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4 months ago - 2016.01.25

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ダンボールが机とスクールバッグに大変身! コストは、たった20セント。世界の貧困地に住む子どもたちの学習環境向上に貢献する「Help Desk」

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突然ですが、このバックパック、いったいどんな素材でつくられていると思いますか?

なんとこのバックは、オフィスやリテールショップで捨てられたダンボールを利用してつくられたバックなんです! しかもバックとして使えるだけでなく、コレを広げて折り目にそって組み立てて行くと学習机にもなる、画期的なつくりになっています。

ムンバイを拠点に、都会のスラム街や農村で暮らす貧しい人々をサポートするNPO「Aarambh」が地元の学校と共同で制作した「Help Desk」呼ばれるこのバックパック、インドの貧困地エリアに住む子どもたちが、通学中はスクールバックとして、学校では学習机として実際に利用しているものです。

デザインはいたってシンプル。お菓子の箱をつくるような方法で、職人さんがパターンに沿って廃材であるダンボールをスクールバックになるようにブリーフケース型にカットしただけ! それが、折っていくだけで勉強机にもなるというのだから、実用的ですよね。
 
ブリーフケーススタイルのバックパック
ブリーフケーススタイルのバックパック

「Help Desk」の発祥の地であるインドは、近年、IT産業を中心に急激な経済発展で世界から注目されていますが、その華やかな話題の裏側には、現在でも世界で最も貧困に苦しむ人々が多い国という現状が続いています。

実際、都心のスラム街や農村地方に住む貧しい子どもたちは、「Help Desk」が手渡される前は、通学バックを購入することもできず、買い物をした時に渡されるプラスチックのレジ袋に教科書やノートを入れて学校に通っていたのだそう。

そして、色鮮やかな教室のデコレーション、机やイスが凄然と並んでいる日本人の私たちが想像する学校教室と対照的に、インドの子どもたちが通う教室は、冷たい床だけが広がる殺風景なただの部屋。

そんな学校の教室で、子どもたちは、毎日4~5時間の長時間かたい床の上で背中を丸め、前かがみになった不自然な姿勢で授業を受けているというのです。

そのため、目が悪くなったり、頭が痛くなったりする体の不調を訴える子どもや、文字をきれいにノートに書くことができない子どもが多かったのだとか。
 
机のない学習は体にもとても負担がかかります。
机のない学習は体にもとても負担がかかります

もともと、「子どもたちが貧困から抜け出すには、教育が必要だ!」というスローガンを持って活動していた「Aarambh」は、そんな教育の現場を目の当たりにして、すぐに行動を起こすことを決意。

「子どもたちがもっと快適に勉強できる環境をつくろう!」と地元の学校といっしょに机にもなるスクールバッグをつくるプロジェクトを開始したのです。

しかし、多くの子どもたちの手元に届けるためには、安価で丈夫な素材が大事です。その条件を満たす素材を見つけるのに苦心したといいます。ようやく3か月かけてやっと見つけた素材が、リサイクルセンターや企業がゴミとして出すダンボールでした。

完成したバッグのコストは、素材と製作費あわせてひとつおおよそ20セント。さらに、ダンボールでできた「Help Desk」が激しい雨にも耐えられるようにと、透明なプラスチック製のカバーも準備。これならば、多くの子どもたちの手にも届きますし、耐久性も安心です。
 
学校でも家でも快適に勉強できるようになりました。
学校でも家でも快適に勉強できるようになりました。

「Aarambh」は、まずはじめにマハーラーシュトラ州郊外にある貧困エリアの学校に通う子どもたちに配るために、2000~2500個の「Help Desk」を生産。「Help Desk」を手にした子どもたちは、机がある新しい環境によって、毎日の授業を更に楽しく快適にできるようになりました。
 
「「Help Desk」は世界中の子どもたちを笑顔にさせています。
「help desk」は、素敵な笑顔も運んでくれます。

「Help Desk」を実際に利用する子どもたちの様子が、YouTubeに公開されるとすぐにアフリカ諸国やバングラディシュなど、同じような境遇の子どもたちを支援する団体からたくさんの連絡がきたそう。「Aarambh」では、現在2年間で世界中の2億人の子どもたちに「Help Desk」を届けるプロジェクトを世界各国のパートナーとともに進めています。
 

「Aarambh」のShobha Murthyさんは、こう話します。

学校での机不足の問題は、インドで教育を受ける子どもたちが直面している多くの障害のたった一つでしかありません。

インドの学校では、机の問題以外にも、学校に女の子用のトイレが無いために思春期の女の子たちの多くが学校を途中で辞めてしまったり、半分以上の学校に電気や水が届いていないなど、教育環境がまだまだ整っていません。さらに家庭が貧しいために、子どもを学校に通わせず働かせてしまう貧困家庭が、まだまだ多いのも問題の一つです。

子どもたちの勉強する権利を守り快適な環境を少しでも与えられるように、インドでは、国だけではなく多くのNPOやNGOが支援しています。世界中の子どもたちが快適な勉強環境を手にするために、私たちも身の回りにあるものでできることを考えてみるといいかもしれません。
 

[via helpdesk-aarambh, treehugger, huffingtonpost, BuddyGambol]

writer ライターリスト

Kanako Tokutake

Kanako Tokutake

greenz ジュニアライター 千葉県生まれ。東京で就職→ドイツに赴任、赴任中に行ったエジプトでダイビングに出会い退職→タイでダイビングインストラクター→フランスカンヌでスパセラピスト。→現在「旅」「食」「教育」を中心に書き物をしている人生の旅人。 twitterアカウント:@oishithailand_k

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