たとえばあなたがアーティストで、自分の住む街を愛していたとして。
ある日、街を活性化するための創造的なアイデアを思いついた時、同じ街のアーティスト仲間が、あなたに賛同し、そのアイデアに対してお金を払ってくれるとしたら?
ここで紹介するのは、どこの街でも簡単にマネできる、「人とアイデアをつなぐ」ポップなマイクロファンドのアイデアです。
今年1月にサンフランシスコで行われた「持続可能なデザイン」についてのカンファレンス「compostmodern 2011」で発表されたアイデアの中でも、街の活性化のために、特にシンプルで、簡単に実行できる活動がこちら。
「DetroitSOUP」
月に1度のディナーパーティーを通じて、デトロイトシティの街を活性化するプロジェクトを企画した人への資金を提供する、マイクロファンドの仕組みです。
DetroitSOUPは、月に一度、レストランでパブリックディナー(だれでも参加できる食事会のようなもの)を開催しています。
参加費はたったの5$。
対象はアーティストやクリエイティブクラスの人たちですが、基本的に誰でも参加できます。そこでは、街を活性化するためのクリエイティブなプロジェクトを考えついた人々が、活動資金や仲間を募集しています。
もちろん自分でプロジェクトのアイデアを持ち込み、集まった人々に呼びかける事もできます。
ディナーの終わりには、参加者は応援したいプロジェクトに投票し、多く票を集めたプロジェクトが参加費として集められた5$紙幣の束を獲得できます。(通常平均600$~900$前後)たとえ投票によって票を集められなくても、手作りのブースを設け、個人的に資金を募ることも可能。
資金を得られなかったとしても、この場で出されたアイデアは人々の目に触れる機会を得られますし、ともすれば他の誰かが他の街で実行してくれる可能性もあります。また、似たようなアイデアを持った2つのグループが出遭えば、コラボレーションが生まれるかもしれません。
そうでなくても、クリエイティブでユニークな人々との出会いや、自分のプロジェクトの仲間集め、また美味しいディナーを楽しめるのであれば、5$は決して高い値段ではありませんよね。
このゆるさが、気軽に楽しめるマイクロファンドとして、人気を集めています。
ローコストながら、現実の生活に与えるインパクトは大きい。これこそ、誰にでも手が届くというマイクロファンドの利点を活かし、「ファンド」という堅苦しい言葉のイメージを変える、新しい形態ではないでしょうか。
同じようなアイデアは、たとえば Portland STOCK (オレゴン州、ポートランド)のように、既に他の街でも実施されています。
街の活性化だけでなく、今回の東北関東大震災でいえば、チャリティープロジェクトのアイデアを募って投票するディナーパーティーなども開催できそう。
だれでもすぐマネでき、色々なテーマに簡単に応用できるのが、このアイデアの魅力です。
「Grow!」のように、アーティストの活動を応援したい個人の意志をダイレクトに伝えられるソーシャル”パトロン”システムも既に日本で誕生していることですし、個人が個人のプロジェクトを応援する仕組みは、今後ますます枝葉が拡がり、ユニークなものが生まれそうですね。
色々なことに応用可能なこのディナーパーティー、あなたの街でもマネしてみては?