年間約2,650億ドルから5,650億ドル(約13兆円~16兆円)。
世界銀行によると、途上国が温暖化ガス排出量を削減するためには、今後20年間、それだけの投資が必要だ。
途上国の多くは、特に気候変動の悪影響を受けやすい。被害を最小限に抑えるための適応策には、2010年から2050年にかけて、年間300億ドルから1,000億ドル(約3兆円~9兆円)の投資もさらに必要となるという。
要するに、温暖化対策は、ものすごくお金がかかるらしい。
昨年のCOP15でも、このお金の問題は、各国首脳を悩ませた。気温の上昇は、2度に抑えたい。そのためには、先進国だけでなく、途上国での対策も必要だ。でも、途上国には、その資金はない。先進国にしても、自国での対策を進めなくてはならず、他国を支援する余裕は、なかなかない。
結局、コペンハーゲン協定には、
・ 先進国は、途上国の温暖化対策を支援するため2010年から2012年までの3年間に300億ドルを拠出する。
・ 途上国の温暖化対策支援として、2020年までに年間1,000億ドルの拠出を目指す。
という内容が盛り込まれたものの、各国の拠出額についての合意は先送りされてしまった。支援金額も、必要とされている投資金額と比べると、だいぶ少ない。
そんな中、途上国の温暖化対策事業に融資するために、民間から資金集めをしているのは、世界銀行。資金集めのツールは、「グリーン世銀債(World Bank green bond)」だ。
グリーン世銀債が初めて発行されたのは、2008年11月。企業の収益性だけでなく社会性も考慮した投資(SRI: 社会的責任投資)の市場拡大の波に乗り、これまでに、約750億円分の債権が発行されている。
グリーン世銀債のしくみは、以下のとおり。
グリーン世銀債を通じて投資家から集められた資金は、森林管理や再生可能エネルギー導入などの温暖化ガス排出量削減事業や、既に顕在化している問題への対応(洪水被害を防ぐための植林活動、耐乾性穀物の開発・導入支援など)に融資される。
つまり、グリーン世銀債は、投資家が間接的に温暖化対策事業に参画できるしくみだ。
そして今月、このグリーン世銀債がいよいよ、日本でも発行される。
販売期間は、2010年1月20日から29日まで。販売元は、大和証券だ。
最近は国内でも、エコファンドやRIファンドなど、SRIの選択肢は多くなった。でも、ほとんどの場合、その投資先は、環境や社会に配慮する大手企業だ。SRIを通じて得た資金は、必ずしも、社会や環境のための事業に投資されるわけではない。その点、グリーン世銀債は、途上国での温暖化対策事業やプロジェクトに対して投資する、新しいカタチのSRIと言えるかもしれない。
SRIに興味がある人は、ぜひチェックしてみよう。
大和証券の特集ページで、グリーン世銀債について詳しく知る。
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