マグロが絶滅の危機?!それでもマグロの価格は低下中の不思議。

Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by merec0

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地中海からマグロが消える?!

2009年4月14日、WWFはセンセーショナルな予測を発表した。地中海で、今のペースでクロマグロ(本マグロ)の漁獲が続けば、クロマグロの再生産に必要な産卵個体は2012年に消滅する危険がある、という予測だ。

greenz/グリーンズ マグロ刺身
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「日本の食卓からマグロが消える」という話題は、数年前からメディアを賑わせてきた。その趣旨は、中国や欧米での魚食ブームを背景に、日本のバイヤーが海外のバイヤーに買い負けている、というものだった。

ところが最近では、マグロと食卓を巡る論争の主眼は、個体数の減少を理由とするものに変わっている。世界中での魚食ブームがマグロの乱獲を生み、個体数の減少につながっている、という指摘だ。今回のWWFの発表の背景には、そうした見解があるに違いない。

その流れを受けて、マグロ漁業の国際管理機関は、相次いで漁獲規制を決定している。2008年11月には、大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT)が東大西洋と地中海で09~11年のクロマグロ漁獲枠を2割削減を決め、2009年6月には、全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)がメバチマグロの漁獲枠を11年まで段階的に削減することを決定した。

greenz/グリーンズ 国際管理機関海域
水産庁のウェブサイトより抜粋。元の資料はこちら

ちなみに、マグロと一言で言っても、既に名前が登場しているクロマグロ(本マグロ)やメバチマグロの他に、ミナミマグロキハダマグロなど、いくつかの種類がある。また、大間マグロ三崎マグロは、水揚げされた漁港の名前で正式なマグロの種類ではない。そして、紛らわしいのはカジキマグロ。カジキが正式名称で、分類上はマグロとは関係ないが、いつしかカジキマグロの俗称が生まれ、それが定着してしまっている感がある。マグロを巡る名前一つとっても、実に奥が深い。

ところで、昨年の夏から秋にかけて、マグロの価格が高騰していたことを覚えている人も多いだろう。魚食ブームによる需要増加に加え、原油高と、原油高の煽りを受けて漁船の休業が相次いだことが原因と言われている。マグロの個体数減少が指摘され、漁獲制限が実施される中で、需給は逼迫し、価格はさらに高騰していると思いきや、意外なことに、昨年9月以来、価格は下落傾向にある。マグロ類の平均価格が、昨年9月の時点で1,600円/Kgをピークに、今年5月の時点では1,314円/Kgまで下がっている(出典:水産庁ウェブサイト。該当資料はこちら)。

不況の中、高級食材のイメージがあるマグロから消費者が離れていることのほかに、供給過剰が、価格下落の理由として指摘されている。詳細はこうだ。昨年前半のマグロの価格上昇を受けて、日本の商社や水産会社がマグロを買い集めに走った。リーマンショックを受けて需要が萎み、冷凍されたマグロが「在庫」として積み上がり、「不良在庫」となったマグロを安値で処分しているということだ。生鮮食品のマグロが「不良在庫」になるとは、冷凍技術の進歩は凄まじいが、冷凍技術がなければ、マグロも必要以上に殺されることはなかっただろうに…。技術が生んだ皮肉な現象と言えるだろう。

こうしたマグロの価格低下も、一時的なものと見られている。休漁による担い手減少と、漁獲制限により、いずれ需給は再び逼迫し、価格は高騰するという予想がある。

マグロはできれば手頃な値段で食べたいが、食べ過ぎは乱獲につながることを考えると、一定の価格高騰は、マグロを食卓から消さないためにも必要なことかもしれない。消費者とマグロと、マグロ漁の担い手と、三者が共存して生きているバランスが、どこかで保たれることを期待したい。