“メリーゴーランド”型の設備といえば、グルグル回すことでポンプから水をくみ上げる「PlayPumps」が広く知られていますが、このほど、この原理に似た人力ドリルが、開発されました。
米ブリガムヤング大学(Brigham Young University)の学生チームは、人力で動くドリルを開発。小さめのメリーゴーランド型ハンドルを回転させると、先に付いているドリルが動き、地面を掘り進めることができます。基本的には、大人4人で操作することを想定。3人がハンドルを回し、残り1人が、狙ったスポットにドリルがヒットするよう、必要に応じて上げ下げする役割を担います。
アフリカ諸国をはじめとする発展途上国では、慢性的な水不足が、長年、深刻な課題に…。飲料水を確保するために、何時間も費やし、遠方にある井戸との間を行き来せねばなりません。この課題を解消するには、井戸の建設が不可欠ですが、たとえば、タンザニアで1ヶ所の井戸にかかるコストは15,000米ドル(約115万円)。ドリルの運搬やメンテナンスコストも含めると、大きなコストを要します。
そこで、ブリガムヤング大学の学生チームは、世界中に清潔な水を届けようと活動するNPO「WHOLives.org」と提携し、1年間のプロジェクトを通じて、人力ドリルを作り上げました。一般的なドリルと比べて極めて安価な上、数日で150~200フィート(約45.7~61メートル)を掘ることが可能。井戸の建築コストも、2,000ドル(約15万5千円)程度にまで抑えることができます。
タンザニアでのトライアル実験に成功し、実用化も間近だとか。今後は、他の発展途上国にも展開していく方針だそうです。技術を活用し、水不足に悩む人々の生活を変えていく、広義での「ソーシャルデザイン」の成功事例といえるでしょう。
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