2010年最初となる1月14日(木)のgreen drinks Tokyo(以下gdT)には、ワタミの渡邉美樹さんが登場しました!テーマは「Change Make Dreamer!!!」 年明けにふさわしい、夢に向かって力強く突き進む豪華ゲスト達が集まりました。会場は、大きな窓から秋葉原の夜景がぐるっと見渡せる、モダンな雰囲気漂うダイニングレストラン「japanese dining ゴハン」秋葉原駅前店。今回は渡邉美樹さんVS夢をカタチにするチェンジメーカーたち(presented by 日経ビジネスAssocie )ということで、会場には取材用のカメラが2台も入りました。夢を追い求める4人のスピーカー達がそろった時、一体どんな化学変化が起きるのでしょうか?今夜も楽しい夜になりそうです。
【スピーカー】
真田武幸さん(NPO法人リコリタ 理事長)
関根健次さん(ユナイテッドピープル株式会社 代表取締役)
・著書 「ユナイテッドピープル -「クリックから世界を変える」33歳社会起業家の挑戦」
松田卓也さん(NPO法人森の蘇りなど 『森林創造物語』アシスタント)
司会:鈴木菜央(greenz.jp 編集長)
【テーマ・トークイベント】
Change Make Dreamer!!!
新年を迎え、決意を新たにする方も多いことでしょう。そんななか「よい社会を作るために一歩から地道に踏み出そうとする人」を、私達は「Change Make Dreamer」と呼びたいと思います。よい社会を作ることを仕事にしている「社会起業家」はもちろん、家事をしながら、子どもを育てながら、会社に勤めながらも、みなが生きていて楽しい社会について考え、行動することはできるのです! 今回はどうやって夢を自分の生活に持ってくるか、実際にアクションするにはどうしたらよいかを考えます。
左から、鈴木編集長、真田さん、関根さん、松田さん、渡邉さん
そもそもこのgdTにワタミの渡邉さんが参加することとなったのは、渡邉さんと鈴木編集長の雑誌ecocolo での対談からでした。オランダへソーシャルベンチャーの視察に行っていた渡邉さんが、「社会貢献を積極的に行っているステキな若者がいる」と感心していたところ、鈴木編集長が「日本にもそういう若者がたくさんいますよ」と誘ったのが今回のキッカケです。
渡邉さん自身も会社を起業した 23,4歳の頃から、いつか「教育」に携わりたいと思っていたそうです。「僕は、NPOの世界に入っていくために外食だけをやりました。ひとりでも多くの方に影響を与えたかった。1000店舗で1日200人きたら、すごい影響力になります」と語る渡邉さんは近年、教育支援プロジェクト「スクール・エイド・ジャパン(SAJ)」 を立ち上げました。この10年、投資すべきNPOが見つけられず、それならばと自分達で設立したと言います。経営が上手くなければ本当に必要な人達に資金が届かない。1円でも多く現地に資金を送るため、これからはNPOにも経営が必要だということを強く訴えていました。「僕(ワタミ)の目的は地球上で一番多くのありがとうを集めることなので、ビジネスと社会貢献の境目が全くないです」と語る渡邉さんの目は、強い使命感に燃えていました。
次にマイクを持ったのは、NPO法人リコリタの真田さん。彼の活躍するフィールドは、なんと秋葉原。そこで仕掛けたのは「秋葉原でメイドさんたちと“打ち水大作戦”」という変わったエコアクションでした。他にも、ヨドバシカメラでレジ袋を断ると、提携のメイドカフェでその店オリジナルのサービスが受けられるという企画や、メイドさんが育てたお米をメイドさんといっしょに食べるという企画もありました。初めて触れるアキバカルチャーに、渡邉さんも参加者の方々も興味津々!あちこちから質問が飛びます。「秋葉原は環境意識が高い人は少ないけど、地元愛にあふれる人は大勢いる。そのモチベーションを良い方向に持っていけないかと考えました」と真田さんは語ります。
「皮むき間伐」の説明に質問する渡邉さん
「僕がソーシャルなことをやろうと決意したのは、以前働いていた会社で、過労で倒れた事がキッカケです」とは、NGO/NPO支援のための募金サイト「イーココロ!」を立ち上げた関根さん。関根さんは、病院のベッドの上で「自分の人生本当にこれで良いのか?」と自問自答し、このままでは一生後悔する!と思い立って本当にやりたいことに取り組むようになりました。
現在関根さんが活動するユナイテッドピープルで取り組んでいるのは、バングラデシュの雇用を生み出す、本のしおりの生産と焼き鳥屋!設備が簡単でコストもかからない焼き鳥屋は、現地の就業訓練にとても良いそう。関根さんがステージで「バングラデシュで焼き鳥屋をやりたいのですが、ワタミさんで現地の研修生を受け入れていただけませんか?」と持ちかけると、渡邉さんも「もちろん!」と笑顔で快諾。バングラデシュで焼き鳥屋、一見意外な組み合わせですが、これから現地の雇用をリードしていくのは焼き鳥屋かもしれません。
(関根さんの著者『ユナイテッドピープル 「クリックから世界を変える」33歳社会起業家の挑戦』の記事はこちら)
まだまだ、ユニークな取り組みは続きます。次は、「皮むき間伐」に取り組んでいる松田さん。皮むき間伐とは森の木々の皮を剥き、木を枯らせる事によってその隙間から日の光が森の中まで届くようにする作業のことです。それによって、森の生態系が守られるのです。ビックイシューの協力で、ホームレスの方に1日5000円支払える皮むき間伐ツアーも企画しました。
「皮むきによる間伐は老若男女問わず、チェーンソーなども必要としない開かれた間伐です。大人なら1本5分くらいで出来ますよ」と言う松田さんの説明に、興味深そうに覗き込む渡邉さん。「うちも森を持っているんだけど、皮をむく間伐って具体的にどうやるの?森の手入れって本当に大変なんだよね」と興味津々。いつかワタミの森で「皮むき間伐」が行われる日が来るかも…?それにしても今日のステージは、それぞれの想いと渡邉さんの志が連鎖反応してぽんぽんと企画が決まっていく感じ、ステージ上で何かが動いている感じがとてもワクワクします!
夢を語るチェンジメーカーたち
そして話題は、“夢を実現する方法”へと移ります。常に夢を追い求める渡邉さんは、「直感を信じて、自分がわくわくすることをやる!やらされている、ではなく、自分がやりたい事をやればいいんだと思うんです」と言います。鈴木編集長が「そのモチベーションはどこから出てきているのですか?」と質問すると、予想外なことに彼のモチベーションを支えているのは「思い込み」だそう。渡邉さんは、自分が世の中を変えなければいけない!という使命感、そして自分なら出来る!と言う気持ちをずっと持ち続けているそうです。また「地球上で一番たくさんのありがとうを集めるグループになろう」というスローガンについても「僕は、目標は自分が三回死んだくらい頑張って、プラス20%くらいのところに目標設定するんですよ。かなえる事が大事なのではなく、目標を高く設定する事で、モノの見え方が変わってくる事が大切なんです」と語りました。
リコリタの真田さんが、「リコリタって、利己利他のことなんです。まずは、利己=自分がやりたいからやる。それが、利他=人の幸せにつながる。そういう事なんです」と言うと、渡邉さんも「そうなんだよね。結局は、自分がやりたいから。私も、自分がありがとうと言われるのが好きだからやっている。それは、利己だよね。僕はね、好きなことしかしない。だからどんなに忙しくてもストレスが無い。ストレスゼロなんです!こういう生き方、良いよ?」と言い切ります。彼らがまっすぐに突き進めるモチベーションは、実は彼らの「利己」の中にあったのかもしれません。
【ゲストスピーカーインタビュー】
大盛況だったトークの後は、飲み会タイム!ゲストスピーカーの周りには沢山の人が集まり、それぞれの取り組みについて盛り上がっていました。それでは最後に、本日のチェンジメーカー4名から今日の感想をお話しいただきます!
左から関根さん、鈴木編集長、渡邉さん、真田さん、松田さん
松田さん
「いろんな分野の人達が集まっている場所だったので、とても刺激になりました。同じ考えとか同じ場所で動く人だけじゃなくて、枠を超えて動くという事がこれからの世の中を作るのにとても重要だと思いました。良い機会をありがとうございました」
真田さん
「渡邉さんもおっしゃっていましたが、「利己を利他に」がリコリタのテーマでもあります。利己をスタートに社会貢献をしている、それこそが自分を動かすモチベーションだな。と改めて気づきました。2010年も飛躍していきたいと思いますので、これからもリコリタをよろしくお願いします」
関根さん
「渡邉さんは最初から教育の事をやりたかったけれど、我慢して100億円を貯めてからスクール・エイド・ジャパン(SAJ)というやりたい事を始めた。お金がなくても想いだけで突っ走る私にとって、長期的な視点で見る事の重要性はすごく刺激になったし、学びになりましたね。ユナイテッドピープルとしては、今まで社会貢献のための仕組みづくりに重点を置いてきましたが、これからはその仕組みを使いたいなと思ってもらえるように、人の心に触れて感動を与える「感じるメディア」(映画や、音楽や旅など)を作っていきたいです」
渡邉さん
「参加されてる方が、純粋にNPOと向きあっている人がとても多かったです。今の若者達は、白けているとか自分の事が全てだとか言われているけど、そうじゃない人とこの場で沢山出会えた。こういう人達から日本は変わっていくんじゃないだろうか。と思えるくらい出会えて嬉しかったし、日本の未来に期待を持てた会でした。ありがとうございました」
渡邉さんはブログの中で
私としては、一人でも多くの人にメッセージを伝え、「よしやってやろう」と思ってもらえる、そんな役割を果たせたら本望なのですが、この日はトークが進むにつれ、100名をこえるこの日のイベント参加者皆さんの目がキラキラし、会場の空気が変わっていくのをたしかに実感しました。
ーー渡邉美樹の裏のない話「気軽なエコ飲み会“green drinks”」より
と語っています。
たった一時間程度のトークでしたが、彼らの熱い想いは十分参加者に伝わったのではないでしょうか。また、渡邉さんも「日本の若者も捨てたものではない!」と繰り返しおっしゃっていたのがとても印象的でした。過去のgdTでステージ上のゲスト達の想いがつながっていく瞬間を何度も見てきましたが、今回もトークの中で「それやるの、じゃあ一緒にやろうよ」という言葉がちらほら聞こえました。こういうステージ上での出会いが、新しい世界を作るアクションへとつながるのではないでしょうか。gdTに参加していて、これほどエキサイティングで嬉しい事はありません。
gdTでつながった彼らが、一体どんなアクションを起こしていくのか?これから活躍に要注目です!
スライドショーはこちらからどうぞ。
Created with Admarket’s flickrSLiDR.
「School Aid Japan(スクール・エイド・ジャパン)」について調べてみよう。