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オーガニック食材とは何?

有機栽培Organicは、ここモントリオールではBiologique(ビオロジック)と言いAliments naturels(アリマン・ナチュレル;自然食品)とも呼ばれる。私の理解するオーガニック食品とは調理加工されていない食材であるが、発達途上国も含めてオーガニック食品は世界中で同じものを意味するのだろうか?

無農薬栽培だけではなく遺伝子組み換え等も施さない昔のままの食品、つまり家庭菜園のベクトル上にある自然食品がオーガニック食品であると理解するならば、世界中のオーガニック食材は地域性特色を除き概ね同じものになる筈である。さらに冷凍食材がそのバラエティを豊かにしてくれる。

一方、技術の発達していない国では自然の猛威により飢饉に見舞われている。彼らは農薬、又は遺伝子組み換えにより改良された過酷な自然に耐える食料を必要としているのではないか。その彼らから見れば、我々のオーガニック思考は単なるライフスタイルではないだろうか?

こんな素朴な考えを胸にまず、モントリオールのオーガニック老舗であるTAUに行く。
スーパーではなく、わざわざTAUに来る必要性を見つけ、又一見客の私でも欲しいものがあるかな?と言う好奇心もあった。

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オーガニックスーパーTAU

TAU
http://www.marchestau.com/site/index.html

第一印象は「スーパーと大差ないな!」だ。大手スーパーが網羅しているもの全てがTAUでワンストップショッピングできる。流行のオーガニック日本食材もかなりのフロアを占めていたが主流はビタミンなどのサプリ類のようだ。

またスープストックやインスタントスープの素、冷凍ピザやTVディナーを発見して驚いた。各種の缶詰加工食品も豊富だ。目立った相違点は青物野菜と果物の種類が極端に少ないことだ。根菜が主で、果物はりんごの他オレンジ類とプラムが少々。冬のせいかもしれない。幾つかの買い物をする。

美形とは、ほど遠い様相を呈しているが多分ホクホクとおいしいだろうと想像しつつ、母の好きなサツマイモとかぼちゃを買った。にんじん、ジャガイモはあまりに小粒で「皮むきが大変そう」と敬遠する。ビタミンAたっぷりの、にんじん色をしていた事は確かだったが・・・

ホリデーシーズンも近く、アルコール0%シードルとフルーツジュース、そしてビンに魅せられてミネラルウオーターを買った。チキンスープの素もトライしてみようと一箱。ゴートチーズは「ヤギが食べる草がオーガニックなのだな」と一人合点して買ってみる。普段は塩気がきついので敬遠している品である。

そしてチキン。オーガニックチキンの白身はスーパーのチキン1羽分より高い。「食べ物、そして走り廻る大地がオーガニックなのだろう」と気を引き締めて購入する。本来の食材はあまり無いが、これだけの買い物で40ドル。特に肉類が高い。

TAUでの感想は「ここまで来て買うほどの事は無いな!」だった。特にオーガニックサプリとは縁の無い我が家にはあまり魅力は無い。TAUは高級食材のライフスタイル専門店である。

次に、いつもは通り過ぎるオーガニックセクションを覘いてみようと、スーパーに立ち寄る。
http://www.provigo.ca/qcen/did_you_know.asp

驚いた事に、よくよく注意してみると、野菜、果物はオーガニックとノン・オーガニックが仲良く隣り合って並べられている。それも全て美形である。パッケージも清潔さを強調してグリーントーンで馴染みやすい。TAUと異なり、スーパーはフルーツと青野菜のオンパレード。オーガニックバナナもある。一番の驚きは今まで自分で買っていたバナナがオーガニックだった事だ。値段も目が飛び出すほどの差が無いので他の品物と一体化して見分けが付かなかった。

これはどういうことであろうか?
オーガニック食品をマスプロダクションできるようになったのだろうか?私のような無頓着ショッパーに高いオーガニックプロダクトを無意識に買わせる商魂なのだろうか?地球環境保全というコンセプトが一般消費者にも浸透した証であろうか?TAUとは異なるコンセプトだ。

しかし棚に飾られている品物はほとんどTAUと同じ業者が卸している。TAUで買ったジュース、チーズ、ミネラルウオーターが安い値段で売られていたのを目撃しショックを受ける。勿論、冷凍だがパン類、肉類も同じものがある。総括すると、スーパーのオーガニックプロダクトは肉類を除き一般庶民の毎日の食卓に購入できる値段に落ち着いてきている。スーパーのオーガニックは手軽なライフスタイル食品だ。

なにが本当にオーガニックなのか?どこまでの加工品をオーガニック食品と呼べるのだろうか?

地域の朝市で土地の食材が手に入る人は幸せだ。本物のオーガニック食材を確認する事ができる。私にはその選択肢はない。それであれば我々一般消費者は、レトルト食品を避け、パッケージのごみをなるべく作らず、外食を避け、手料理を毎回食卓に載せる。経済的なスローライフの生活習慣を地道に実行すれば、すべての食材が有機栽培ではなくても有機的結合のある家庭ができるだろう。

オーガニック食品とレトルト食品が肩をならべて陳列されているスーパーから得た教訓は、地球を守ると言う壮大な思想ではなく、つつましく出来る範囲で家庭の食生活と言う根本的なレベル;家族の有機的つながりを大切にすることがオーガニックスマイルであり、今一番必要とされていることと実感した。

ライタープロフィール
増本昌子(ますもとまさこ)
建築家。 オーガニックのかぼちゃとサツマイモが腐った。スーパーのものは1ヶ月置いてもビクともしない。当たり前の事が当たり前でない食材の現状にびっくりしている。ゴートチーズは塩気0%。いい物を見つけた。スーパーのオーガニック野菜を買おうと思う。それ以上の加工品はやはり不遜な気がする。