「シビックプライド」とは、市民がまちに対して誇りや愛着を持ち、自分達がまちをつくっているという当事者意識を持つことです。ここでいう“市民”とは、まちに住む人、働く人、来る人のこと。その人がまちとどうやって接点を持ち、愛着を持って関わっていくか。
「“シビックプライド”とコミュニティデザイン」についてシビックデザイン研究会の紫牟田伸子さんのお話を伺いました。
「あなた(=市民)がドキドキすると、私(=バルセロナ)もドキドキする」という、バルセロナ市のキャンペーンで発信されたメッセージ。これは、街にバナーとして掲げられたり、ポスターやTVCMなどを活用し、市民へ呼びかけられました。
バルセロナ市では、こういった様々なキャンペーンのコンペを、若いデザイナー達に向けて行なっているのだそうです。市民こそが都市である、行政が市民とともに都市の未来つくっていくとキャンペーンを通して、積極的に発信するのと同時に市民の意識調査を行っているケースです。
まちの中に存在する、広告キャンペーン、建築物や景観、お祭りやワークショップなどを人とまちがコミュニケーションするメディアとして、雑誌の編集のように文脈をつくる。
それが紫牟田さんの何度も繰り返していた「まちはもっと編集することが出来る」という言葉に繋がります。
「まちのコミュニケーションをデザインするによって、市民がまちを好きだと思う気持ちを育てることが出来る。そういう気持ちを生み出すには、“誰のためのプロジェクトなのか”を見据え、その都市の持ち味を活かし、きちんとまちの出来事や変化を人々に届けることが大事。
ビジョン、戦略、行動を可視化し、様々な人をつなげ、注目のきっかけを作り、持続の仕組みを作ること。排他的な郷土愛にならないこと。また、考えて表現したことに対して外からの反応が内側を変えるんです。」
と紫牟田さん。
最近、紫牟田さんは、編集家/プロジェクトエディターと名乗ることにしたのだそうです。
編集家とは?という質問に、「友人が、絵本にまつわるあれこれをやるから絵本家と名乗りだしたんです。それを聞いて、わたしもまちの編集にまつわるあれこれをやるから、編集家!と」
「今日お話したことは、1年やそこらで成果を出すものではなくて、漢方薬のように、じっくり効いてくるもの。
市民の皆が皆、意識的になるわけではないけれど意識的な人からシビックプライドを考え始めましょう。」
そんな風に話してくれました。紫牟田さん、どうもありがとうございました。
プロジェクトライター:中里希
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