毎日、使われないまま何万トンも廃棄されている米国の医療用品。一方、発展途上国では、医療用品の不足で十分な医療サービスが受けられず、多くの人々が命を落としているという現実があります。そこで、このような医療用品の偏在を世界規模で解消しようという取り組みが、「DOC2DOCK」です。
「DOC2DOCK」は、規則上の理由から廃棄されている未使用の医療用品を、米国100ヶ所の医療機関から集め、専門家やボランティアのネットワークを通じて、発展途上国に送るプロジェクト。
これらの医療用品は厳密な基準に則って検査されたのち、各地の医療現場からの事前ヒアリングに基づき、それぞれのニーズに合ったものを届ける仕組みとなっています。これまでに、米国からアフリカ諸国やハイチに向け、40フィートコンテナ25個分の医療用品が送られ、200万人以上の患者さんに役立てられたそうです。
この取り組みは、2005年、Bruce Charash博士によって立ち上げられ、クリントン元大統領が主宰するクリントン・グローバル・イニシアチブ(Clinton Global Initiative)のひとつとしても知られています。
「DOC2DOCK」は、医療用品の偏在を解消し、発展途上国の医療の充実に役立つのはもちろん、米国内の医療廃棄物を削減できるという利点もあります。医療と廃棄物削減という二つの重要な社会的課題を同時に解決する画期的な事例といえるでしょう。
[via PSFK]