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ソーラーパネルをどこに置けば、まちがもっと楽しくなる?地図を見ながら地元のエネルギーについて考える「小布施エネルギー会議」 [イベントレポート]

小布施エネルギー会議ワークショップ

わたしたち電力」は、これまで“他人ごと”だった「再生可能エネルギー」を、みんなの“じぶんごと”にするプロジェクトです。エネルギーを減らしたりつくったりすることで生まれる幸せが広がって、「再生可能エネルギー」がみんなの“文化”になることを目指しています。

東日本大震災以降、原子力発電の代替エネルギーについて、多くの人々が考え、議論を交わし、ときには実行に移すようになりつつあります。

長野県の北東部に位置する小布施町では、環境やエネルギーに関心の高い町民がエネルギーについてしっかり学べる場を作ろうと、2012年6月に『小布施エネルギー会議』をスタートさせました!

いきなり行政主導で事業を展開するのではなく、まずはまちの人に学ぶ場を、と始められた「小布施エネルギー会議」。いったいどんな会議が開かれているのでしょうか? 12月8日に開催された第6回『エネルギーで、産業はこう変わる』にお邪魔してきました!

まずは、日本の再生可能エネルギーの現状を学ぶ

小布施エネルギー会議は、自然エネルギーに取り組む会社、大学教授、NPO団体、建築家など、幅広い分野の専門家の協力のもと、7月から全8回の講義を開き、再生可能エネルギーについて学んでいます。そして『エネルギーで、産業はこう変わる』と題して開催された今回は、約40名の参加者が集まりました。

小布施エネルギー会議

はじめに、再生可能エネルギーの利用実態を調べる“エネルギー永続地帯指標”の研究を続けている千葉大学の倉阪秀史教授から、再生可能エネルギーについての講義がありました。

再生可能エネルギーに関する法律のことや導入した際の経済効果について、また、実際に導入し、エネルギー自給率が100%を超えている自治体の紹介など、その内容は再生可能エネルギーを取り巻く日本の現状を詳しく学べるものでした。

専門的な内容もあり、けっして簡単なお話ではなかったのですが、質問タイムではたくさんの質問が飛び交いました。みなさんが、日頃からエネルギーについて勉強しているのが伝わってきます!

ソーラーパネルをまちのどこに設置する?

次に、同じく千葉大学の馬上丈司講師から、実際に小布施町で再生可能エネルギーの設備を設置するとどの程度の規模になるのかというお話がありました。小布施町は面積19.07㎢、人口は11,426人。1年間に使われている電気量は、お店や公共施設などで使用する電気量を合わせて約4,319kWhになります。

小布施エネルギー会議ワークショップ

小布施町で利用できる再生可能エネルギーは、太陽光、太陽熱、そしてバイオマスや水力などが考えられますが、今回はもっとも有力な再生可能エネルギーとなる太陽光発電をテーマに、地図を囲んでソーラーパネルの設置場所を検討していきました。

地図の縮尺と合わせたソーラーパネルのパーツを地図上に置いていき、まちのどこに設置できるか、どのような方法があるかを話し合います。すると、それまでは静かに講義を聞いていたみなさんから、次々とアイデアが出てきました!

“郊外の畑より、住宅街の中にある使っていない畑がいいんじゃないか”
“河原が広いから河原がいい” “高速道路はどうか”
“小学校までの通学路のアーケードにすれば、雨でも子どもが濡れずに登校できて一石二鳥!”

現実的なものからユニークな発想のものまで、たくさんのアイデアが出てきました。地元の方でないとわからない土地の事情なども、実際に設置場所を考えながら話しているといろいろとわかってきました。

すっかり盛り上がって話は尽きず、タイムオーバー。最後にまとめのお話をして、ワークショップは終了しました。

地図の上にソーラーパネルのパーツを置いてみる

地図の上にソーラーパネルのパーツを置いてみる

人間の生活の本質は地産地消にある!

 それにしても興味深いのは、参加者の多くが50代から70代の代々この土地に住まわれている方々だということ。これほど参加者の年齢層が高い再生可能エネルギーに関する取り組みは、あまり見たことがありません。そこで、参加者のお話を聞いてみることにしました。

小布施エネルギー会議ワークショップ

町会議員でもある原勝巳さんは、震災のあと、エネルギーについて興味をもっていた頃に小布施エネルギー会議が始まることを知り、何度か参加しています。

地図を見てどこに置けばいいんだって話をしていると、自分の住んでいる場所だから現実性を帯びてきました。小布施電力みたいな感じでね、全部の家に均等にエネルギーを供給できる、そういうまちになる可能性が出てきましたね。一部の人間が得をするっていう話じゃなくて、まちの将来を考えて、今日ここにこなかった人にも幸せが届くようにしていかないとね。

久保田勲さんは、もともとエネルギーの地産地消に興味があったそうです。

日本の昔の生活では、エネルギーは自分のところで作って消費して、外に出ていかなくても生活できました。私は、人間の生活の本質はそこにあるんじゃないかって思うんです。

戦後の高度成長で人口が都市に集中して、いろいろな歪みが出てきました。でも、原発事故を契機に、やっぱり昔に戻るべきなんじゃないかと思うようになりました。そんな時にこのエネルギー会議が始まったんですね。

特に今日は具体的な制度なんかもお話してくださったので、興味がますます沸いてきました。本当に実現できるんじゃないかなと思えましたね。楽しかったです。

小布施エネルギー会議まとめの話

“こなかった人にも幸せが届くように”
“人間の生活の本質は地産地消にある”
“昔に戻るべきなのではないか”

私の周りでもそうですが、多くの場合、こういったエネルギーや環境に対する取り組みは、若い人やもともと環境について関心のあった人が中心になることが多いものです。でも小布施町では、これらの言葉を、地元の方々がわけもなくさらりと話します。もともと地元の方々の意識が高いのです。

“原発事故があった以上、再生可能エネルギーは子どもや孫のために、何が何でもやらなくちゃいけないことなんじゃないのか?”

ある参加者はそんなふうに話しました。

次回の『小布施エネルギー会議』は?

最後に『小布施エネルギー会議』の運営者のひとりであるエナジーミートの蘆田暢人さんにこの日の感想をお聞きしました。

写真左から馬上丈司講師、倉阪秀史教授、エナジーミート蘆田暢人さん

写真左から馬上丈司講師、倉阪秀史教授、エナジーミート蘆田暢人さん

今日はかなり盛り上がりましたね。地図を置いたのが良かったと思うんですけど、みなさんの想像力が一気に働きました。

エネルギーの話ってどうしても数字やイメージだけになりがちなんですが、実際にこのまちにどのぐらい置けばいいのかというリアリティが出てくると、いろいろなアイデアが出てくるんですね。小布施は意識が高い人が多いですし、まちのサイズ感もちょうどいいから、この先、面白いことになると思います。

次回の小布施エネルギー会議は2013年2月13日。山梨県北杜市にあるメガソーラー発電所の見学に行き、実際に発電所の規模を体感します。そして2月末開催予定の最後のエネルギー会議では、これまでの会議で学んだ内容や体験、アイデアなどをまとめる作業を行ないます。

1年間の学びで得たものが、まちの未来にどう還元されていくのでしょうか。小布施町の再生可能エネルギーへの取り組み、今後の動きも気になります!

小布施エネルギー会議の情報はこちら

エネルギー永続地帯って?

小布施エネルギー会議を企画する自然電力、エナジーミートとは?