500年以上も昔から、ヒトは船とともに海に挑み、数々の冒険をしてきた。そして、今、新しい挑戦が始まっている。リサイクルアートの船でアドリア海を旅するプロジェクト「Swimming Cities of Serenissima」が進行中なのだ。持続可能な世界に向けた彼らの冒険をみてみよう。
このプロジェクトは、自動車などのリサイクル廃材を利用して船を造り、約1ヶ月かけて、スロベニアからイタリアのベニスまでアドレア海を航行するものだ。現在、造船作業が進められており、2009年5月には、以下の「アリス号」や「マリア号」も含め、3隻で出港する見込みだという。
vessel named Alice: Copyright(c) 2008-2009 Tod Seelie, All rights reserved.
vessel named Maria: Copyright(c) 2008-2009 Tod Seelie, All rights reserved.
この活動には、ミュージシャン・ライター・コメディアン・アーティスト・フォトグラファーなど、様々な分野のアーティストが総勢35名参加。航海中も、海の浮遊物を船にデコレーションするなど、アーティスティックな活動を通じて、環境保護の大切さを訴える。
Decrated Vessel: Copyright(c) 2008-2009 Tod Seelie, All rights reserved.
Working for Decration on Vessel: Copyright(c) 2008-2009 Tod Seelie, All rights reserved.
Decrated Vessel at Night: Copyright(c) 2008-2009 Tod Seelie, All rights reserved.
Swimming Cities at Night: Copyright(c) 2008-2009 Tod Seelie, All rights reserved.
このプロジェクトの発起人は、ニューヨークのストリートアーティストSWOON。活動拠点であるニューヨークの都市の風景と、幼い頃に見たフロリダのマングローブ湿地、オランダ・アムステル川でのヨット生活が、彼女にインスピレーションを与え、いつしか、航海することを夢見て、船のデザインをスケッチにしたためるようになった。
そして、2006年、このプロジェクトの前身となる「Miss Rockaway Armada」で、廃材を使って船を造り、ミシシッピ川の縦断に成功。ついで、2008年には「Swimming Cities of Switchback Sea」でニューヨーク・ハドソン川を渡った。ハドソン川横断達成の様子とSWOONへのインタビューは、以下の動画で紹介されている。
アドリア海の旅に先立つインタビューで、SWOONはこう語っている。
このプロジェクトにかかわっている人々はみな、それぞれの専門分野を持って集まっています。これらをうまく融合させ、ともに力を合わせることで、とてつもない奇跡が起こると私は信じています。
生きていくうえで、何かを消費することは避けられない。しかし、この船は、知恵や工夫、そして何よりも人々の意志と行動で、ゴミが美しく蘇ることを示し、このプロジェクトの活動は、ヒトの発想力や協働の力が素敵な世界を生み出すことを私たちに教えてくれる。
持続可能な未来に向かう彼らの航海は、今、はじまったばかり。彼らの果てしない挑戦に今後も注目だ。
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