愛する人を失うことは、誰もが経験することです。では幼い子どもたちが大切な人の死に直面したとき、その悲しみを乗りこえるにはどうしたらいいのでしょうか。
今回は、4歳から12歳までの子どもたちとその家族が大切な人の死を理解し、乗りこえること(グリーフケア)をサポートする「Nino’s Mourning Toolbox」をご紹介します。
手がけたのは、南アフリカへ移住し、デザイナーとして活動するフランス人デザイナー、Mathilde de Bloisさん(以下マチルダさん)。幼い恐竜のNinoが、お姉さんのAnnieの死を乗りこえるストーリーが中心となっています。
おもちゃ、スマートフォンアプリ(iPhone, android)、絵本の3種類があり、心理学的なアプローチでグリーフケアができるようなツールになっています。
おもちゃタイプ
絵本タイプ Kalahari.comより
アプリタイプ
死というものは、私たち以上に幼い子どもたちにとってはショッキングなことだと思います。特に南アフリカは、悲しいことにHIV/AIDSや暴力などが原因で、2011年の成人死亡率は男性が世界4位、女性が7位。身近な人の死を経験する子どもが多いという現実があるのです。(「世界の貧困を伝える旅」による)
そこでこのツールでは、死について改めて考えたり、亡くなった人を想って歌ってみたり、思い出の品を集めて宝物ボックスをつくってみたり。それらを実際にやってみることで、少しずつ悲しみを受け入れていくことができるようになっています。
「Saying good bye」サヨナラにも種類があることを教えてくれます
「The discussion cake」Annieが好きだったケーキのレシピがのっています。大切な人を思い出すイベントをもつことを提案しています
「Feelings」ココロに抱えた感情の名前を学びます
「What happen after life?」死の先には何があるか考えるきっかけをつくります
「Making a memory box」思い出の品をつめこんだボックス作りの提案です
「Singing」大切な人を想って歌うことで元気を出すきっかけにします
「What is alive?」動物の寿命を学び、死についての理解を深めます
このツールは安心感をつくり出し、死に対する疑問を解消したり、素直な感情を出したりすることを手助けするものです。それはお互いが死について話すきっかけとなり、離ればなれになってしまったものをもう一度つなぎます。それは、家族の結束をさらにさらに強いものにするはずです。
と話すマチルダさん。
子どもたちは大切な人の死に直面した時、やり場のない悲しみに戸惑ったり、もしかしたら何が起こっているのか分からず混乱するかもしれません。
そんなときは、家族の愛で乗り越えていくことが、子どもにとっても家族にとっても大切なことだと思います。Ninoの物語に触れることで、悲しみを乗り越えて前を向くことができるとすれば素晴らしいことですね。
いつか大切な人を失ってしまったときには、どうぞひとりで抱え込まず、一緒に悲しみを乗り越えていく家族や友だちが周りにいることを忘れないでください。
[via WDC2014]
(text:大久保咲希)