ISSUE ☆日本と世界のソーシャルデザイン

2 months ago - 2016.07.13

SHARES  

世界が抱える問題にイエローカード! 名門サッカーチームで活躍するスター選手が、試合中にタトゥーだらけの体を見せて訴えたかったことは?

names1

世界最大の広告・コミュニケーションの祭典、「カンヌ・クリエイティビティ・フェスティバル」。「Cannes Lions 2015」では2015年の受賞作の中から、新たなアクションを考える刺激になるような、ソーシャルグッドな広告を連載で紹介していきます。今回ご紹介するのは、フランスからの事例です。

今日のランチは何を食べようかな。
なんだか食欲がわかないな…。
そんな悩みは世界を見渡すと、とても贅沢な悩みなのかもしれません。

国連WFP協会によると、いま世界ではおよそ8億500万人が飢餓に苦しんでいます。昨年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)のひとつには、飢餓をなくすことも挙げられ、世界各国でさまざまな取り組みが行われる模様ですが、まだまだ食べ物があり余る先進国の多くでは、飢餓の問題を深刻に受け止めきれていないのが現状ではないでしょうか。

そんな現状を変えるべく、立ち上がったスターがひとり。それは、これまでに数々の名門サッカーチームで活躍し、スウェーデン代表の主将も務めた、ズラタン・イブラヒモビッチ選手です。甘いマスクと華麗なプレー、そしてヤンチャな言動で常に注目を集めるイブラヒモビッチ選手は、飢餓問題への注目を集めるために、まさに”体を張った行動”に出ました。

ストライカーとして試合に出場したイブラヒモビッチ選手は、キックオフからわずか2分でゴールを奪います。驚くべきプレーでサポーターの目を釘付けにしたその直後、彼がユニフォームを脱ぐと・・・

その体はなんと、タトゥーだらけ! スタジアムは大いに湧きますが、審判からはイエローカードをくらってしまいます。
 
name2

謎のタトゥー騒動から一夜明け、イブラヒモビッチ選手は釈明会見を開きます。

なんで脱いだの?
あの全身タトゥーは一体?

世界から集まったメディアやジャーナリストを前に、彼は言いました。

僕は、体に50ほどの消えるタトゥーを入れていた。それは、いま世界のどこかで実際に飢餓に苦しんでいる人の名前なんだ。

タトゥーが消えてしまっても、その人たちの存在は消えない。世界ではいま、8億500万人もの人が飢餓に苦しんでいる。私は、飢餓問題に取り組む国連WFP協会をサポートするために、その事実を自分の体を通して知ってほしいと思ったんだ。

name3

ムービークリップにもなった彼の行動は、すぐに4500を超えるメディアでニュースとなり、世界で8億7000万人以上に届き、SNSでは400万以上の意見が飛び交うことに。

トップニュースとして取り上げたハフィントンポストは、「8億を超える人たちの飢餓にイエローカード」という見出しでこの騒動を報道。奇行への注目は、一気に飢餓への注目に変わりました。

私には世界中に、名前を呼んで応援してくれるサポーターがいる。でも、飢餓に苦しむ8億500万人もの人たちは、名前を呼んで応援してもらうことがない。私への応援が、飢餓と戦う彼や彼女たちへの応援として届けばと思う。

イブラヒモビッチ選手は、こうも語りました。

name4

エースストライカーがイエローカードを突きつけられても世界に訴えたいと願った、飢餓の問題。その一方で、私たちはたくさんの食糧を無駄にしています。日本では売れ残りや期限切れ、食べ残しにより、年間500万トンから800万トンもの「フードロス」が出ているといいます。

たくさんの食糧を輸入していながら、たくさんの食糧を捨てている私たち。なるべく自炊する、食べ残しをしないようにするといった地道なことはもちろん、イブラヒモビッチ選手もサポートしている国連WFP協会の活動を支援するなど、できることを見つけていって、行動していきたいですね。

(翻訳アシスタント:スズキコウタ/「greenz global」編集部)

「カンヌ・クリエイティビティ・フェスティバル」これまでの優秀作からのオススメは、こちら!!
greenz playlist

writer ライターリスト

丸原 孝紀

丸原 孝紀

greenz シニアライター 1976年京都生まれ。コピーライター(東京コピーライターズクラブ会員)。企業に社会貢献型のコミュニケーションを提案するとともに、NGO/NPOのクリエイティブを積極的にサポートしている。社会課題を解決するアイデアを提案するプランング・ユニット「POZI」のプランナーとしても活動中。 HP : ecogroove twitter:@ecogroove

AD

infoグリーンズからのお知らせ