不安定で過酷な住環境のもと、孤独な生活を送っているホームレスの人々。街で彼らと行き会う人の多くは、偏った先入観などから、つい接触を避けたり、無視してしまいがちで、日々、ホームレスの人が何を感じ、どのような生活をしているのか?に目を向けることが少ないのも現状です。
そこで、米ニューヨークでは、ホームレスの日常をホームレス自身がツイッター(Twitter)で“つぶやく”というプロジェクトが始まりました。
「Underheard in New York」は、ツイッターというソーシャルメディアを通じて、ニューヨークのホームレスに、自分の声を広く発信してもらおうという取り組み。ニューヨークで生活するホームレス4名に、プリペイド式の携帯電話とツイッターアカウントを与え、自分の考えや思い、日々の行動を、ツイッターに投稿してもらうというものです。
プエルトリコ出身のDannyさん(@putodanny)、ヤンキースとメッツをこよなく愛するニューヨーカーのDerrickさん(@awitness2011)、シェフ養成学校に通うドミニカ共和国出身のAlbertさん(@albert814)、ニューヨーク市の図書館で起業準備に取り組むCarlosさん(@jessie550)と、それぞれバックグラウンドも個性も異なる4人が、日々感じていることを、ツイッターでリアルタイムに発信しています。
ニューヨーク州のNPO「New York Public Interest Research Group(NYPIRG)」によると、米国でホームレス経験を持つ人は、年間300万人。ニューヨーク市でも、2009年1月から2011年1月の間に、未保護のホームレスが34%も増加したといわれています。「Underheard in New York」では、より多くの人々に、大都市で生活するホームレスの日々の生活や苦難を知ってもらい、「NYC Rescue Mission」などのホームレス支援団体への寄付や協力につなげることを目指しています。
以前、greenz.jpでは、ホームレスがガイドとなるロンドンの観光ツアー「Unseen Tours」についてご紹介しましたが、こちらがリアルなコミュニケーションの場だとすれば、この「Underheard in New York」は、バーチャルな空間で、ホームレスの人々が多くの人々とフラットにコミュニケーションするための取り組み。いずれも、ホームレスにまつわる社会的課題を広く啓発することができ、ホームレスの人々にとっても、世の中とのつながりを取り戻す機会となる、一石二鳥の活動といえそうです。
[via Mashable]
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