アーティストであり国際的な慈善活動家としても有名なU2のボノは、ジェイ・Zと共にハイチ支援のためのオリジナル・チャリティソング「Standed(Haiti Mon Amour)」を制作した。この曲はすぐさまレコーディングされ、1月23日(日本時間)に放送されたハイチ救済チャリティ番組「Hope for Haiti Now: A Global Benefit for Earthquake Relief」の中で、リアーナも含めたスーパーユニットでライブパフォーマンスされた。
この番組はテレビ局やメディアの垣根を越え、世界中の放送ネットワーク、WEBサイト、iAppをインストールすればiPhoneでも視聴することができ、おそらく史上最大規模の世界同時ライブ中継が行われた。
番組では、俳優のジョージ・クルーニー、元フージーズでハイチ出身のワイクリフ・ジョン、CNNのアンダーソン・クーパーが、会場毎に司会進行を務め、マドンナ、トム・ハンクス、ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツ、レオナルド・ディカプリオら、錚々たるスター・著名人が100組以上登場。司会も出演者も、チャリティ以外ではおよそ実現し得ないだろうと思われるほどの顔ぶれである。
番組内のスペシャルライブに出演したのは、ボノ、ジェイ・Z、リアーナの他に、コールドプレイ、スティング、ジャスティン・ティンバーレイク、クリスティーナ・アギレラ、アリシア・キーズら、こちらもあらゆるジャンルのトップアーティストたち。
このライブで披露された楽曲を集めたコンピレーションアルバム「Hope for Haiti Now」は、iTunes Storeからダウンロード販売されている。アルバム売上の収益はすべて、ハイチで救援活動を行っている7つの団体(オックスファム・アメリカ、パートナーズ・イン・ヘルス、赤十字社、ユニセフ、Yele Haiti Foundation、クリントン・ブッシュ・ハイチ・ファンド、WFP)に等分され、寄付される。
このアルバムはデジタル・ダウンロードのみの販売にも関わらず、発売翌週の米アルバム総合チャートでなんと1位を獲得した。CDパッケージが発売されないアルバムが米アルバムチャートのトップに輝くのは、米音楽チャート史上初めての快挙である。
また、ボノがハイチ支援のために行っているのは、チャリティソングの制作やライブだけではない。ボノが共同設立しているNGO団体「One」では、ハイチがIMF、世界銀行、IADB(米州開発銀行)に負債している借金10億ドルを帳消しにし、今回の地震による援助に対しても一切返済を要求しないよう求める署名活動を行っている。
1月15日から始まったこの署名活動の目標は25万人で、2月6日時点では約20万人の署名が集まっている。残念ながらOneの日本語サイトからは署名できないが、Internationalサイトでは名前とメールアドレスと国名を入力するだけで署名できるので、英語に臆する必要なく気軽に参加できる。
この署名活動を始めとする世論に後押しされたのか、2月5日よりカナダで開催されているG7では、ハイチの負債免除に関する議論がなされ、IMFは債務免除の方針を打ち出した。他の機関についても、債務免除の合意を目指して議論されるという。
今回のハイチ地震の救援活動では、iTunesやUstream、Twitter、Facebookなど、あらゆるデジタルツールが活躍している。これまでのチャリティ活動は、一部の有名人や活動家とその周辺にとどまっていた感があるが、デジタルツールを駆使することで、その活動はダイレクトに私たちに届き、さらに大きな広がりを見せている。
何か行動を起こしたいと思っている人は、iTunes Storeでアルバムを購入するもよし、WEBサイトで署名するもよし、自分にできることから参加してみてはどうだろう。
こちらの記事もおすすめ
チャリティ・コンピレーションアルバム「Hope for Haiti Now」を買う
ハイチの負債免除のために署名する