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寄付の未来を担うキーマンが集結!green drinks Tokyo『寄付するキモチ』レポート

greenz/グリーンズ gdTokyo

突然ですがみなさんは、「寄付」したことありますか?

ちょっと考えてしまったあなたも、実はちょっとしたきっかけで、または企業などを通して間接的に寄付したことがあるはずです。例えば赤い羽募金。みなさん経験ありますよね?そのくらい、寄付は私たちの生活において、実は身近なものなのです。

でも一方でよく耳にするのは、「日本には寄付文化がない」という言葉。本当にそうなのでしょうか?

11月のgreen drinks Tokyo『寄付するキモチ』をテーマに、寄付をするきっかけとなるサービスを手がける3組のゲストをお迎えして開催されました。寄付の未来像が少しずつ見えてきましたよ。

まずは寄付サービスの最前線でご活躍のゲストのみなさんに、それぞれのサービスをご紹介いただきました。どれもまだ始まったばかりの、とても興味深い内容です!

「JustGiving Japan」梶川拓也さん

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JustGiving Japan』は、世界最大のオンライン寄付プラットフォーム『JustGiving』の日本版として、2010年3月にスタートしました。このプラットフォームには、“チャレンジャー”と“支援先団体”、そして“サポーター”という3つのプレーヤーが存在します。マラソンやダイエットなど様々なテーマに挑戦する“チャレンジャー”がNPO法人やボランティア団体などの“支援先団体”を選んでチャレンジを宣言、“サポーター”に寄付を呼びかけます。“サポーター”は、そのチャレンジ内容と支援先情報を参考に、オンラインで寄付ができる仕組みとなっています。

JustGiving Japan

JustGiving Japan

梶川さんによると、日本版開始からまだ半年余りですが、すでに約600件のチャレンジに1700万円を越える寄付が集まっており、中には1ヶ月で250万円を集めたチャレンジャー(火事で燃えてしまったNPO法人への寄付呼びかけ)もいたとのこと。通常のチャレンジはダイエットや禁酒、結婚式のご祝儀代わり、などかなり個人的なものも多く、そのユニークさが受けて、“楽しめる寄付”につながっているとのことです。

「bazaar」齊藤慶介さん

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NPOなどを支援する社会貢献型プラットフォーム『bazaar』では、『バザリング』というサービスで寄付を募っています。『バザリング』は、共同購入により各団体に寄付をする仕組みで、2010年8月よりスタートしました。例えば下の画面は、お菓子を購入すればその売り上げの一部(10%)が、病児保育に取り組むNPO法人への寄付につながる例。ポイントは、利用者にとっては通常よりも安価(33%OFF)でお菓子が購入でき、お菓子メーカーにとっては売り上げにつながるため、このサービスに参加するみんなにとってハッピーな仕組みとなっているところです。

bazaar

bazaar

齊藤さんは、

「ショッピングという楽しめる仕組みで寄付する人とされる人をつなげるきっかけとなるようなインフラを提供したい」

と言います。プレゼンテーションで印象に残ったのは、寄付の金額目標などがあるわけではなく、「女の子がトランペットを買いたい」などのシンプルなチャレンジをみんなが応援してあげられるような社会になればいい、という齊藤さんの視点。ご自身の娘さんが生まれたことを機に始めたビジネスには、「寄付」と言うものを通して伝えたい齊藤さんのあたたかい想いが詰まっているようです。

「giftee」太田睦さん

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最後は先日greenzの記事でも紹介し、Twitterでも大反響だったマイクロギフトサービス『giftee』。「ありがとう」や「おめでとう」という気持ちを、ギフトと言う形に変えてTwitterで簡単に相手に贈ることができるサービスです。贈られるのはコーヒー一杯などのちょっとしたバーチャルギフト。受け取った人がお店に行って画面を見せれば利用できると仕組みです。さらに『giftee』では、贈った相手がこのギフトを受け取らなかった場合、その金額分が寄付に回ります。相手の気持ちを決して無駄にすることのない、ナイスな仕組みですよね。

giftee

giftee

「住所を知らない」「送料がかかる」など、ちょっとしたギフトを簡単に贈るハードルになっていた小さな問題を、Twitterを駆使したバーチャルギフトという形で解決した『giftee』は、本運用開始前の現在でも既に話題となっています。太田さんによると、Twitterで1日にツイートされる「Birthday」という単語の数は、世界中で約200万回にもなるのだとか。コメントがオープンとなるTwitterでは、他人のツイートで知り合いの誕生日を知ることもありますよね。口コミでどんどん広がりそうなこのサービス。本運用開始(2011年2月予定!)が待ち遠しいです。

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寄付するキモチはどうやって生まれるの?

さて、これら3つのサービスは、ここ半年ほどで動き出したものばかり。どうやら寄付のプラットフォームサービスが、メインストリームに躍り出てきそうな気配がしますが、寄付しようというモチベーションはいったいどこから生まれてきているのでしょうか。まずは梶川さんにお聞きしました。

『JustGiving』で寄付が集まるか否かを決めるのは、チャレンジの内容そのものよりも、チャレンジャーの想いや“熱量”が一番重要です。現状、日本では一口が3000円なので、個人のチャレンジャーに集まる金額の相場は5万〜10万円。本国イギリスはもっと多いのですが、それは、日本人にはまだ寄付してほしいと訴えるのが「恥ずかしい」という気持ちがあるからだと思います。(梶川さん)

また、『giftee』の太田さんがサービスを考えた過程を語ったコメントにも、そのヒントが隠れていそうです。

『giftee』は小額のギフトであるために忘れられてしまうこともあります。「ギフトをあげたい」という気持ちが相手にとどかなかったとき、そのお金が会社に落ちるのではなく、誰かの喜びにつながる方が贈った側にとってもいいですよね。お店側にとっても、小さなお店でも社会貢献できるという“マイクロCSR”的なメリットがあると思いますし、今後は直接NPOにコーヒー一杯を寄付するという仕組みも作っていければと思っています。(太田さん)

ここでは、“熱量”や“喜び”といった「人の気持ち」に関するのキーワードがあがってきました。

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NPOの意識にも変化が?

一方で社会環境に目を向けてみると、やっと日本でも日本ファンドレイジング協会が設立されるなど、「金儲けは悪だ」といった雰囲気が払拭されて来たような気がします。これによってNPO側の意識にも変化は見られるのでしょうか?梶川さんにお聞きしました。

最近、ボランティアの延長線上だった以前の活動形態から脱し、本気で社会貢献や問題解決をしたいと思うアグレッシブなNPOが増えてきたと感じています。イギリスでは、「私たちに寄付をください」と当たり前のように言う、営業マインドが強いNPOが増えています。「寄付してくれてありがとう」から「寄付させてくれてありがとう」へ。寄付がある種の商品として価値を持って流通し、イギリスでは1.5兆円もの市場となっています。日本でも今後、間違いなく変わっていくのではないでしょうか。特に若い世代のリーダーは変えて行く力を持っているので、支援したいと思っています。(梶川さん)

日本のNPOにも明確な意識の変化が見られるようです。

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共感の輪を広げるには?

最後に3名のゲストのみなさんに、共通の質問を投げかけてみました。共感の輪を広げるにはどうしたら良いのでしょうか?そのポイントは?

「何のために」より「誰に頼まれたか」という気持ちが人を動かします。日本では寄付を頼まれたことがほとんどないのが現状ですが、日常で誰かから「寄付してください」と頼まれるような社会にしたいと考えています。日本では「寄付があやしい」と思われがちですが、『JustGiving Japan』というサービスを通して、信頼関係の中で気軽に寄付を頼めるようなきっかけ作りをしていきたいです。(梶川さん)

ムーブメントを大きくして行くには通常、ビジネス的要素が必要となってきますが、寄付はもっと柔らかいものと考えています。相撲界で言うタニマチ(谷町)的な「ファン」が次々に醸成されていくような社会になっていくと、応援する側、される側が増えて楽しくなって寄付文化が根付いてくるのではないでしょうか。(齊藤さん)

『giftee』は気付いたら寄付しているというスキームなので、気負いがない。誰もが持っているちょとしたモチベーションをうまく生かしたいと思っています。また、アメリカの寄付サービス『Charity:Water』のように、自分が寄付したお金がどこのに使われたか明確に視覚化されていると、寄付がしやすくなるのではないでしょうか。(太田さん)

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トークの後も、寄付サービスで問題になりそうな法律の話、FaceBookの誕生日を使った寄付の仕組みの話など、会場からも次々に話題が飛び出し、話は尽きることがありませんでした。こんなにも明るくポジティブに寄付が語られる場があったのか、と思うほど、未来を感じることができたgreen drinks Tokyoでした。

「寄付文化がない」という通説を昔話にするポイントは、共感や感謝のキモチ、そして人と人の信頼関係。梶川さんのお話では、イギリスから見ると日本の寄付市場はイギリスを超えてもおかしくない、とのことなので、ひょっとしたらその“きっかけ”がないだけのお話なのかもしれません。今日のゲストのみなさんが提供するようなサービスがきっかけとなり、共感の輪が広がっていくのも時間の問題かもしれませんね!

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