今月から、ロンドンのテート美術館の入口に、こんなものが現れた。
一見すると、屋内自転車置き場のようにも見えるが……?
実はこれ、クリスマスツリーなのだ。
テート美術館では、毎年異なるアーティストがクリスマスツリーをデザインしたものを展示している。これまでにも、戦闘機と拳銃が飾られたツリーや、ツリーの代わりに「ツリーは寄付しました」というメモのみが展示されたことも。でも、変わったツリーばかりが展示されているわけでもないらしい。
全体像を見てもそれらしく見えない今年のクリスマスツリー。デザインしたのは、ロンドン・メトロポリタン大学の講師Patrick Brill先生。またの名を、Bob & Roberta Smith。エコロジー、リサイクリング、エネルギーなどをテーマに、話題性のある作品を発表してきた。
今回の作品にはこんなメッセージが込められている。
Make Your Own Xmas(自前のクリスマスを創ろう)
と名付けられたツリーは、広告板、紙テープ、サインボード、ドラム缶などで作られ、「Make your own power(発電しよう」や、「Make your own fun(楽しもう)」などのメッセージが吊ってある。しかし、よくよく見てみると、クリスマスツリーにつきものの豆電球が点灯はしていない。そして、ツリーの足元には、大きさの異なる自転車が計8台置いてある。
そう、美術館を訪れた人たちが自転車をこぐと、ツリーに光が灯るしかけをほどこした参加型の発電式ツリーなのだ!社会派アーティストのメッセージは、そこにありそうだ。
自転車発電のしかけづくりには、Electric Pedals が協力した。これまでに、照明装置や音楽装置、そして電気ポット用の自転車発電機を手掛けてきた団体だ。Electric Pedalsは、マンチェスターのハードマン広場とロンドンのハイドパーク・ウィンター・ランドに設置されている自転車つきのクリスマスツリーの仕掛け人でもある。
寒い冬、暖まりながらイルミネーションを楽しめる参加型ツリー。来年はぜひ、日本でもお目にかかりたい。いや、それまで待たずとも、バレンタインデーのイルミネーションを、2人乗りの自転車で発電、というのも、ロマンチックでいいかもしれない。