バンクーバー冬季オリンピックもいよいよ開幕。世界でも先進的なグリーン都市として有名なバンクーバーで開催されるオリンピックなので、計画時からサスティナブルな取組みの数々が注目されてきた。しかし、2012年にオリンピックが開催されるロンドンも負けていない。なんと、ロンドンオリンピックのスタジアムは、銃とナイフのリサイクルでできているというのだ。
去年、ロンドン警視庁が押収した拳銃やナイフをスクラップにしたところ、52トンもの量になったそう。そのスクラップ金属が、ストラトフォードのオリンピックスタジアムの建設に使われたのだ。このオリンピックスタジアムは、そもそも金属を極力使用しないデザインになっており、その上使っている金属もスクラップのリサイクルとくれば、かなり環境負荷の低いエコスタジアムである。
ロンドン警視庁がリサイクルしているのは、拳銃やナイフだけではない。使い終わった330万個の弾丸(総重量約28トン)はフォトフレームやジュエリーに、古くなった防弾具40トンは車の一部に、食堂で使用した油20,000トンはバイオディーゼルオイルに、それぞれリサイクルしている。
他にも、警察庁全体のフットプリントを公表するなど、相当なエココンシャスぶりである。あまりの素晴らしい姿勢に感動すら覚える。なぜここまで環境意識を高く持てるのだろうか。
ロンドン警視庁では、51,000人の警察官が、760の警察署(施設)で、6,000の車やバイクを使って働いている。企業に例えるなら、いわゆる大企業クラスの規模の組織である。企業がCSRを考えるのと同じように、警察といえども自らの環境インパクトについてきちんと考慮していかなければ、任務遂行の過程で地球を汚染しかねないという考え方である。
そこで、公害や汚染を引き起こさず、天然資源は責任を持って使用するように、あらゆる面で環境に配慮した警察運営が行われている。そのプランの細かい方針については、ロンドン警視庁のサイトにある「Environmental Strategy for 2005-10(2005〜2010年環境戦略)」というPDFファイルで一般にも公開されている。上記のリサイクルなど、計画が実行された結果については、年間の環境レポート「MPA/S Environment Report 2008/09」が同じく公開されている。
ロンドン警視庁環境チーム・リサイクルオフィサーのSarah Fosterは
私たちは、常に何がリサイクルできるのか、いかに資源を守りエネルギーや経費を節減できるか、あらゆる方法を探している。
と言う。当然と言えば当然だが、日本の現状を考えると思わず「アッパレ!」と言いたくなる。
日本の警察も、市民の安全だけでなく地球の未来も守ってもらえると、さらに信頼度が上がりそう。警察関係者のみなさま、イギリスの例を参考に、ご検討のほどよろしくお願いします!
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