目の前の現実と戦っても物事は変えられない。
何かを変えるには、今あるモデルが時代遅れになるような、新しいモデルを作るしかない。
これは、建築・発明・デザイン・思想など、様々な分野で活躍した20世紀の偉人バックミンスター・フラー(Richard Buckminster Fuller)のエコスゴイ言葉。彼の志を受け継ぎ社会的課題の解決に取り組むプロジェクトを表彰している国際コンペ「BUCKMINSTER FULLER CHALLENGE」では、このほど、215 通の応募の中から2010年度のファイナリストを決定。それでは、この6チームを一挙ご紹介しましょう。
「Barefoot College」は、アフリカ諸国の僻地で生活する女性たちにソーラー設備の導入やメンテナンスのためのスキルを教える活動を進めています。インドで6ヶ月間、集合研修を受け、専門的なスキルを身につけた卒業生たちは、地元で職を得やすくなり、彼女たちのような専門技術者が増えることで、各地でのソーラー設備の普及にも役立てられるという「一石二鳥」の取り組みです。
アフリカでは、森林破壊や砂漠化とこれに伴う水不足も大きな課題。「Africa Centre for Holistic Management」は、アフリカのサバンナ地域を中心に、家畜を使って、痩せた土地を蘇らせ、食糧や水資源の確保に取り組んでいます。実際、彼らの活動により、ジンバブエで6500エーカー(約2630ヘクタール)の土地が復興したとか。環境保全と地元住民の生活向上を両立させた例として注目されています。
都市部においても、水不足の危機は深刻になりつつありますね。「Watergy」は、農業分野での水資源の効率化を研究している団体。温室での農作物栽培に灌漑用水の85%を再利用し、運営エネルギーに太陽光や風力を活用するという持続可能型農業の実証テストを行っています。一方、五大湖に面する米シカゴでは、下水や雨水などを浄化し、湖に戻すという水資源の循環化システム「Eco-Boulevard」を計画中。最新の技術を活用したこの計画が成功すれば、他の地域への応用も期待されます。
Eco-Boulevards from UrbanLab on Vimeo.
水のみならず、人間にとって「食」は不可欠なもの。オンラインコミュニティ「BK Farmyards」では、農民と消費者、地主、賛助者らをつなぎ、米ニューヨークの土地をコミュニティ全体で農業に有効活用する取り組みを行っています。地産地消を推進するプロジェクトとして、今後は米国各地にも展開する方針とのことですよ。
このほか、人間の持続可能な暮らし方を「住」の観点で提案しているのが、International Living Building Instituteが取り組む「Living Building Challenge」。新しい建築技術を活用し、環境に優しい建物づくりを行っています。
これら6つのチームはいずれも、社会的な課題を大局に捉えながら、より具体的な解決策を導き出し、実践しています。また、汎用性や拡張性に富み、他の地域での展開や応用が期待できるのも共通の特徴ですね。ちなみに、栄えある優勝者は2010年6月2日に発表されるとのこと。「2010年のバックミンスター・フラー」はどのチームに輝くのか?皆さんもちょっと予想してみてくださいね。
Buckminster Fuller Challengeに応募したプロジェクトを調べてみよう。