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【シアトル通信No.2】シアトル発!クールで甘〜いセクシーチョコレートはいかが?

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アメリカ・シアトルにて行われた、ソーシャルイノベーションのトレーニングの現場
から、現地のサステイナブル・ムーブメントの一コマをお伝えしている【シアトル通信】。今回は日本でもなじみになってきたフェアトレード事情をお伝えする。

Theo Chocolate

シアトルのヒップな若者が集まるFremontの一角にある赤煉瓦の小さな工場。その重い扉を開けると、自然光に包まれた明るい部屋にチョコレートの甘い香りが広がる。こぎれいな店内には、洗練されたデザインのパッケージのチョコレートが並び、それを求める人でにぎわっている。

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そう、ここシアトル・ローカル(Seattleite)が集うTheoChocolateは、アメリカ国内でフェアトレード・完全オーガニックカカオを使用したチョコレートを製造販売する唯一の専門店。最近では、コーヒーはフェアトレードが当たり前になってきたが、コーヒーにはつきもののチョコレートが、シアトルで今一番注目を集めている。

まず、TheoChocolateの大きな決まり事は、原材料はフェアトレードのカカオである事。そして他の材料はすべてオーガニックを使用し、もちろん遺伝子組み換えも不使用だ。工場の二酸化炭素はすべてオフセットして、パッケージもすべて再生紙を使用しているという。

2006年の設立から、地元の人に絶大な支持を得ているこの会社は、今では急成長を遂げアメリカ全土のナチュラルデパートなどへ進出している。個性派ぞろいのチョコレートは91%カカオ・オレンジ・チリなど種類豊富で、工場が併設しているこの店舗では好きなだけ試食も出来る。また希望者は工場見学する事が出来き、チョコレートの歴史・取引から製法まで多角的に学ぶ事が出来る。

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「TheoChocolateは、すべてフェアトレードで、アフリカなどの生産者にその利益を還元している。生産者にはとっても喜ばれるし、何ともエキサイティングだ」

とは、ファイナンシャル・オフィサーのHorne氏の言葉。また、シアトルのコミュニティーに関して聞いてみたところ、こう語ってくれた。

「この街はとてもイノベーティブでみんな何が良いものでカッコいいか知っている。だから、僕たちのこのユニークなチョコレート工場がシアトルにあるという事が街をより魅力的なものにして、結果的にシアトルの地域社会に貢献していると思う。この会社が素敵だって、たくさんの人が支援してくれる。なんてったって僕たちのチョコレートは“セクシー”だから!」

なるほど。魅力的(セクシー)な仕事を続ける事で、世界にそして地元へ地域貢献出来るとは、Think Globally, Act Locallyより一つ進みAct Globally, Act Locallyとバランスのとれたこれからのビジネスモデルになるかもしれない。

Brown Paper Tickets

さて、続いてフェアトレードネタをもう一つ。フェアトレードと聞くと食品を思い出すけれど実は、それだけではない。実は、こんな業界にも。

The first and only fair-trade ticketing company! Not-Just-For-Profit!(世界で初めてのフェアトレードチケット会社!儲けるだけの会社ではありません!)

こんなモットーのもと生まれたのが、Brown Paper Ticketだ。通常チケット業界の仕組みでは、発券手数料は支払額に組み込まれている為、消費者は知らない間に多額の手数料をチケット会社に支払っている事になる。しかし、このBrown Paper Ticketsでは、その仕組みをもっとシンプルに、そしてフェアーにしたのだ。この会社では、一枚のチケット購入ごとに99セント(業界最小額)と購入額の2.5%を手数料として請求する。その結果、消費者は格安でチケット購入でき、適正な価格でイベントを楽しむ事ができる。また、この仕組みだと、イベント開催者にも格安の手数料が請求され、結果的に若いアーティストや市民団体のイベントなどに開催しやすい環境を作り出す事になる。

フェアトレードで本当に儲かってるの?と疑問を持つ人もいるだろう。もちろん、答えは『Yes』。2000年に始まったこの会社は、イギリス・カナダにも新たなオフィスを開きみんなにフェアトレードでエンターテイメントを楽しんでもらっている。そして5%の利益はシアトルコミュニティーのイベントに還元されるということだ。

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trade(取引)とは、どんなに社会が複雑化しようと必ず人が介在する行為あり、フェアトレードとはサービスを受けるもの(消費者)として、それを作り出す人(生産者)の存在を意識し、自分の取引に対し責任を持つという事。もしも、チョコレートを食べながら緑が広がる農園を思い起こす想像力があれば、少し今の自分の周りに広がる世界が楽しく見えるかもしれない。

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Brown Paper Ticket CEOとのミーティング

次回の『シアトル通信』では、お金をグリーンに変えるエコ銀行を紹介する予定。どうぞお楽しみに!