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JA全農と生活協同組合が中心になって設立したNPO「生物多様性農業支援センター」が、生物多様性に配慮した生産者のコメに、環境価値を上乗せして流通させる取り組みを始めるそうです。
生物多様性に配慮した農家のコメには、商品価格と、米価の数%程度の環境価値分の金額を分けて表示。生産者に賛同する消費者は環境価値分を上乗せして支払い、賛同しない消費者は商品代金だけを支払うしくみです。これにより、消費者が手軽に、田んぼの生物多様性を高める活動を支援できるようになるというわけですね。
農家の認証には田んぼの生き物調査を活用。生産過程で田んぼで確認した指標生物の種類を記録した農家には認証を与えるとのこと。
指標生物とは、生息できる環境が限られ、環境の変化に敏感な性質を持つ生物のことです。「キレイな水でしか生きられない生物がいるので、この川はキレイだろう」というように、地域の環境を評価するときに使われます。
生き物調査をすることで害虫の発生時期を正確に把握でき、農薬の量を減らせるんだとか。そして、農薬の量が減れば徐々に生物多様性が豊かになり、イトミミズが土を耕して雑草を抑えたり、カエルが害虫を食べるという好循環が生まれるそうです。
これは、再生可能エネルギーでの発電に環境価値があるとして、その分を上乗せして支払うことで再生可能エネルギーを使ったとみなされるグリーン電力と似た取り組みみたいですね。
最近、消費者が手軽にCO2を削減する活動を支援できる商品は増えてきましたが、生物多様性を高める活動を支援できる商品は、NPOが販売している商品以外には聞いたことがありません。
2010年に名古屋で開催される生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に向けて、日本で生物多様性についての関心が高まってくることが予想されるので、これからこのコメと同じような商品・サービスは増えてくるんじゃないかなぁ。次はいつ、どこがどんな商品・サービスを出してくるのか、楽しみです。
今回紹介した取り組みは、まずは11月にパルシステムなどの共同購入から始め、その後は小売店にも広げて、一般の消費者も買えるようになるとのこと。ただの「コメ生産場」ではない、カエルやアメンボやヤゴやメダカやドジョウやタニシなどの生きものたちが共生できる「田んぼ」を作る農家を応援したい方は、ぜひこの取り組みに注目していてくださいね。