピースボートだったのです。

いま僕が情熱をもって挑戦したいのが、日本とイギリスの起業家たちをつなぐこと。大好きな日本で自分のミッションを果たせることにワクワクするし、活気のある国同士をつなぐことで、大きな世界がどうやったら幸せになれるか、みんなで対話していけるといいね。

[MYPRO LONDON] Richard Brownsdon – Inspiring Adventures from Happiness Architect™ on Vimeo.

まだまだ「Inspiring Adventures」も始まったばかり。スタートしてすぐに成功するというのはなかなか難しいものですが、ひたすらゴールを目指すのではなく「プロセスを楽しむ」ことも大切だとリチャードは語ります。

自身の大切な原体験をもとにはじまったマイプロジェクトが、誰かの「チェンジ」のきっかけとなるマイビジネスに育っていく。その成長の様子を、しっかり見届けたいと思います。

(Text:Chiori Katsuro)

ロンドン発のコーワーキングスペース「Hub」が日本にもやってくる!

日本にもこんな「チェンジメーカー×旅」のサービスがあります