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電気自動車は、もはや未来のクルマじゃない!?(2)

第12回 日本EVフェスティバル
11月3日(金・祝)に行われた「第12回 日本EVフェスティバル」。日本全国から、いろいろなEV(電気自動車)が集まり、さまざまなレースを繰り広げました(第1回はこちら)。今、自動車メーカーや電力会社などの企業も、EVへの注目度が大きくなっているようです。このイベントでは、そうした企業が開発している最先端のEVに触れることができるのも魅力のひとつです。今回は、自動車メーカーで作られたEVの試乗と、長年、EVを作り続けている人々のお話をお送りします。

自動車メーカーもEVに積極的になりつつある

ここのトップ写真はコンバートEV「ダイハツ・コペンEV(第一世代)」に使われているバッテリー。十分な走りを得ようとすると、このようにトランクスペースをバッテリーががっつりと占めてしまい、荷物がしまえない……。というのは過去の話。ダイハツ工業が作ったコペンEV(第二世代)は、バッテリーはすべて床下に見えないように収められ、トランクスペースは犠牲になっていません。今回のEVフェスティバルでは、第一世代がレースに出場、第二世代が展示されていました。

そしてこのコペンEVは腕自慢の自動車ジャーナリストによって、ベースとなったガソリンエンジン車よりも軽快な走りを披露してくれました。

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このように積極的にEVフェスティバルに参加している自動車メーカーはダイハツですが、ほかにも三菱自動車や日産、スバル&東京電力が、ナンバーのついたEVを展示。さらには同乗試乗会も開かれました。またEVの兄弟的存在といえる燃料電池車の同乗試乗は、サーキットを舞台に行われ、多くの来場者が未来の走りを体感していたよう。

そのうちの一台である日産の燃料電池車に試乗しましたが、とにかく静かで違和感はまったくありません。燃料電池コストや燃料(水素)供給の問題はあるにせよ、クルマとしては今すぐに市販されても満足できるだけの仕上がりとなっていました。

また、日産が2000年に製造した小型EV「ハイパーミニ」だけのレースでは、キュートなルックスながら、白熱したつばぜり合いが行われていました。

三菱自動車のブースに飾られていたのは、2006年度グッドデザイン大賞を受賞した三菱の軽自動車i(アイ)をベースとしたコンバートEV。2010年の発売を目指して開発が進んでいるとのことです。すでに公道実験も始まっているとのこと。

こちらは、タイヤのホイール部分にモーターを仕込んだ、「四輪インホイールモーター」という最新技術によって作られた三菱自動車のランサーエボリューションMIEV(ミーブ)。こんな最先端なクルマの同乗走行も行われたのです。「ランエボ」ならではのスポーティな乗り心地なのに、音は「電車(モーター音)」。不思議な感じでした。

そしてこちらが、同乗試乗の燃料電池車。日産エクストレイルFCV(前)とホンダFCX(後)、それにトヨタ・日野自動車製のバス。エクストレイルFCVのスムースな走りと静かな車内の様子は下の動画で確認できます。電気自動車ならではの静かさと、たまにちらりと見える速度メーターをごらんください。それでは、一周ツアーに行ってらっしゃい〜。

出来ることから始める精神が環境を守る

日本EVクラブは、みなさんが、無理せず楽しんで電気自動車を作っています。そんなかたがたのうちの一人が、日本EVクラブ愛知支部長の井戸田幸子さんです。

井戸田さんは、エンジニアが使う、専門的な英語を教える仕事をされていました。しかし、都会の悪い空気から体調をくずすこともあり「もっとキレイな空気にならないものか」と思っていたそうです。

そこで井戸田さんが出会ったのが、排気ガスが出ない電気自動車。当時日本には電気自動車はほとんどない状態でした。しかし、ちょうど日本EVクラブ代表の舘内端さんが「電気自動車を作ろう」という教室を初めて開くこととなり、井戸田さんはその教室の第一期生となりました。

卒業後、舘内さんが電気自動車の教室を開こうと思った場所、アメリカのフェニックスに行ったとき、なんと16歳の若者が電気自動車を作っていることに驚き、井戸田さんは「こんな若者ができるのなら、私もこれからも電気自動車を作ってみよう」と思ったそうです。

「なんにしてもね、みんな好きで、自分のペースでやっているから楽しいわよね。でも、こういうことをするおじさん達って、みんな作ることは得意だけど、発表したり、みんなに見せたりすることが得意じゃないの。でも私は、頑張っているおじさん達ってすごい、って思っているの。だから、イベントに出るようにしたりしているし、愛・地球博にも出たのよ(井戸田さん)」

井戸田幸子さんと、EVを制作した水野さん
真剣な表情の中学生たち

井戸田さんがEVにハマるきっかけとなった「電気自動車を作ろう」イベントは、いまでは「中学生ハイブリッド教室」として続いているそうです。今回のEVフェスティバルでも、教室が行われていました。

井戸田さんの愛知支部で作ったコンバートEVはハイブリッドカーのインサイトをベースとしたもの。シンプルなEVシステムにコンバートしたことでエンジンルームはスカスカになりました。

愛知支部の作ったEVのボンネットのなかはスカスカです
EV後ろ部分。電池が乗っています

こうして、日本EVフェスティバルを楽しんで帰ってきたわけですが。いや、未来のクルマだと思っていたら、ガンガンにレースしているし、自動車メーカーのクルマも走りまくっているしで、公道で大多数を占めていないのが不思議なくらいな気がしてきました。どうやって電気を得るかについては、いまだ議論の余地はありますが、ガソリンを使わない未来は、もうすぐそこ! な感じです。

日本EVクラブ
http://www.jevc.gr.jp/