いまから40年後の「2050年」、私たちの地球はどうなっているだろうか?
世界の建築家たちが、オーストラリアの40年後の姿を大胆に予言している。
2010年8月に伊ベニスで開催される国際建築博覧会「Venice Architecture Biennale」のオーストラリア館「Now + When Australian Urbanism Exhibition」では、2050年のオーストラリアに関する“未来予想図”を展示する予定だ。このほど、オーストラリア内外の建築家が応募した120通を超える作品の中から、この博覧会で展示される17作品が発表された。
まずは、冒頭の画像「Ocean City」からみていこう。地球温暖化の影響で海洋の水面が上昇し、陸地に人間が生活できるスペースが減少するだろうという想定のもと、人工的な生活空間が海中にどんどん生まれ、それらがクラゲのようにただよう姿が描かれている。
同様のコンセプトはこちらの「Saturation City」でも表現されている。海面上昇により、建物の一部が海中に沈み、人々は陸地だけでなく、海中にある建造物の中でも生活しはじめるだろうと予測している。
では、内陸部はどうだろう?
「A City of Hope」では、2050年には人口増加という課題が深刻になるだろうと予想し、砂漠を人間が生活できる自律的な土地に変え、人間の居住スペースを拡大させようというアイデアを提案している。
海面が上昇する一方で、砂漠化が進めば、必然的に人間が生活できる土地面積は狭くなる。特に、都市部の過密度合いは高まるだろう。豪メルボルン大学Tom Kvan教授の研究チームでは、ヒトとモノが狭いスペースを垂直方向にタイトに行きかう未来都市の姿を描いている。
このコンセプトを上空の角度から捉えたのが作品「A city of hyper-density」だ。限られた敷地に高層ビルが立ち並び、空中に浮かび上がる街の姿を表している。
これらの作品はいずれも、「地球温暖化」や「人口増加」がキーワードになっている。8割以上の国民が海岸から100キロメートル以内の土地に居住する都市社会であり、気候変動の影響を受けやすい地理を持つオーストラリアだからこそ、これらの2つの課題の深刻さと重要性を実感したうえで、40年後の姿として予言しているのかもしれない。
建築家たちが描いたこれらの未来を現実にしないために、いま私たちは何ができるだろう?また、これらが現実になる場合に備えて、どんなことを考えておくべきだろう?これらの未来予想図は、様々なアプローチから、私たちに問いかけている。
[Via Inhabitat]
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