街に出るとよく見かける空き地の数々。みなさんは空き地を見て「もっと街のためになるものに活用されたらいいのに」と感じたことはありませんか?
今回はそんな空き地を活用して街の課題の解決にちょっと貢献したプロジェクト「まちキャンプ」をご紹介します。それは被災した宮城県石巻市で生まれたプロジェクトでした。
まずはこちらのプロモーション映像をご覧ください。
周りには住宅や学校のある何の変哲もない空き地が、なんとキャンプ場に様変わり!空き地にキャンプ場ができたのには、ある背景がありました。
「まちキャンプ」を実施したのは、宮城県石巻市で活動する街づくりプロジェクト「石巻2.0」。 これまでgreenz.jpでは何度か「石巻2.0」の活動を紹介してきました。
▶ 一冊のフリーペーパーから始まった街づくり。『石巻2.0』の仕掛人に聞く石巻の今、そしてこれから。(前編)(2011年9月)
▶ 通いたくなる被災地滞在システム「復興民泊」もスタート!『石巻2.0』の仕掛人に聞く石巻の今、そしてこれから。(後編)(2011年9月)
▶ 「コミュニティを育て、未来をつくる」ー 震災から1年、「石巻2.0」の今を訪ねました。(2012年4月)
被災地では全体的に、宿泊施設の不足という問題が以前からありました。各地でホテルの営業再開が進んでいますが、それでも建築業者の方が多く泊まられているため、ボランティアや旅行で来る人たちのための宿泊場所が足りない。そのため「石巻2.0」では震災前から空室となっていて、価値を生み出していなかった場所をリノベーションして滞在できる部屋へ生まれ変わらせる「復興民泊」というプロジェクトを昨年の9月からスタートしました。
また、昨年から石巻最大のお祭り「川開き祭り」を盛りあげるために「STAND UP WEEK」という10日間のイベントを開催。「石巻デザインウィークエンド」や「石巻ハッカソン」など連日催しものが行われましたが、それを楽しみに石巻に訪れる人々のための滞在施設が「復興民泊」だけでは不足するようになり、新たな課題となってきたのです。
そこで生まれたアイデアが「まちキャンプ」です。きっかけはある日の飲み会での「あ、そういえばあの病院跡ってどうなったの?」という何気ない一言。実家の病院が被災した石巻2.0関係者への質問でした。すると「もう取り壊され、更地になってる。何か有効利用できない?」という返事が。その場で話し合いが始まり、あっという間にキャンプ場にすることが決まったのです。
「まちキャンプ」では結果的に計12名の方が宿泊しました。気になるトイレは仮設トイレを設置し、風呂は近くの銭湯を利用、水道もあったので、キャンプ場としてまったく不便がなかったそうです。今回は実験的に行ったため、次回からはもっと多くの方に泊まってもらえるようにしたいとのこと!ぜひ泊まってみたいですね。
ちなみに「まちキャンプ」を照らす電気には、水につけて発電するマグネシウム電池とLED照明を組み合わせた「アクモキャンドル」を使用したそうです。おかげで発電機を使うことなく、キャンプを行うことができたらしいですよ。
被災地の宿泊施設の不足という問題を背景に、最近では8月17日に福島県の南相馬市原町区に作業員向けの仮設宿泊所がオープンしました。また、岩手県の陸前高田市では7月28日に学校の校舎を活用したボランティア向けの簡易宿泊所がプレオープン。各地でこの問題に対する取り組みは進みつつあるようです。
東日本大震災から1年半が経ち、復旧・復興は進みつつありますが、復興に向けての街づくりはまだまだ始まったばかりです。しかし、月日が経過するに連れて東北の情報に触れられる機会が少なくなりつつあります。
だからこそ、復興支援活動をする人や現地で生活する人と東北を訪れて友達になって情報を得ることは、復興に関わる第一歩として大切なはず。そのためにも「まちキャンプ」や「復興民泊」のようなアイデアがもっと活用されるといいですね。
(Text:緒方康浩)
「石巻2.0」は他にも様々なプロジェクトをやっています。