Nicholas Feltonは、毎年自分のあらゆるデータをグラフィカルなアニュアルレポート「Feltron Report」にしているデザイナーです。数年前からデザイン界隈では話題になっていたので、ご存知の方も多いかもしれません。そんな彼の2010年のアニュアルレポートは、自分のデータではなく、父親の人生のデータで作られていました。
父親の人生レポートは、出生届に始まり、兄弟の数、先祖の系譜、子どもの頃の成績表、受け取った手紙の数、訪れた国の数、勤続年数、読んだ本の数、観た映画の数など、数えきれないほどのデータで構成されています。何の記録も無かった年の数ですら、一つのデータとなります。これまでのFeltonのアニュアルレポートでも感じたことではありますが、人生というのは本当に多種多様なデータが存在するのだなと感心します。
2007年にFeltonのアニュアルレポートを知って、データを記録することの面白さに感化され、個人的にもここ数年様々な記録を取り続けてきました。データを通して自分という人間を見てみると、主観的な感情を抜きにして客観的に見られる上に、データの種類が増えればより多面的に見られてとても面白いです。自分が思い込んでいた「自分」ではない、別の「自分」の姿が浮かび上がります。今回のレポートは、父親の死をきっかけに、その方法論を家族に応用してみた結果なのでしょう。
家族という存在は、あまりにも身近で客観的に見るのが難しいものですが、Feltonのようにデータを通して見てみたり、写真家の浅田政志さんのように家族でコスプレしてポートレートを撮影したり、自分にもできるやり方や得意な方法で試してみると、意外と簡単に新たな一面が見えてくるかもしれません。ステレオタイプな家族像が崩壊しつつある時代だからこそ、自分の家族だけの家族像が発見できれば、絆はより深まるのではないでしょうか。
(via PSFK)
おばあちゃんの新たな一面もコスプレで明らかに