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ゲームにアニメ、プログラミング、好きならとことん!中高生向けのデジタル教育プログラム「Life is Tech!」[マイプロSHOWCASE]

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子どもの頃、あなたはなにが得意でしたか?
スポーツが得意だった男の子、クラスで目立っていましたよね。勉強ができる子も、みんなに一目置かれていました。

勉強やスポーツ以外でも、本当は一人ひとりに「これだけは負けない!」ことや、「大好きでたまらない」何かがあったはずです。でも、周囲がそれを認めてくれなければ、そんなまっすぐな情熱も大人になるにつれて、だんだんと薄れていってしまうものです。

それって、もしかして可能性の芽をまわりが摘んでしまっているのでは。
好きなことを伸ばしてあげたい。とりわけ、このデジタル環境に自然に慣れ親しんでいる若い才能をすくいあげて、“オタク”っぽく見られてしまいがちなテクノロジー領域の「好き!」を育てたい。

そんな思いから生まれたのが、今回ご紹介するICT(Information and Communication Technology)に特化した教育プログラム「Life is Tech!」です。

1年あまりで延べ500人が参加、デジタル技術でものづくり

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初心者でも楽しんで取り組める内容ながら、技術や機器は本格的

オリジナルのスマートフォンアプリを開発したり、ゲームをデザインしたり。はたまた、FLASHでショートアニメを作ったり。一見、専門のICT知識や技術が必要そうに思えるこれらのプロジェクトに、「Life is Tech!」では初心者の中高生が熱心に取り組んでいます。この試みはメディアの注目も集めており、初回の開催時にはワールドビジネスサテライト(テレビ東京)の取材も受けました。

参加者は何も、デジタル技術を特別に学んできたわけではありません。必要なのは、好奇心だけ。インストラクターやメンターの的確なサポートを受けて、チームごとに発案から開発まで参加者が主体的に行います。

子ども向けと思うことなかれ、使用される技術や機器は最先端で本格的。これまで開発されたものの中で、iPhoneアプリは実際にApp Storeに公開されているものもあるんです。彼らは同時に、プログラムを通して同じ「好きなこと」を持つ仲間にも出会います。

「Life is Tech!」は、2010年7月に設立されたベンチャー企業「ピスチャー株式会社」が運営。同社はこの教育プログラムの企画運営を軸に、研修事業や採用支援事業に取り組んでいます。

プログラムの準備期間を経て、昨年の夏休み期間に最初のコースを実施。その後の冬休みと直近の春休み、さらにゴールデンウィークと、着実に回を重ねてきました。参加者をオープンに募集しているプログラムのほか、特定の中学校や高校と提携して実施する場合もあり、延べ参加者は1年あまりで500人に上っています。

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お昼は学食で!大学で行われるのでキャンパスライフも体験できます

プログラムの期間はその内容によって、3日間と5日間。通いのコースに加えて、この春からは宿泊のコースもスタートしました。自分たちがアイディアを出したものが完成したあかつきには、「おぉ~!」と歓声が。

いずれも現在協力を得ている東京大学、九州大学、慶応大学SFC、デジタルハリウッド大学のキャンパスで行われており、参加する中高生にとっては大学生活を疑似体験できる機会にもなっています。協力大学は、今後もどんどん増えていく見込みだそう。

このプログラムには、AppleやNEC、KDDI、Adobeシステムズが機材・ソフトウェア提供をしているほか、サイバーエージェント、リクルート、NTTドコモと電通の合弁会社であるディーツー コミュニケーションズなどがスポンサーになっています。

また、東映アニメーションや社会人向けアプリ開発スクールのRainbowAppsがプログラム協力をするなど、IT業界の第一線を走る多くの企業が若いうちからのICT教育が必要だと考えていることが分かります。

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グループごとにそろいのポロシャツを着て、いざ開発!

「好き」な気持ちをまわりが伸ばせれば、学ぶ力に転換できる

「Life is Tech!」を運営するピスチャーのコアメンバーは、現在3人。同社を立ち上げた代表取締役の水野雄介さんは、自身が物理学の先生をしていた経験から、もっと「好きだ!」という気持ちを伸ばしてあげられないか、考えるようになったといいます。

元々教員志望で、物理情報工学を専攻していた大学院時代に2年間、開成高校で物理の非常勤講師を務めた水野さんは、いったんは人材系のコンサルティング会社に就職。その3年後にピスチャーの立ち上げに至りました。

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ピスチャー 代表取締役の水野雄介さん

いまの10代は、自分たちの頃と違って、生まれたときからデジタル技術に親しんでいる、と水野さんは話します。

その若い感受性で、彼らは新しいツールや技術をどんどん理解していきますし、ちょっときっかけをつくってあげれば僕らの想像以上のアイディアが出ることもめずらしくありません。大学院時代に非常勤講師をしていた頃、授業以外でもいろいろと生徒と話している中で、彼らの持っている純粋な好奇心には僕も刺激を受けていました。

でも、学校という場にはあらかじめ大人が規定した「役立つこと」を教える大前提があるので、一人ひとりの好きなことを伸ばそう、というアプローチはなかなか難しいんですね。特に進学校で勉強ができる子は、元々は本人にその希望がなくても周囲から医者や弁護士になることを勧められたりして、画一的な受験勉強へと促されてしまう。

それに、アプリやゲームが好きで将来はいいエンジニアになるかもしれない子でも、こうしたデジタル領域の話はおおっぴらに言うと“オタク”のように受け止められてしまいがちなので、自分だけの趣味として楽しんでいることが多かった。

そんな隠れた個性や才能にもっと周囲が注目して、役立つからではなく、「好きだ」という気持ちを学ぶ力にうまく転換することができないか、と考えるようになったんです。

同時に、社会に出てビジネスの世界を経験しないまま教師になっても、物理学以外に社会のことや職業のことを伝えられない、という自身の状況にも気付いたそう。そこで、まずは一般の企業に就職。経営者や先輩、同じように社会に出た友人たちと接する中で、水野さんは「生き生きしている人はみんな、自分が好きなことを仕事にしている」ことを実感します。

「IT教育が必要だと思っていた」多くの大学・企業が賛同

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プログラム中のひとコマ。外だとまた新しいアイディアが生まれるかも?

自分の中で教育に対する考えがさらに深まり、また共に漕ぎ出す仲間が見つかったことで、2010年6月に退職し、翌月に起業しました。そこから1年ほどで初回のサマープログラムを実現したわけですが、もちろん、最初は手探りだったと水野さん。

起業した当初は、中高生がその感性を活かしてデジタル技術に触れられる機会をつくりたい、それも座学ではなく体験できることが大事だ、と思っていました。イメージとしては、子どもがその職業になりきって体験できるキッザニアのような仕組みです。でも、僕らには知見も実績もなかったのでなかなかコンセプトが固まらなくて。

それで、周囲からのアドバイスもあり、教育分野で先へ進んでいるアメリカに参考事例がないかと、特にITの先端であるシリコンバレーに視察に行ったんです。

そこで知ったのが、「Tech Camp」という教育プログラム。各大学が協力して、10代の子どもの体験学習の場を設けていました。10年ほど前から実施されており、いまでは60以上の大学が参加、延べ参加者は1万人以上になっているそう。

帰国後、このプログラムをモチーフにして「Life is Tech!」のプログラムを固め、講演会に行って名刺交換をしたり、直接電話をしたりと、協力を得たい人や企業へ次々と直球のアプローチをしていきました。

企業の対応部門は、CSR部や新規事業開発部などさまざまで、常務など役員がみずから対応しているケースも。実際にゼロからつながりを築いていく中で、企業の側からは予想以上に「10代の頃からデジタルに触れる機会が必要だと思っていた」という声が聞かれたそうです。

企業にとっては、IT業界の未来の人材育成になるだけでなく、技術の素晴らしさをより多くの人に知ってもらうこともできる。ただ、「教育」には概して長い時間を要しますが、いち企業で行うには単発になりがち。そんな状況に、水野さんたちの勢いのある行動力が風穴を開けました。大学の協力も得られ、社会がデジタルクリエイティブの力を求める機運を束ねるように、「Life is Tech!」は滑り出したのです。

イチローがモテるように、デジタル界にもスーパースターを!

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品川女子学院中学校では課外授業として実施しました

昨年夏の初回プログラム実施と時を同じくして、品川女子学院中学校の課外授業として、5日間のコースを提供しました。これも、以前から職業体験学習などに積極的に取り組んでいる同校の漆校長の講演会に参加し、面識をもったことから実現したものです。

でも、学校提携の場合でも、実施場所としてこだわっているのは大学。このときはSFCで行われ、参加した中学生は学食へ行ったり、研究室を訪問したりと、キャンパスライフを体験しました。ちなみに、このとき開発されたiPhoneアプリ「iBento」がApp Storeで公開され、すでに1万回ダウンロードされています。

「Life is Tech!」では専門知識のある大学生がインストラクターになっているほか、活動を続ける中で出会った、実際にプログラミングなどの高い技術を有している中学生や高校生がサポート役としてプログラムに参加することも。同世代の参加者に刺激を与えてくれている、と水野さん。

彼らスーパー中学生や高校生は、オリジナルアプリが何十万もダウンロードされていたりと、華々しく活躍中。その様子をWEBサイトで紹介することでも、スポットを当てています。さらに、参加者に限定せずに中高生にデジタル技術の門戸を開く取り組みとして、オリジナルアプリのコンテスト「アプリ甲子園」を立案。今年秋には第2回目を行う予定です。

この先、まず参加者を3年後に年間1,000人、5年で年間3,000人に伸ばしたい、と水野さんは展望を話します。プログラムをどんどん進化させるべく、振り返りとブラッシュアップを重ねながら、全国展開へと着実に歩んでいます。

この春には、参加者増を目的とした「アプリ開発は、パズルだ!」キャンペーンを実施。ある文字列を読み解くクイズを出題し、WEBで展開するほか、主要な中学校や高校にポスターを掲出してもらいました。

保護者の方も、質のいい教育にはお金を惜しみません。だからこそ、最高のプログラムを提供したいと常に改善を続けているんです。リピート参加を促すのも今後の課題なので、参加費に見合うだけの質にこだわりたい。

僕らの考えのコアにあるのは「本当に子どものためになることをしたい」という気持ちですが、慈善事業としてやっているわけではないので、甘えを持たずにきちんと事業として発展させていきたいと思っています。

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企画から仕上げまでを手がける達成感は大きな経験になります

この事業のきっかけになった、デジタル好きの子を輝かせたいという思いは、やがて「デジタルを使えるってかっこいい!」という価値観をどう生み出すかに集約していきました。水野さんは、自分自身が好きな野球になぞらえて、こんなふうに話します。

野球選手のイチローが「かっこいい!」と言われるのと同じように、デジタルに強い人が社会の注目を集める時代にしていきたい。野球のドラフト制度のように、有能な若い人材が企業を逆指名したっていいですよね。高校野球の人口が16万人くらいなので、Life is Tech!の参加者が20万人になる頃には、そんな価値観が広がっているはずです。

「Life is Tech!」を通してできつつある全国のネットワークを活かして、例えば個々の教育現場で教材づくりに取り組んでいる先生たちが、教材を共有できる仕組みを構築するなど、横のつながりを生み出すことも視野にいれているそう。この取り組みの先に見据えているのは、IT教育から日本の教育を変えること。日本は資源が豊富ではない分、教育に投資することが最大の未来への投資だと強調します。

直近では、5月27日にイベント「Edu-Tech-Fes」を行う予定。教育からITを、ITから教育を考える、講演方式のフェスティバルで、Google日本法人名誉会長村上氏、東京大学三宅教授、茂木健一郎氏、孫泰蔵氏など多数の著名人が講演予定。爆発的な行動力で、これからもどんどん賛同者が増えていきそうです。

(Text:タカシマトモコ @tomotks

教育とテクノロジーの祭典「Edu × Tech Fes」

日 時:5/27(日)13:00-18:00
場 所:東京大学 伊藤国際学術研究センター
講演者:村上憲郎氏、三宅なほみ氏、茂木健一郎氏、中村伊知哉氏、孫泰蔵氏など
募集人数:500名
金 額:中高生無料、大学生社会人3000円
申込方法:Life is Tech!ホームページの申し込みフォームより

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