映像で世界を変える事ができるかはわからない。でも映像には力があり、映像を見て人々が世界を変える方法について考え始めることは知っている。映像には国境を越える力がある。
そう信じるのは、エジプトのカイロで生まれ、中東と米国でドキュメンタリーを制作してきたJehane Noujaim。彼女は以前、2003年の米国によるイラク侵入の際に、現地カタールから米国中央軍事事務所とアルジャジーラとの関係を映し出した作品『Control Room』を発表し、こアラブ諸国と西側の戦争報道の違いを明らかにしたことで議論を呼んだ。
2006年には各界の著名人による講演を世界に届けるTEDトークで講演を行い、毎年3人に送られるというTED賞を受賞。授賞式の際では「世界を変える1つの願い事」を話すことが求められるのだが、そこで彼女が発表したのが「パンゲア・デー(パンゲアとは、現在のように7大陸に分かれる前にひとつだった超大陸のこと)」の構想なのだ。
これは、世界中の人々が制作したショートフィルムを世界の複数の都市で同時にライブ放送するという計画のこと。お互いのことをより良く理解するために映像を使い、映像の持つ力で、国境・相違・衝突を乗り越え、他人の中に自分自身を見いだすことが狙いだ。
5月10日の午後6時(グリニッチ標準時間)には、2,500にも及ぶ応募作品の中から選ばれたショートフィルム24作品が7カ国語で上映され、カイロ、キガリ、ロンドン、ロサンゼルス、ムンバイ、リオデジャネイロの映画館や公園などでライブ中継される。そのうえ、誰でもパンゲア・デーのウェブサイトに登録すれば集まりを主催することも可能だ。インターネット・テレビ・携帯電話で配信されるので自宅を使って友だちを誘って一緒に見てみるのも良いアイデアかも!
米女優キャメロン・ディアスもパンゲア・デーを応援。彼女は映像の中でこう私たちに語りかけた。
私たちは地球を共有している者同士、お互いをもっと良く理解し合わなければなりません。お互いのことを知れば知るほど、また自分たちの事を他の人に話せば話すほど、お互いの共通点は見つかるものだと思います。世界を旅してわかったのは、誰もが同じだということです。みんな同じものを欲しがっている。愛されたいし、安全でいたいし、家族を養いたい。そういう基本的な共通点を知るだけで、自分は一人ではなく、他人とつながっていると感じることができるはずです。
最後に、パンゲア・デーに向けた国同士がお互いの国歌を斉唱するという企画が行われたので、いくつか面白いものをピックアップして紹介しよう。
まずはケニアがインドの国歌を斉唱。
オーストラリアがレバノンの国歌を斉唱。
アメリカがメキシコの国歌を斉唱。
日本がトルコの国歌を斉唱。
こうして見てみると、お隣の国のことでさえ満足に知らないことに気づかされます。一女性の願いを叶えるパンゲア・デーに参加して、世界をぐっと身近に感じてみませんか?
日本では午前3時から上映予定。開催場所について詳しくはこちらからどうぞ。