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「大学に行きたいけれども、お金が…」という悩みは、どこの国でも深刻なようです。アメリカでは、学生奨学金の金利を倍にする法案が可決されるなど、返済が重くのしかかる現状は「アメリカ経済の病巣」と呼ばれるほど問題視されています。
そうした問題を解決するための画期的な取り組みが、オレゴン州から始まろうとしています。
舞台は、オレゴン州のポートランド州立大学にある「Student Debt: Economics, Policy and Advocacy(学生の負債:経済、政策とアドボカシー)」というクラス。まさに奨学金の問題を解決する方法を研究している中で、たどり着いたヒントが”ペイ・フォワード”でした。
ひとことでいうと「授業料はタダ!就職したら、未来の後輩のために授業料を払って下さい」という仕組みです。学生が無料で入学できる代わりに、将来働くようになった時、その収入の3%の金額を、20年にわたり支払います。つまり、これまでの返済方法とは異なる、自分が受けた恩恵を将来の後輩に贈るという発想なのです。
将来の収入に応じて支払うべき金額も変わるため、差し押さえを受けるほどに過度な返済を迫られるという問題も起こらずに済みますね。
ひとつの授業から生まれた案は、すさまじいスピードで実現に向けて動きつつあります。学生たちは政治家を呼んでプレゼンテーションを行い、プロジェクトが始まってから9ヶ月後には「Pay it Forward」プランと名付けられたこの法案が、満場一致で上院議会を通過しました。「数年はかかると思っていたのに…」と担当教授も驚きの様子。
正式な仕組みとして根付くにはまだいくつもの段階を踏まなければなりませんが、「誰でも大学に行けるように」との思いをのせて始まったこの仕組みは、大学だけではなくさまざまな領域でも応用できそうですね。
Student Debt: Economics Policy and Advocacy
(Text:山本悠理)
[via fastcoexist]