日本でも高速道路のパーキングエリアや時間貸駐車場などで、電気自動車用の充電設備が設置されはじめており、駐車場は、単に自動車を停める場所にとどまらず、燃料補給の場にもなりつつあるようだ。では、さらに持続可能な未来へと進化した駐車場ってどんなものになるだろう?そのヒントのひとつをご紹介しよう。
工業デザイン系ブログメディア「Designboom」と日産自動車が共同で開催した、次世代型駐車場のデザインコンペ「Think Outside the Parking Box」では、96カ国から3059通ものアイデアが応募された。中でも、準優勝に輝いたカナダのプロジェクト「Solasis light tower」は、ソーラーを中心とした技術をうまく組み合わせ、環境に優しい駐車場づくりを実現している点が評価されている。
「Solasis」は、駐車している自動車をソーラーパネル代わりにして太陽光を発電し、これを自動車に燃料として供給するという”ソーラー充電機能付の大型駐車場”だ。駐車している自動車のフロントガラス・ボンネット・ルーフを太陽光の反射鏡として活用し、駐車場に設置されているソーラータワーに集光。ソーラータワーに集まった太陽光は電力変換され、駐車している自動車の燃料として充電されるほか、この駐車場の運営に必要なエネルギーも太陽光によってまかなわれる仕組みになっている。
また、このプロジェクトがユニークなのは、オフショア型駐車場を想定している点だ。郊外からの通勤ドライバーは、都心部から少し離れた沿岸部にあるこの駐車場に駐車し、地下鉄などの公共交通機関で都心のオフィスに向かうことをイメージしている。これにより、都市部の貴重なスペースを駐車場のために割く必要がなくなり、交通渋滞の緩和にもつなげられるという効果が期待される。
太陽光発電を利用した駐車場に関しては、以下の動画で紹介されているソーラー森林型駐車場「Solar Forest」というアイデアも提案されているし、ワイアレス方式のソーラー充電設備付駐車場として「SolarParking」も注目されている。また、日本では、2009年11月、神奈川県庁に電気自動車向けのソーラー充電スタンドが試験導入された。
「Solasis」のアイデアは、駐車している自動車を太陽光パネルとして活用することで、他のソーラー発電付駐車場よりも省スペースでこれを実現できる点が画期的だ。また、都市スペースの有効活用や交通渋滞の緩和にもつながるようにオフショア型の駐車場を想定するなど、再生可能エネルギーの推進のみならず、持続可能な都市づくりにも踏み込んでいる点も注目に値するだろう。彼らのコンセプトがリアルの場でどのように実装されていくのか、ますます興味深い。
電気自動車の充電スタンドマップ(東京版)をチェックしよう