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カンヌ2010受賞のソーシャル広告(4)街で驚き、考えさせる広告

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カンヌ国際広告祭の受賞作、今回は屋外広告の受賞作をご紹介します。

UMBRELLA BAGS / THE LOTUS CHARITY SOCIETY /
DONATION APPEAL /

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まずは金賞を受賞したものから。以前greenzでも紹介した、ショッピングモールでの傘袋の広告です。中国の東北部は雨が少なく、水不足に悩まされているのですが、雨がよく降る香港の人たちはその問題について関心がありません。そこで、下にバケツやガラスコップ、ボウルの絵が描かれた傘袋を雨の日に用意し、水不足のことを伝えました。

WATER TALKS / SOLIDARITES INTERNATIONAL /
NGO AIDING WAR VICTIMS THROUGH EMERGENCY RELIEF & REHABILITATION /

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これまたgreenzで紹介した「水が懺悔する」広告も、金賞を受賞しました。世界の死因の第一位となっている、汚れた水について、水自身がパリの真ん中で呼びかけるという、美しくもショッキングな広告です。

PUPPY LOVE / BANGALORE TRAFFIC POLICE /
ROAD SAFETY /

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次からは銀賞です。これは、インドの交通安全ポスター。携帯で話しながらの運転は事故の元、ということですね。こういうアプローチは昔からよくありますが、テーマが今っぽいということでしょうね。

CORAL / CONSERVATION INTERNATIONAL / ENVIRONMENTAL AWARENESS /

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「サンゴ礁がなくなったら、次にいなくなるのは人類です。」サンゴだと思われるものをよくみると、人間の手が集まっているんですね。ちょっとゾッとするビジュアルです。

TIME TO ACT AGAINST AIDS / AIDS AFRICA SOLIDARITY FUND / AIDS AWARENESS /

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時計をつかったユニークな看板です。それぞれの時計の針は別々の時を刻んでいるのですが、1日に2回だけ、針のかたちがフランス語の「アフリカでは、12時間ごとに200人以上の人がエイズで亡くなっています。それは、治療が行き届いていないからです」というコピーになります。「何あの時計?」ということで話題になり、意味を知れば見てみたくなり、人に伝えたくなる広告になっているんですね。

SHARK …/ WWF /
ENVIRONMENTAL AWARENESS /

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次は、見る人に一瞬考えさせる、謎解きのようなシリーズ広告です。サメのポスターは、背びれがのぞいている写真のほうには「ぞっとする」、サメがいない海のほうには「もっと、ぞっとする」というコピーが書かれています。ハゲタカのポスターは、ハゲタカがいる方の写真には「ぎょっとする」そしていないほうの写真には「もっと、ぎょっとする」というコピー。そして、共通のコピーは以下です。「生態系を食い物にすることは、人類を脅かすことでもある。」人間にとって恐ろしい動物でも、いなくなることは深刻な結果をもたらす、ということなんですね。

ALEXANDRA TOWNSHIP / INTERNATIONAL ORGANISATION FOR MIGRATION / ANTI-HUMAN TRAFFICKING /

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南アフリカで実施されたこの広告は、仕組みは楽しそうですが、表現としては強烈です。壁に、人が通れるくらいのトンネルをつくり、そのトンネルを壁とおなじ見え方にしてあるんですね。遠くから見ると、トンネルをくぐる人がいなくなるように見えます。壁にはこんなコピーが書かれています。「毎年400万人の人が行方不明になっています。彼らは強制的に働かされたり、売春されられたりします。」擬似的に誘拐を表現しているんですね。効果はありそうですが、心臓に悪い広告です。

WOMAN… / SAMUSOCIAL /
HOMELESSNESS AWARENESS /

road1

road2

road3

次からは銅賞です。道路と一体化しているホームレスの人たちのビジュアル。コピーは「路上生活が長くなればなるほど、そこから抜け出せなくなります。」

INVISIBLE / AUSTRALIAN CHILDHOOD FOUNDATION / CHILD NEGLECT AWARENESS /
TAPE / CNN INTERNATIONAL / NEWS CHANNEL /

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これも街で見たらびっくりしますね。壁にいる子ども(人形?)に、白い紙が貼られています。そして、「まるで見えない存在のように、放っておかれている子どもがいます。」育児放棄が、隠れたところで行われていることを伝えているんですね。数日後、団体に寄付が集まったのか、紙が破られ、その跡には、こんなコピーが。「見てくれてありがとう」。

DEFORESTATION / SOLO UN PLANETA / DEFORESTATION AWARENESS / Y&R BUENOS AIRES, ARGENTINA

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最後はアルゼンチンらしいサッカー場をつかった広告アクションです。グラウンドにたくさんの木の切り株(再生材を使ったつくりものの切り株です)が100個並べられます。そのまん中にはこんなコピーが書かれています。「2秒ごとに、私たちはこれだけの木を失っています。」このアクションは実際にスタジアムで見た人はもちろん、メディアでもとりあげられ、多くの人の目にふれました。

次回は、新しいメディアや、メディアの新しい使い方を評価するメディア部門の受賞作をご紹介します。