クリエイティブを通じて社会的課題を提示し、その解決へのアクションにつなげるソーシャルメディアの先駆者「GOOD」は、これまでも、地球温暖化や石油の枯渇、水不足からドラッグ問題に至るまで、様々な社会的課題を「インフォグラフィック(Infographic)」という一枚の絵で表現し続けてきた。その「GOOD」が2010年1月に発生したハイチ大地震に際して、その地震災害の規模や現地の状況をまとめた「インフォグラフィック」をデザイナーから募集するコンテスト「Haiti Earthquake Infographic Contest」を開催した。こちらでは、応募の中からとくに秀逸な作品を3つご紹介しよう。
見事優勝に輝いたのは、Emily Schwartzmanの冒頭画像の作品だ。ハイチの地図を使って各地の地震被害の規模を図示しているのみならず、ハイチの統計データを的確にグラフ化し、「ハイチはどのような年齢層で構成され、彼らが何を必要としているのか?」、いまのハイチの様子を明確かつ簡潔に伝えている点が評価されている。
惜しくも優勝は逃したものの、さらに2つの作品が優秀作として挙げられた。そのひとつが以下のStephanie Baoによるインフォグラフィック。こちらの作品は、ハイチの復旧支援に焦点を絞り、いま必要とされている支援の分野と実際の支援活動との需給ギャップを図示しているのが特徴的だ。たとえば、このグラフを見る限り、教育や経済復興、インフラ整備の面で、支援活動がまだ十分でないことがわかる。
また、Claire Kohlerのインフォグラフィックも興味深い。上段では、1995年以降に世界で発生した大地震と今回のハイチ地震を、マグニチュードの規模、震源の深さ、死者数などで比較している。この比較図によると、ハイチ地震はマグニチュードの規模が大きい上に震源が極めて浅いという特徴が見られ、これが甚大な被害をもたらした一因とも考えられる。一方、ドル貨幣をモチーフとした下段の図は、ハイチへの復興における各国の支援規模を金額で表したものだ。国別では米国が4.64億ドル(約412.4億円)と最も多くの資金を拠出しているが、これに次いで多いのが個人からの寄付金。4.37億ドル(約388.4億円)と全体の31.2%を占めている。
これらの作品に共通するのは、デザインそのものの素晴らしさのみならず、「何を課題と捉え、どのような“裏づけ”をもって、自身のメッセージをどのようにわかりやすく受け手に伝えるか?」というポイントが見事に実現されている点だ。直感的な課題把握力と論理的な構成力がクリエイティブと融合し、インフォグラフィックというカタチで表現されている。
今度は、これらのインフォグラフィックを受け取った私たちが考え、行動する番だ。彼らの作品から何を感じ、何を読み取り、どんな課題を認識し、どのようなアクションにつなげていくか?今度は私たちが別のカタチでハイチ支援のためのメッセージを“発信”していこう。
GOODが開催した「Haiti Earthquake Infographic Contest」の全応募作品をみてみよう。
デザインを通じてハイチをサポートする「Design for Haiti」の作品をチェックしよう
オリジナルリリース25周年&ハイチ支援のためにリメイクされた「ウィー・アー・ザ・ワールド・25・フォー・ハイチ(We Are the World 25 for Haiti)」を聴いてみよう