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東京を八百屋に見立てたら見えてきた!「800 for eats」がデザインする“にっぽんのごはん”

Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by gracias!

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東京の自給率は1%
(農林水産省平成18年度「都道府県別食料自給率」より。カロリーベースで計算。)

この数字をご存知だろうか。日本の食料自給率が40%であることは既に知られてきているが、東京だけで見るとさらに驚きの数字をはじき出す。

にっぽんの首都、東京。このままで本当に大丈夫なのだろうか。

この数字に多くの方が愕然とすることだろう。でもそんな東京だからこそできる、逆転の発想のプロジェクトが始まった。彼らのインスピレーションを感じたのは「八百屋」。このプロジェクトから、にっぽんのごはんの未来を考えてみよう!

プロジェクトの名前は“800 for eats[ハッピャクフォーイーツ]”。

にっぽんの産地を応援するごはんプロジェクト

と掲げ、日本各地の農産物や伝統の食の技を生かしたオリジナル商品作りを中心に、東京から新しい食作りを提案する活動を行っている。その立ち位置は、食品メーカーでもなく、生産者でもなく、どこの流通にも属さない。それらの境界を越えた自由な立場でものづくりを行い、後継者不足や販売ルート開拓競争に悩む生産地農家を支援しようというコンセプトだ。

800HP
800 for eatsのホームページ

「それができる場所は自給率1%の東京である」という考えからこのプロジェクトは始まった。ディレクターの奥村文絵さんは、食に携わる立場で生産者農家の苦悩を目の当たりにしていた。一方で、全国、そして世界中から運ばれてくる食品に囲まれて飽食の中にある東京の現実を知り、“ほとんど全ての食べ物を集めている東京なら、全ての作り手を応援できる”と考えたという。この役割はかつて日本の八百屋が果たしていたものであった。

「八百屋は元々、店主が育てた野菜のほかに豆や海藻、木の実を取り揃えたり、献立の足しになるようなお惣菜をつくって売り、その地域の食の交差点のような役目をしていました。その役割同様、産地と産地、素材と素材、技と素材、そして人と人をつなぐ役割を果たしたいという思いを込めて、プロジェクト名に“800”と付けました。」

800logo
800 for eatsロゴマーク

単に全国の美味しい物を紹介したりするだけではなく、これから未来につなぎたい技術や食品にたくさんの目を向けてもらい、買うきっかけを作ること。それが、一大消費地である東京から発信する“800 for eatsの目的だという。

プロジェクトの3つのステップは、つくる」「デザイン」「うる」。それぞれを専門とするメンバーが集まり、2009年3月、プロジェクトはスタートした。

第一弾商品としてオープニングパーティでも発表したのは、農薬や化学肥料を使わない特別栽培のお茶。3種類をベースにアレンジした6種類の組茶を製造・販売している。

lemon
800 for eatsのレモングラスティー

中でも奥村さんもオススメというレモングラスティーは、佐賀県武雄市の休耕田を利用した特産物レモングラスを使ったもの。武雄市役所にはレモングラス課が設置されているほど販売に意欲的で、現地の担当者が販売方法の相談に来られたのをきっかけに商品化を実現。その味わいは「今までのレモングラスのイメージを一新するほどの逸品」だという。

流行に敏感な都会生活者にも目を向けてもらうようデザインされたおしゃれなパッケージに包まれたお茶は、すでにイベントや展示会などで大好評となっている。

800foreats
展示会でのお茶のディスプレイ

生産者の思いがこのプロジェクトによってつながり、食卓に届きはじめている中、秋の第2弾商品は「お米」を予定。

「北海道から沖縄まで、津々浦々で栽培されているお米のことを知るきっかけになれればと思っています。」

と奥村さん。実りの秋、さらに思いがつながっていくことだろう。

designshop
展示会を行った「designshop+gallery」

空前の「農」ブームと言ってよいほど連日報道される農業や食の話題。ベランダ菜園などをはじめ、都会に住む人たちも農業に目をむけはじめている今、私たちはもう一度日本の農業、そして食の現実を見つめ直してみるべきではないだろうか。

生産から流通、消費における食の現実を受け止め、それを前向きに捉えたアプローチを行う800 for eatsは、未来を見据えた力強さを感じるプロジェクトだ。

自給率を上げることに躍起になっている段階を越え、新しい食の仕組みを作ることこそ、これから必要とされる食問題へのアプローチなのかもしれない。

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