一生に一度だけ着ることができるウエディングドレスは、いつの時代も女性の憧れです。しかし、その‘一度だけ’という概念を覆す、新しいウエディングドレスが作られました。それも、水で溶けるというのですが・・・。
‘水で溶ける’というウエディングドレスが発表されたのは、‘サステナブルなマリッジ’をテーマにした展覧会でのこと。溶けるといっても、洋服が溶けてなくなるのではなく、溶かすことで新しい洋服へと変化を遂げていきます。ウエディングドレスから始まり、4枚の新しい洋服を経て、最終的にはアート作品になるそうです。
溶ける秘密は素材にあります。今回発表されたドレスはイギリスにある Sheffield Hallam 大学のファッションとテクノロジーを専攻する学生さんたちのコラボレーションによって作られたのですが、普段は洋服に使われることがない、親水性の高いポリビニルアルコールや生分解性のある素材が使われているのです。ちなみに、溶かしても水を汚染することはありません。
しかし、なぜ、この水で溶かすことで何度も楽しめるドレスが作られたのでしょう。理由の一つは、一度しか使われないウエディングドレスや現代の使い捨てファッションへの挑戦として、デザインとテクノロジーの両面から新しい可能性を模索することにあるようです。というのは、加速するファストファッション化の影響もあってか、廃棄される洋服が増え、環境への負荷が懸念されるようになってきたからです。
大学の説明によると、イギリスでは洋服の価格が最大25%下がっている中で、消費される洋服が年間40%も増え、年間200万トン以上の量の洋服が購入されるようになっているとのこと。結果、洋服の廃棄物の増加もすさまじく、購入される総量の74%に当たる量が毎年廃棄されているそうです。
そんな中、デザインや使う素材を工夫することで、新しいファッションを身に着けていたいという人間の欲求を汲み取りつつ、環境に配慮した新しいタイプの洋服を作ろうというこの服作りの姿勢は、今後学生さんが洋服作りに携わっていく上でも大切にして欲しいと思います。
ところで、この水で溶けるウェディングドレス、結婚式で雨が降ったり花嫁さんが号泣してしまったりして、結婚式の最中に溶け出してしまう・・・なんてことはないのでしょうか。その点はちょっと心配です。
[Via Inhabitat]
Sheffield Hallam 大学によるウエディングドレスの説明はこちら。