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“うわさ”が“うわさ”を呼んで…商店街が活性化?! “八戸のうわさ”プロジェクト

「のぼりとのうわさ」の際の写真。イメージとして。

「のぼりとのうわさ」の際の写真。イメージとして。

とかく人は、うわさ話が好きなもの。今ほどメディアが発達していなかった以前の日本では、うわさが人と人をつなぐ大切な媒介だったと言ってもいいくらい。ご近所さんの近況を知る手段だったり、若者の心のお目付け役のような役割もありました。今でも、小さな町や村では、驚くほどあっという間にうわさが広がります。
この“うわさ話”のいい面を活かして、街を活気づけようというプロジェクトがあります。

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“八戸のうわさ” プロジェクトとは?

このプロジェクトは、青森県八戸市に2011年2月にオープンするポータルミュージアム「はっち」の開館記念の一環で行われるイベント。手掛けるのはアーティストの山本耕一郎さんです。

山本さんが八戸市商店街の店一軒一軒に取材した、店にまつわる「うわさ話」を、黄色い吹き出し型のプレートに印刷して、店頭に貼り出します。
店主や店員さんの最近うれしかったことや、ちょっとした自慢、趣味や悩みなど、日常のできごとが記載された黄色のポップで商店街が彩られます。八戸市の商店100店以上が参加予定。

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うわさの中身は、お酒を飲みすぎて起きた事件のことや、「ここの店員さんはゴルフがめちゃめちゃ上手いらしい」とか「バイトの○○くんは最近少し痩せたらしい」などプライベートな話がたくさん。

一見、他愛もないこと、と思われがちな内容でも、通りかかった人たちは、その“うわさ“を見て足をとめたり、お店の人と会話が生まれたり。これまで以上に、商店に対して親近感や好奇心を持つようになり、関係を深めるきっかけになるというユニークな仕掛けなのです。

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山本さんはこの効果をこう言います。

お店を訪ねたときの印象は、一生こころの中に焼き付き、またあそこに行ってみようとか、あそこの息子さん大きくなったかしら、などと思うだろう。変に宣伝をするよりも、効果は大きいかもしれない

“八戸のうわさ”の展示は、新たな文化施設「はっち」の開館日にあわせて、2月8日~3月13日開催予定です。

初めてアートが社会で役に立つのでは?

八戸市では、2011年2月の本番に先駆けて、2010年の9月に「うわさのバッジ」プロジェクトを実施。あらかじめ用意しておいた“うわさ”の書かれた黄色のバッジを身に着けて、街を歩いてもらうというプレイベントが盛況に終わりました。

写真提供:sdu@青森の魅力

写真提供:sdu@青森の魅力

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山本さんは、これまでアーティストであると同時に、街づくりの視点で、数々のアートプロジェクトに携わってきた方です。
この“うわさ”プロジェクトも、もともと2006年に登戸で行われた「のぼりとING計画」
から進化したもの。その際はお店で進行中の事柄を、「笑顔発信中」や「完全燃焼中」「若返り中」などの言葉にして、看板を貼りました。この頃は、まだ白い四角のシンプルな看板です。
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それが、翌年の「のぼりとのうわさ」プロジェクトで、今回の八戸と同じ黄色のポップな吹き出しに変わり、記載内容をよりお店の人を主役にしたものにしたことで関心が高まりました。

自分では恥ずかしくて言えないけど、ちょっとした自慢やみんなに知って欲しいことは、誰もが持っているはず。子どもの自慢は誰でもしたいことのひとつ。このような内容を、日常会話の中から引き出し、こちらでそれをうわさ言葉に直すのです。

コミュニティアートに、山本さんは大きな可能性を感じています。長年アートに関わってきた中で、初めてアートが社会の役に立つんじゃないか、と期待しているのだそう。そもそもアートとは、人に感動を与えたり、心の動くきっかけをつくること。すぐに何かを変えられるとは思わないけれど、きっかけづくりをしたいと語ります。

写真提供:sdu@青森の魅力

写真提供:sdu@青森の魅力

“八戸のうわさ”プロジェクトでは、iphoneの「世界カメラ」からうわさを吹き出しで見られる仕掛けも考えているので、八戸まで行けない人も雰囲気を楽しんでみてください、とのこと。現地まで行ける方は、「はっち」でiphoneの無料貸し出し予定です。

(写真提供:山本耕一郎さん、sduさん)

9月に行われた“八戸のうわさバッジ”プロジェクトの様子を見る