ほんの数日間ではありましたが、都内のスーパーからお米が消えた時、言いようのない不安にかられました。食卓に欠かせない主食お米があることの心強さ。日本人であれば誰しも“お米さえあれば何とか生きていける”という感覚を持っているのではないでしょうか。「食」を通じて東北の生産者や被災者、ひいてはこれから復興していく農家を支援しようという長期的な活動が始まっています。
お米だけでも十分あれば心の支えに
Food For Friends(以後FFF)は、東北の農家からお米を買うことで生産者の暮らしを支え、同時に被災者に向けて義援金やお米そのものを届けようという仕組みです。
お米は5kg、10kg、30kgからチョイスでき、1kg当たり100円が義援金として日本赤十字社へ寄付されます。
この義援金はあくまで生産者と消費者の仲介者の利益から一部をまわしているもの。支えるべき生産者に痛み分けをしてもらうことは活動そのものの主旨からずれるため考えていません。
自分で食べるためにお米を買ってもいいし、お米そのものを被災地に届けることも選べます。
被災した人々にとってはこれからが大変な時期だと思うんです。住まいを立て直したり、仮設住宅に暮らしながら仕事を探したり。そんな時に、せめてお米だけでも十分に家にあったら、それがどれだけ心の支えになるかしれない。
そう語るのは、このプロジェクトの発起人である両見英世(りょうけんひでよ)さん。元々東北地方の生産者支援のためのECサイトの制作に携わっていた両見さんは、この仕組みを使って被災者の支援を考えました。食のベースを提供し、暮らしの基盤を整えてもらえたらという思いから始まったもの。
現時点では、お米を寄付してもらうと被災地の炊き出しが行われている地域に提供されます。(※送り先のルートは引き続き整備していく予定です。)
被災した食の宝庫を長い目で買い支えよう
今は山形の3軒の農家が参加しているのみですが、この活動の根幹にある大きなチャレンジはこれから復興していく被災地の農家を長期的に支えていくこと。
以下のような二つの目的があるのです。
1. 利用者がお米を買う→そのうち1kg当たり100円を義援金として被災者を支援。
もしくは、利用者がお米を買う→お米そのものを被災者に寄付。
2.(将来的に)利用者が被災農家の生産物を買うことで長期的に支える。
元々両見さんが関わっていたのは「おらほの屋」というインターネット販売サイト。サイトの作りからも見てとれるように「おらほの屋」は、生産者を支援する目的もあって食物を中心に取り扱ってきました。
両見さんとタッグを組んで、協力者を開拓し「東北の生産者支援」という大きな変化球につなげようとしています。
生産者との結びつきをこれからもっと増やしていきたいと考えているFFF。そのために、この活動に賛同できる方にはFFFの公式サイト上に名前を掲載させてほしいと呼び掛けています。既に数多くの協力者のお名前が並んでいますが、協力者が多ければ多いほど生産者の方々とも連携しやすいためでもあります。ご協力いただける方はぜひinfo@foodforfriends.jpまでご連絡ください。
“食物を作ってくれる人を買い支える“。
それは、震災如何に関わらず日本の将来を考えると、皆の命(胃袋)に関わる大切なこと。今回の震災で、さらにその必要性は増しています。
被害が大きかった地域は特に、農産物に限らず、古くから酒蔵や味噌作りの工房など美味しいものを提供してくれていた食の宝庫。この地域を買い支えていくことは、自分たちの食を守ることにもつながるのです。
「Food For Friends」でお米を買う