豊かな緑の中に広がる子供たちの声
遠くの方から聞こえる人々の笑い声が村をつつむ
光は優しく照らし、穏やかな風が村を流れる
日本人が思い描く理想郷があるとしたら、こんなところに住んでみたいと思うのではないでしょうか。四国・徳島にある小さな町、神山(かみやま)。神の山と書くこの町がいま世界中から注目されています。里山という言葉が見直されて来ている今日、緑豊かに輝く町の姿は誰にも優しく響きわたるようです。
徳島県の中央部に位置し、徳島市から車で50分のところにある神山町。この町は昔から林業で栄えていましたが、日本の多くの地方農村と同様に深刻な過疎に直面し、2005年には80年代人口の約60%までに落ち込んでいました。総務省統計局 / 国勢調査(2005年)
しかし、この町に「アート」と言う共通の価値観に惹かれたアーティストがいつの日からか世界中から集まり、過疎の進んだ町に新たな風を吹き込みました。その結果、小さな動きはムーブメントとなり、四国の田舎に世界と町、アートと人が結びつく見事なコミュニティが生まれました。
神山に集まる人のビジョン
国内外から集う多様な人々と地域住民の知恵の融合によって、四国の田舎に、ワクワク、ドキドキするような創造の場「せかいのかみやま」をつくります。ここでの生き方・暮らし方・働き方は、やがて日本を、そして世界をも変えていくことになるでしょう。
そうです。ここは過疎という社会問題に、アートという文化的な切り口で立ち向かった数少ないコミュニティの一つなのです。現在では、NPOグリーンバレーが、ウェブサイト運営するなど情報発信活動が活発になり、若い人たちが引き寄せられるように集まっています。NPOグリーンバレー活動内容は多岐にたわりますが、特にユニークなのは海外のアーティストとの交流を盛んに行っている事です。
NPOグリーンバレー活動内容:
■ アーティストの制作支援
■ 中・長期旅行者の滞在支援
■ 日本(特に四国)に関する情報発信
■ アートでまちづくり(アートによるまちづくりの推進)
■ 地域経済の活性化や文化の促進
■ 地域問題の解決と、そのモデルの発信。
■ 自然や居住環境の改善
「イン神山ウェブサイト」より
さて、どんなところか知りたいと思ったら、神山写真帖を見てみましょう。神山に惹かれて集まって来た人たちの笑顔をたくさん見ることができます。また、「日本の農村」と「アート」が気持ちよく融合した、様々なプロジェクトもここでチェックできます。
神山写真帖には、神山の各家庭に眠っていた過去100年分の写真を集めてデジタル化した写真もあります。「イン神山ウェブサイト」より
「一度訪れてみたい!」「でも、遠い・・・」と、思う方もいるかと思いますが、その神山のアーティストプロジェクト「神山アーティスト・イン・レジデンス(KAIR)」の作品を、今月27日まで横浜・野毛で開催される展覧会で楽しめます。アーティストと地域住民が、固有の文化や言語を超えたコミュニケーションによって作り出した作品のうち18作家の代表作を展示しているこの展覧会で、神山のアツいローカルムーブメントに触れてみてはいかがでしょうか。
「イン神山ウェブサイト」より
「まちづくり」とは、人と人が集まって初めてできる事。神山町の「アート」を通してできた、有機的な人の輪(コミュニティ)の姿から、そこに住む人が幸せになるまちづくり、本当に豊かな生活、人間らしい生活が見れる様な気がします。このような小さな町の楽しいムーブメントが、やがて多くの町や村にひろがり、日本中に笑顔が広がることができたら嬉しいですね。
ようこそ、神山町へ!