アルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein)は、世界で最も偉大な物理学者のひとり。相対性理論など、彼の数多くの業績は、現代物理学の領域のみならず、20世紀の社会変革にも影響を及ぼしました。そんな「アインシュタイン」のような次世代人材をアフリカから輩出しようという取り組みが「Next Einstein Initiatives」です。
「Next Einstein Initiative」は、2008年、南アフリカにある大学院レベルの教育機関「African Institute for Mathematical Sciences(AIMS)」の創設者Neil Turok博士が「TED Prize 2008」を受賞し、「アフリカで、科学的な才能を育成し、次世代の“アインシュタイン”を輩出したい」と発表したことがきっかけでスタートしたイニシアティブ。アフリカ各地から有望な学生を集め、数学・科学・技術を専門的に教育し、農業・医療・経済など様々な分野で、アフリカ大陸が抱える社会的課題を解決するための能力・スキルを身につけさせることを目指しています。具体的な行動目標としては、2020年までに、ナイジェリア、セネガル、エチオピア、ガーナなど、アフリカ諸国にAIMSの教育センターを15ヶ所設置し、年間750名の卒業生を輩出することを掲げています。
このイニシアティブでは、学生たちは、9ヶ月間、寮生活を送りながら、授業を受けることになっています。米国の応用物理学者James Gates博士や、英ブリストル大学の物理学者Michael Victor Berry氏、英ケンブリッジ大学のAlan F. Beardon教授など、世界の名だたる教授が教鞭を取り、学生たちに高いレベルの教育を提供。各分野の背門的な知識を習得させるだけでなく、「これらをどう適用すれば、課題解決につながるのか?」という創造的な思考プロセスを身につけさせます。また、多様な文化・背景を持つ学生同士が、互いに融合し、協働するという経験を得られるのも、このイニシアティブの大きなメリットのひとつです。
彼らの取り組みは、あのグーグル(Google)もサポート。世界を変える取り組みに対して総額1000万ドル(約8.3億円)を寄付するグーグルのコンペティション「10^100」において、15万通以上もの応募の中から、「Next Einstein Initiative」をトップ5に選出しています。このほか、南アフリカ政府が年間130万ドル(約1.08億円)の資金を提供し、彼らの取り組みを支援しているほか、セネガルのアブドゥライ・ワッド(Abdoulaye Wade)大統領も、AIMSセネガル校の設立に向け、130万ドルの資金を約束しています。
「Next Einstein Initiative」から輩出された「アインシュタイン」たちは、アフリカ各地の政府・民間企業・研究機関などで広く活躍し、よりよいアフリカの未来づくりに取り組んでいます。このイニシアティブは、社会を変えるための第一歩として、そのための人材を育てる大切さを教えてくれているといえるでしょう。
「Next Einstein Initiative」の生みの親Neil Turok氏のスピーチを見てみよう。