今年4月にオープンしたリサイクルショップ、PASS THE BATON(パスザバトン)表参道店で、伊勢谷友介氏が率いる”REBIRTH PROJECT”(リバースプロジェクト)の『Trans-i+(トランスイット)』展が行われています。
”REBIRTH PROJECT”は、俳優の伊勢谷友介さんが芸大出身の仲間と立ち上げた「人類が地球に生き残る為に」を考えて実践するプロジェクト。衣食住を中心に、無駄なものや本来捨てられるものを、リデザインして新しい価値を加え活用する、文字通りの「再生(リバース)」プロジェクトなのです。彼らの展示ということで、さっそく行ってきました。
会場となったPASS THE BATONは、Soup Stockなどを手がけた、遠山正道さんがプロデュースするリサイクルショップ。普通のリサイクルショップとは違って、ひとつひとつの商品に出品者のプロフィールやコメントが付いていて、元の持ち主の個性やセンス、モノの歴史までを理解して買うことができるお店です。センスのよい方の出品が多く、彼らが一度選んだものならハズレなし!と、安心して買い物ができて、値段もお手頃。
人から人へバトンを渡すように、一度使った物を次の人に受け継ぎ、大切に使ってもらうことをコンセプトにしています。この店内に設けられたギャラリーで今回行われているのが、”REBIRTH PROJECT”の展示です。
”REBIRTH PROJECT”は、2年ほど前から、取り壊される家から廃材を持ち出して家具を作り、家の跡地に持ち込んで撮影して公開する「スパイクショー」を行ったり、多少の傷があって販売されない洋服をデザインし直して販売したり、と活動の幅を広げています。(”REBIRTH PROJECT”に関する以前の記事はこちら)
今回の展示では、”REBIRTH PROJECT”オリジナルの作品と、アーティストやコラボレーションなど、さまざまな顔をもつモノが集められました。
「地球で生き残るためにはアートが必要か?」をテーマに、廃材を使ったアート作品や、コラボレーション商品が並びます。伊勢谷さん本人が着古したTシャツを並べた上にグラフィックを載せ、一枚のアートとして展開しているもの。取り壊す家から持ち出した建築廃材でつくられた照明。リチウムオムのダメージ品をリデザインした革ジャン。石川直樹さんの写真にグラフィックを載せたアート、などなど。Leeとのコラボレーションでつくるジーパンの展示も近日始まる予定です。
制作には、”REBIRTH PROJECT”のメンバーに加えて、彫刻家の阿部亮太郎さん、フォトグラファー石川直樹さん、デザイナー柳川荒士さん、アートディレクター藤元明さん、アーティスト重松淳也さんなどが参加しています。
また、タタミを現代のライフスタイルに合う形で提案するTATAMO! プロジェクトは、短い井草を使ったタタミヨガマットを出品。やっぱりタタミが気持ちいいよね、という方のために、フローリングサイズの床材なども近日発売を予定しています。
木玉毛織株式会社は、オーガニックコットンの落ちわたを活かして作られた、柔らかいガラ紡のタオルを販売。
6月11日には、伊勢谷さんと遠山さんによるトークショーも行われました。
自分たちは価値観の大きな転換期にいると感じたことが、この”REBIRTH PROJECT”を始めたきっかけです。この立ち上げにあたって、敢えて株式会社という形を選んだのは、社会に還元しながらも、ちゃんと採算を考えて、持続できることを目指したかったから。スクラップ&ビルドではく、無駄なものから価値あるものを生みだすというのが僕らのコンセプトです。価値あるものへ「変換する」という意味を込めて今回の企画を「Trans it」としました。僕らは人が生き残るためにアートは必要だと思っていて、その視点からのチャレンジです。
アートやファッションは、いつの時代も新しい価値や思想を示す羅針盤のようなもの。これをひとつの目印として、他の分野でも、「リバース(再生)」という試みは、どんどん行われていくのではないでしょうか。すでに新しい価値観へ、多くの人が走り出していることを感じた展示でした。
すでに持っているものを大切にする選択肢はさまざま。修理して使う、次の人に託す、手を加えて新しいものを創造する、などなど。
残念ながら今は、一度使われたものは「使いまわし」「古着」「古本」といった萎びたイメージで、よくても「二次利用」「リサイクル」などといわれますが、逆に、多くの人の手を経るほどモノの価値が高まっていく、なんてことになったら、面白いですよね。
あなたが、どんなモノとどんな風に関わっているか、が名刺代わりになる時代かもしれません。「あなたは一体どんな人?」を表すのに、身の周りのモノを改めて見直してみませんか?
PASS THE BATONで行われている『Trans-i+』展に行ってみよう。